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mediaFlick ユーザーマニュアル
現在の開発版: mediaFlick β release 2026-08-01
mediaFlick (メディアフリック) は、動画ファイル・DVD-Video・Blu-ray を 1 本のアプリで作り上げられる統合オーサリングツールです (完全オリジナル設計)。「オーサリング」とは、動画素材をまとめてメニュー付きのディスクや配布用ファイルに仕上げる作業のことです。
このソフト 1 つで、次の流れ (ワークフロー) をすべて完結できます。途中で別のソフトに乗り換える必要はありません。
- 取り込み … スマートフォンやカメラで撮った動画ファイルを読み込む
- カット編集 … いらない部分を切り取り、必要な場面だけを並べる
- フィルタ … 明るさ・色合いの補正、テロップ (画面に出る文字) や BGM の追加
- メニュー … DVD / Blu-ray の最初に出るタイトル画面 (チャプター選択画面) を作る
- 出力 … 動画ファイルとして書き出す、またはディスクに焼ける形式に変換する
動画編集が初めての方でも、上から順に作業すれば 1 枚のディスクや 1 本の動画が完成するように設計されています。各機能の詳しい手順は、後続の各セクションで 1 つずつ丁寧に説明します。
「タイトル」という言葉について: mediaFlick では、読み込んだ 1 本 1 本の動画クリップのことを「タイトル」と呼びます (DVD / Blu-ray の用語に由来します)。動画の題名という意味ではありません。詳しくは タイトル (動画クリップ) の操作 を参照してください。
β 版について: 本ソフトウェアは試用期限付きの β 版 (ベータ版 = 完成前の試用バージョン) です。起動時にインターネット接続を確認し、サーバー (mediaFlick.popup.jp) から試用期限・最新版情報を取得します。ネットに接続していない、または期限が切れている場合は起動できません。インターネットにつないだ状態で起動してください。詳しくは 起動と試用期限 を参照してください。
目次
このマニュアルは、上から順に読めば「動画を取り込む → 編集する → 仕上げる → 出力する」という mediaFlick の作業の流れに沿って理解できるように並んでいます。 動画編集が初めての方は、まず 1. 画面の基本構成 で各エリアの名前と役割をつかみ、 そのあと 2. プロジェクト管理 から順に読み進めることをおすすめします。 特定の機能だけ知りたい場合は、下のリンクから目的の項目へ直接ジャンプできます。
- 画面の基本構成 — ウィンドウのどこに何があるか。最初に読む全体像。
- プロジェクト管理 — 編集作業の保存・読み込みと、作業の単位「プロジェクト」の考え方。
- タイトル (動画クリップ) の操作 — 素材となる動画ファイルの追加・並べ替え・基本設定。
- シーン分割編集 — 1 本の動画を場面ごとに区切って扱う方法。
- 映像フィルタ — 明るさ・色・回転・ノイズ除去など映像の見た目を整える機能。
- 色補正キーフレーム — 時間の経過に合わせて色や明るさを少しずつ変化させる応用機能。
- オーバーレイ (テキスト・画像・PIP・字幕) — 映像の上に文字・ロゴ・小窓映像・字幕を重ねる機能。
- 音声処理 (音量・BGM・ラウドネス) — 音量調整・BGM 追加・音の大きさの統一。
- トランジション — 場面の切り替わりに付ける「つなぎ目」の効果。
- タイムライン操作 — 時間軸上でクリップを並べ・切り・動かす編集の中心画面。
- プレビュー再生 — 編集結果を出力前に画面で確認する方法。
- 出力 (動画ファイル / DVD / Blu-ray) — 完成データを書き出す最終工程。
- 出力プリセット — よく使う出力設定をワンタッチで呼び出すしくみ。
- バッチエンコード — 複数の出力をまとめて自動で順番に処理する機能。
- スマートレンダリング — 編集していない部分を再変換せず高速・高画質に出力する技術。
- ショートカット一覧 — 作業を速くするキーボード操作のまとめ。
- 起動と試用期限 — β 版の起動条件・ネット接続・期限について。
- 表示言語 (多言語対応) — 画面の言語を切り替える方法。
- バージョンアップ通知 — 新しい版が出たときのお知らせ機能。
- 既知の制約 — 現時点でできないこと・注意点。
- トラブルシューティング — うまくいかないときの対処法。
- 配布・ライセンス — 入手方法・GitHub Sponsors・利用条件。
読み方のヒント: 番号の小さい項目ほど基礎的・前提的な内容です。 用語が分からなくなったら、各セクションの本文中で初出のときに簡単な説明を添えていますので、 その項目に戻って確認してください。
画面の基本構成
mediaFlick の画面は 1 枚のウィンドウにまとまっています。一見すると複雑そうですが、構成は次の 5 つのブロックだけです。それぞれの役割を把握すれば、操作の場所で迷うことはまずありません。
この章では、画面全体の見取り図と最上段のメニューバーの使い方を説明します。各機能の具体的な操作はタイトル操作・フィルタ・出力などの章で扱うので、ここではまず全体の位置関係をつかんでください。
┌──────────────────────────────────────────────────────────────────┐
│ メニューバー: ファイル(F) 編集(E) 表示(V) 出力(O) ツール(T) ヘルプ(H)│
├──────────────────────────────────────────────────────────────────┤
│ ツールバー 📄新規 📂開く 💾保存 別名 │ ↶↷ │ +タイトル追加 編集 複製 削除 ▲▼ │ 設定 オプション バッチ │ ▶動画作成 ▶DVD/BD 🎬メニュー タイムライン About │
├──────────────────────────────┬───────────────────────────────────┤
│ │ プレビュー (LibVLC) │
│ タイトル一覧 ├───────────────────────────────────┤
│ ↑ シーン子要素含む │ オーバーレイバンド (文字表示) │
│ ↓ サムネイル + 名前 ├───────────────────────────────────┤
│ │ トランスポートバー ⏪ ▶ ⏹ ⏩ │
│ │ │
│ │ プロパティペイン │
│ │ (選択タイトル / BGM / 文字 / │
│ │ 画像 / PIP / 字幕) │
├──────────────────────────────┴───────────────────────────────────┤
│ タイムライン (🎞ボタンで開閉) │
│ ┌─ツール (左) ──┬─ 時間目盛り + 5 レイヤー (右) │
│ │ BGM/文字/画像 │ ▼マーカー │
│ │ /字幕の +/- │ ──────── ビデオ ───────── │
│ │ マーカー位置 │ ─ BGM (波形) │
│ │ ±1F/10F │ ─ 文字 │
│ │ スケール │ │
├──────────────────────────────────────────────────────────────────┤
│ ステータスバー (DVD/容量, 出力先, メッセージ, HW エンコーダ) │
└──────────────────────────────────────────────────────────────────┘
画面を構成する 5 つのブロック
上から順に、各ブロックの役割を見ていきます。
- メニューバー / ツールバー(画面最上段)
すべての操作の入口です。文字メニュー(ファイル・編集など)と、よく使う操作をアイコンにしたツールバーの 2 段構成になっています。操作に迷ったら、まずここを探します。
- タイトル一覧(画面の左側)
取り込んだ動画を上から順に並べて管理する場所です。mediaFlick では動画 1 本を「タイトル」と呼びます(DVD のタイトル/チャプターと同じ用語です)。ここでの並び順が、そのまま完成動画の再生順になります。各タイトルはサムネイルと名前で表示され、▶ で開くと中の「シーン」(動画を区切った場面)が枝分かれして表示されます。
- プレビュー(画面の右上)
選択中のタイトルの映像を再生して確認する画面です。再生には LibVLC というエンジンを使っていますが、使い方は普通の動画プレーヤーと変わりません。
- すぐ下の オーバーレイバンド には、映像に重ねた文字(タイトル文字など)が表示されます。
- さらに下の トランスポートバー に、巻き戻し ⏪・再生 ▶・停止 ⏹・早送り ⏩ のボタンが並びます。
> 用語メモ:プレビューとは、出力前に完成状態をその場で確認することです。ここで見えている内容が、ほぼそのまま書き出されます。
- プロパティペイン(プレビューの下)
選択中の対象(タイトル / BGM / 文字 / 画像 / PIP / 字幕)の設定を変える場所です。プロパティとは、その対象が持つ色・位置・音量などの設定値を指します。「左でタイトルを選び、ここで設定を変える」のが基本的な操作の流れです。 > 用語メモ:PIP は Picture in Picture の略で、映像の上に小さな別映像を子画面として重ねる機能です。テレビのワイプ(画面の隅に出る小窓)と同じものです。
- タイムライン(画面最下部・開閉式)
映像・BGM・文字などを、時間軸に沿った横帯(レイヤー)として並べる場所です。どの素材が何秒から何秒まで出るかを一目で確認・調整できます。ツールバーの タイムライン ボタン(🎞)で開閉でき、使わないときは閉じて画面を広く使えます。 > 用語メモ:レイヤー は層・重なりのことです。映像の上に文字、下に BGM というように素材を上下に重ねて 1 本の動画に仕上げます。
- ステータスバー(最下部の細い帯)
現在の状態を表示する欄です。DVD/BD の使用容量の目安、書き出し先フォルダ、処理中のメッセージ、使用中の HW エンコーダ(映像変換を高速化するハードウェア。詳細は出力の章)などが出ます。進捗や状態を知りたいときはここを見ます。
はじめての方へ:すべてを一度に覚える必要はありません。編集は「左でタイトルを選ぶ → 右上のプレビューで確認 → 右下のプロパティで調整 → 上のツールバーで出力」という流れで進みます。この流れさえ意識すれば、どこを使えばよいか自然とわかってきます。
メニューバー
ツールバーのすぐ上に、Windows の一般的なソフトと同じ メニューバー があります。マウスでクリックして開くほか、キーボードの Alt キーを押しながら F / E / V / O / T / H を押すと、対応するメニューを直接開けます (例: Alt+F で「ファイル」メニュー)。
このメニューバーは、2 種類の使い方を両立させる ために用意されています。
- はじめての方 は、まずメニューを上から眺めて「やりたいことがどこにあるか」を探す使い方がおすすめです。項目名がそのまま機能の説明になっているので、迷ったらメニューを開いて該当しそうな名前を探してください。
- 操作に慣れた方 は、ツールバーのアイコンや後述のショートカットキー (Ctrl+S など) を使うと、メニューを開かずに素早く操作できます。
どちらの使い方でも結果は同じです。最初はメニューから、慣れてきたらショートカットへ、と少しずつ移行していくとスムーズです。
| メニュー | 主な項目 |
|---|---|
| ファイル(_F) | 新規 (Ctrl+N) / 開く (Ctrl+O) / 最近開いたファイル ▶ (履歴 10 件、Alt+1〜) / 保存 (Ctrl+S) / 名前を付けて保存 (Ctrl+Shift+S) / バッチエンコード / 終了 (Alt+F4) |
| 編集(_E) | 元に戻す (Ctrl+Z) / やり直し (Ctrl+Y) / タイトル追加・編集・複製 (Ctrl+D)・削除 / クリップ分割 (Ctrl+K) |
| 表示(_V) | タイムラインの表示切替 (チェックボックス) / フレームステップ ±1/±10 |
| 出力(_O) | 動画ファイル作成 / DVD/BD 作成 / メニュー編集 |
| ツール(_T) | プロジェクト設定 / オプション |
| ヘルプ(_H) | About / ユーザーマニュアル (このファイル) / クイックスタート / GitHub リポジトリ |
各メニューの役割を補足します。
- ファイル(F) — プロジェクト (編集作業の入れ物) そのものを扱うメニューです。
- 新規 は、まっさらな状態から編集を始めるとき。
- 開く は、前に保存した作業 (
.mfpファイル) の続きを再開するとき。 - 保存 / 名前を付けて保存 は、作業内容を失わないために定期的に行う操作です。こまめに保存する習慣 をつけておきましょう。
- 最近開いたファイル には、直近に開いたプロジェクトが最大 10 件並びます。Alt を押しながら数字キー (1〜) で素早く開けます。
- 終了 はソフトを閉じます (保存していない変更があれば確認が出ます)。
- 編集(E) — 編集作業そのものを操作するメニューです。
- 元に戻す / やり直し は、操作のミスを取り消したり、取り消しを取り消したりします。「間違えても Ctrl+Z で戻せる」 ことを覚えておくと、安心していろいろ試せます。
- タイトル追加・編集・複製・削除 は、左の一覧にある動画クリップ (タイトル) を増やしたり消したりする操作です。複製 (Ctrl+D) は、同じ設定のタイトルをもう 1 つ作りたいときに便利です。
- クリップ分割 (Ctrl+K) は、1 本の動画を再生位置で 2 つに切り分ける操作です (詳しくはシーン分割編集の章)。
- 表示(V) — 画面の見え方を切り替えるメニューです。
- タイムラインの表示切替 で、画面下のタイムラインを出したり隠したりできます。
- フレームステップ ±1/±10 は、プレビューを 1 コマ (1 フレーム) または 10 コマ単位で前後に動かす操作です。「ほんの少しだけ位置を合わせたい」ときに使います。
> 用語メモ: フレーム とは動画を構成する 1 枚 1 枚の静止画のこと。動画はパラパラ漫画のようにフレームが連続して動いて見えています。「1 フレーム進む」は「パラパラ漫画を 1 枚めくる」のと同じです。
- 出力(O) — 編集が終わった作品を 書き出す ためのメニューです。
- 動画ファイル作成 は MP4 などの動画ファイルとして保存します。
- DVD/BD 作成 は DVD-Video や Blu-ray のディスク用データを作ります。
- メニュー編集 は、ディスクを再生したときに最初に出る選択画面 (DVD のトップメニュー) をデザインします。
- ツール(T) — 全体の設定を扱うメニューです。
- プロジェクト設定 は、今作っている作品の形式 (DVD か Blu-ray か、画質など) を決めます。
- オプション は、mediaFlick 自体の動作 (表示言語など) を設定します。
- ヘルプ(H) — 困ったときの案内です。About でバージョン情報、ユーザーマニュアル でこの説明書、クイックスタート で最短の使い方、GitHub リポジトリ で開発元のページを開けます。
「最近開いたファイル」の中身は、メニューを開くたびに最新の履歴へ更新されます。履歴は recent.json に記録され、ソフトを再起動しても残ります。
ヒント: メニュー右側の Ctrl+S のような表記はショートカットキーです。メニューを開かずに同じ操作を実行できます。よく使うものを覚えると編集が速くなります。一覧は「ショートカット一覧」の章にあります。
プロジェクト管理
動画編集の作業は、いきなり完成ファイルを作るのではなく、まず「プロジェクト」という一つの作業ファイルにすべての設定を貯めていきます。 ここでいうプロジェクトとは、「どの動画を、どんな順番で、どんな効果やメニューを付けて、最終的にどう書き出すか」という設計図のことです。料理でいえば、材料(動画ファイル)はそのまま冷蔵庫に置いておき、レシピと手順書(プロジェクト)だけを編集・保存していくイメージです。
mediaFlick では、この設計図を .mfp という拡張子のファイルに保存します。元の動画ファイルそのものは一切書き換えないので、何度やり直しても元素材が傷つくことはありません。
用語メモ - プロジェクトファイル (.mfp): 編集内容(設計図)を丸ごと記録したファイル。動画本体は含まず、「どの動画をどう使うか」という情報だけが入っています。 - 上書き保存 / 別名保存: 同じファイルに書き直すのが上書き、新しい名前で別のファイルとして残すのが別名保存です。
ツールバー左の「プロジェクト」グループ
画面上端のツールバーには、枠で囲まれた「プロジェクト」グループがあります。ここに、プロジェクトを新しく作る・開く・保存するためのボタンが並んでいます。色とアイコンで見分けられるようになっています。
| ボタン | アイコン | ショートカット | 動作 |
|---|---|---|---|
| 新規 | 📄 (青) | Ctrl+N | 現在のプロジェクトを破棄して、まっさらな新規プロジェクトを開始 (未保存の変更があれば確認あり) |
| 開く | 📂 (橙) | Ctrl+O | 既存の .mfp プロジェクトファイルを開く |
| 保存 | 💾 (緑) | Ctrl+S | 現在のプロジェクトを上書き保存 (まだ一度も保存していない場合は別名保存と同じ動作になり、保存先を聞かれます) |
| 別名 | 💾✎ (シアン) | Ctrl+Shift+S | 名前を付けて別ファイルとして保存 |
| 設定 | ⚙ (灰) | — | プロジェクト設定ダイアログを開く |
これとは別に、ツールバーには 元に戻す (↶ / Ctrl+Z) と やり直し (↷ / Ctrl+Y) のボタンもあります。これらは後述する「やり直し・取り消し」で詳しく説明します。
新規プロジェクトを始める (📄 / Ctrl+N)
これは何か 今までの編集内容をすべて捨てて、白紙の状態から作業を始める操作です。
どんな時に使うか
- まったく別の作品を一から作りたいとき。
- 試しに色々いじっていたら収拾がつかなくなり、いったんリセットしたいとき。
操作手順
- ツールバーの 📄(青)ボタンを押すか、
Ctrl+Nを押します。 - もし現在のプロジェクトに保存していない変更が残っている場合は、「保存しますか?」という確認が表示されます。
- 「はい」を選べば先に保存され、「いいえ」なら変更を破棄して、その後まっさらな新規プロジェクトが開きます。
つまずきやすい点
- 確認なしで突然消えることはありませんが、「いいえ(破棄)」を押すとそれまでの編集は元に戻せません。迷ったら先に保存しておきましょう。
プロジェクトを開く (📂 / Ctrl+O)
これは何か 以前に保存した .mfp ファイルを読み込んで、続きから編集できるようにする操作です。
操作手順
- ツールバーの 📂(橙)ボタンを押すか、
Ctrl+Oを押します。 - ファイル選択ダイアログが開くので、目的の
.mfpファイルを選んで「開く」を押します。 - 保存していた状態(タイトルの並び、効果、メニュー設定など)がそのまま復元されます。
もっと簡単な方法 (ドラッグ&ドロップ)
.mfpファイルを、mediaFlick のウィンドウ(特にタイトル一覧ペイン)にマウスでつかんで放り込むだけでも開けます。エクスプローラーからドラッグするだけなので、慣れるとこちらが速いです。
最近開いたファイル
- 一度開いたプロジェクトは「最近開いたファイル」として最大 10 件 記録されます(古いものから自動的に消えていきます)。次回からはメニューの履歴から素早く開けるので、毎回フォルダを探さずに済みます。
保存する (💾 / Ctrl+S) と 別名保存 (💾✎ / Ctrl+Shift+S)
保存 (上書き保存) とは 今の編集内容を、開いている .mfp ファイルにそのまま書き戻す操作です。
- まだ一度も保存していない新規プロジェクトの場合は、保存先と名前を聞かれます(=実質「別名保存」と同じ)。
- 二度目以降は、確認なしで同じファイルに静かに上書きされます。
別名保存とは 今の状態を、別の名前の新しいファイルとして保存する操作です。元のファイルはそのまま残ります。
どんな時に別名保存を使うか (身近な例)
- 「Aパターン(短い版)」と「Bパターン(長い版)」のように、枝分かれした2種類を作り分けたいとき。
- 大きな変更を加える前に、「念のため今の状態を別名で取っておく」バックアップ用途。
操作手順 (別名保存)
- ツールバーの 💾✎(シアン)ボタンを押すか、
Ctrl+Shift+Sを押します。 - 保存先フォルダとファイル名を決めて「保存」を押します。
- 以後はその新しいファイルが「現在開いているプロジェクト」になります。
コツ・推奨
- こまめに
Ctrl+Sを押す習慣をつけましょう。編集中はいつ何があるか分かりません。 - 後述の自動保存を ON にしておくと、押し忘れていても定期的に保存してくれます。
プロジェクト設定 (⚙)
これは何か このプロジェクト全体に共通する「土台の設定」をまとめたダイアログです。具体的には、解像度・フレームレート(FPS)・アスペクト比・既定の FFmpeg オプションなどを決めます。
用語メモ - 解像度: 映像のきめ細かさ。横×縦のピクセル数で表します(例: 1920×1080 = フルHD)。数字が大きいほど精細ですがファイルも重くなります。 - フレームレート (FPS): 1秒間に何枚の静止画(コマ)で動画を作るか。30fps なら1秒に30コマ。数字が大きいほど動きが滑らかです。 - アスペクト比: 画面の縦横の比率。16:9 が一般的なワイド画面、4:3 は昔ながらのテレビ比率です。
どんな時に使うか
- 最初に「この作品はフルHD・30fps で作る」と方針を決めておくと、後の作業がぶれません。
- 古い 4:3 のテレビ向け DVD を作りたいときなど、画面比率を変えたいとき。
操作手順
- ツールバーの ⚙(灰)ボタンを押します。
- 解像度・FPS・アスペクト比などを設定します。
- 「OK」で確定すると、プロジェクト全体の既定値として反映されます。
つまずきやすい点
- ここで決めるのはプロジェクト全体の既定値です。個々のタイトル(動画クリップ)ごとに細かく上書きしたい場合は、各タイトルの編集ダイアログ側で設定します。
やり直し・取り消し (アンドゥ / リドゥ)
編集ソフトで最も頼りになる安全装置が、この「やり直し・取り消し」です。間違えても元に戻せるので、思い切って操作できます。
| ボタン | アイコン | ショートカット | 動作 |
|---|---|---|---|
| 元に戻す (アンドゥ) | ↶ | Ctrl+Z | 直前の操作を取り消して、一つ前の状態に戻す |
| やり直し (リドゥ) | ↷ | Ctrl+Y (または Ctrl+Shift+Z) | アンドゥで戻した操作を、もう一度やり直す |
仕組みの解説
- mediaFlick は操作のたびに「その時点の状態」を記録していて、最大 100 段階 までさかのぼれます。
Ctrl+Zを連打すれば、どんどん前の状態へ戻れます。 - 戻しすぎたと思ったら
Ctrl+Y(やり直し)で再び進められます。
つまずきやすい点・コツ
- 編集ダイアログ(タイトル編集など)の中での細かい操作は、一つ一つが取り消し対象にはなりません。ダイアログで「OK」や「適用」を押した時点で、まとめて1回ぶんの操作として記録されます。つまり Ctrl+Z は「ダイアログを開く前の状態」まで一気に戻します。
- アンドゥは100段が上限なので、無限に過去へは戻れません。重要な節目では
Ctrl+Sで保存しておくのが確実です。
.mfp プロジェクトファイルの中身
.mfp ファイルは、人にも読める JSON 形式(テキストの一種)で保存されています。中には次のような情報がすべて入っています。
- 各 Title(タイトル = 取り込んだ動画/静止画クリップ)とその並び順
- Scene(シーン = タイトル内の区切り)の情報
- フィルタ(色補正などの映像加工)
- オーバーレイ(画面上に重ねるテキストや画像)
- 字幕
- BGM(背景音楽)
- 出力設定(最終的にどの形式で書き出すか)
- メニュー設定(DVD/Blu-ray のトップメニューなど)
用語メモ - JSON: 設定や情報を整理して記録するための、世界的によく使われるテキスト形式。中身を直接書き換える必要は基本的にありませんが、テキストなので人が読める形になっています。
繰り返しになりますが、.mfp には動画の中身そのものは入っていません。あくまで「どの動画ファイルを、どう使うか」という参照と設定だけです。そのため:
.mfpファイルだけを別の場所へコピーしても、参照先の動画ファイルが無ければプレビューや書き出しはできません。- 元動画を別フォルダへ移動・リネームすると、プロジェクトが動画を見失うことがあります。素材はなるべく動かさないようにしましょう。
自動保存と世代バックアップ (うっかりミス対策)
保存を押し忘れても大丈夫なように、mediaFlick には2つの安全機能があります。どちらもオプション画面の「保守」タブで設定します。
| 機能 | 既定 | 内容 |
|---|---|---|
| 自動保存 | ON / 5 分ごと | 一定時間ごとに自動でプロジェクトを保存します。間隔(分)は変更できます |
| 世代管理 (バックアップ) | ON / 最大 10 件 | 保存のたびに .mfp.bakN(N は番号)という過去バージョンを残し、最大件数まで保持します |
世代管理が役立つ場面 (身近な例)
- 「2つ前の状態のほうが良かった…」と後悔したとき、
.mfp.bak2などの過去バックアップから復元できます。 - アンドゥの100段を超えて遡りたいときの、もう一つの保険になります。
コツ
- 長時間の作業をするときは、自動保存を ON のままにしておくとよいでしょう。
- 世代管理の保持件数を増やすと、より昔の状態まで残せますが、その分ディスク容量を使います。10 件前後が目安です。
ファイルの保存場所メモ
- 最近開いたファイルの履歴:
%AppData%\mediaFlick\recent.jsonに最大 10 件記録されます(%AppData%は Windows のユーザー設定が入る隠しフォルダです)。 - 世代バックアップ: 元の
.mfpと同じフォルダに.mfp.bakNという名前で作られます。
用語メモ -%AppData%: Windows で各アプリの設定ファイルが置かれる場所。エクスプローラーのアドレス欄に%AppData%と打って Enter すると開けます。
タイトル (動画クリップ) の操作
mediaFlick では、取り込んだ 1 本 1 本の動画ファイルのことを 「タイトル」 と呼びます。 日常的な言い方をすれば「素材クリップ」「映像のひとかたまり」のことです。 たとえばスマホで撮った運動会の動画、デジカメの旅行動画、ダウンロードした動画ファイルなど、 画面左側の一覧に並ぶ 1 行 1 行が、それぞれ 1 つのタイトルです。
用語メモ — タイトル DVD / Blu-ray の世界では、ディスクに収録される「番組 1 本」のことを「タイトル」と呼びます。 mediaFlick はディスク作成も動画ファイル出力も同じ画面で扱うため、取り込んだ動画 1 本を一貫して「タイトル」と呼んでいます。 「動画クリップ = タイトル」と覚えておけば大丈夫です。
用語メモ — タイトル一覧 (ツリー表示) 画面左に表示される、タイトルが上から順に積み上がっていく一覧表のことです。 Windows のエクスプローラのファイル一覧をイメージしてください。 後述のシーン分割を行うと、各タイトルの行の下に「枝」のように子の行 (シーン) がぶら下がります。
タイトルの操作は大きく分けて 「追加」「編集」「複製・削除・並べ替え」 の 3 つです。 このセクションでは、動画編集が初めての方でも迷わないよう、それぞれを順を追って説明します。
追加 — 編集したい動画を取り込む
最初のステップは、編集したい動画ファイルを mediaFlick に取り込むことです。 取り込む方法は 2 通りあり、どちらを使っても結果は同じです。
方法 1: ツールバーのボタンから追加する
- 画面上部のツールバーにある 「+ タイトル追加」 ボタンをクリックします。
- ファイル選択ダイアログ (Windows の「ファイルを開く」ウィンドウ) が開きます。
- 取り込みたい動画ファイルを選んで「開く」を押します。複数のファイルをまとめて選択することもできます (Ctrl キーや Shift キーを押しながらクリック)。
方法 2: ファイルをドラッグ&ドロップする (D&D)
- Windows のエクスプローラ (ファイルが入っているフォルダ) を開きます。
- 取り込みたい動画ファイルをマウスでつかんだまま、mediaFlick のウィンドウ上へ運びます。
- ウィンドウの上でマウスのボタンを離す (ドロップする) と、その場で取り込まれます。
用語メモ — ドラッグ&ドロップ (D&D) ファイルをマウスでつかんで (ドラッグ)、別の場所へ運んで離す (ドロップ) 操作のことです。 「掴んで・運んで・離す」の 3 動作と覚えてください。複数ファイルをまとめて運ぶこともできます。
取り込んだとき内部で何が起きるか
タイトルを追加すると、mediaFlick は内部で ffprobe という解析ツールを自動的に走らせ、 その動画ファイルの中身を読み取ります。具体的には次の情報が自動取得されます。
- 解像度: 映像の縦横のドット数 (例: 1920×1080)。数字が大きいほど精細です。
- コーデック: 映像・音声がどんな方式で圧縮されているか (例: H.264、HEVC、AAC)。
- フレームレート: 1 秒間に何枚の静止画でできているか (例: 30fps / 60fps)。数字が大きいほど動きがなめらかです。
- 音声トラック / 字幕トラック: その動画に含まれている音声や字幕の本数。
用語メモ — コーデック 動画や音声を小さなファイルサイズに圧縮し、再生時に元へ戻すための「圧縮の決まりごと」のことです。 「動画の言語のようなもの」とイメージしてください。詳しくは出力セクションで扱います。今は「自動で読み取ってくれる」とだけ覚えれば十分です。
用語メモ — フレームレート (fps) fps は frames per second (1 秒あたりのコマ数) の略です。 パラパラ漫画の枚数のようなもので、枚数が多いほど動きがなめらかに見えます。
これらは自動で読み取られるため、利用者がファイルの中身を調べたり手で入力したりする必要はありません。 つまずきやすい点: 解析に対応していない壊れたファイルや、極端に特殊な形式の動画は取り込めないことがあります。 うまく追加できない場合は、別の動画ファイルで試して原因を切り分けてください。
編集 — タイトルの中身を作り込む
取り込んだだけでは、まだ動画は元のままです。 ここから不要部分を切ったり、明るさを直したり、テロップを入れたりといった編集を行います。 編集はすべて 「タイトル編集ダイアログ」 という専用の画面で行います。
タイトル編集ダイアログを開く
次のどちらかの操作で開きます。
- 一覧の中の編集したいタイトルを ダブルクリック する。
- もしくは、編集したいタイトルを 1 回クリックして選んだ状態で、ツールバーの 「✎ タイトル編集」 ボタンを押す。
ダイアログでできること
タイトル編集ダイアログを開くと、その 1 本の動画に対して次のような編集ができます。
- シーン分割: 動画を「使うところ」だけに区切り、不要部分 (撮り始めの空白や失敗カットなど) を取り除く操作。
- 各種フィルタ: 明るさ・色合いの補正、回転、ノイズ除去など映像の見え方を整える機能。
- タイトル全体の音量調整: その動画の音を大きく / 小さくする。
- トランジション設定: 次の動画へ切り替わるときの「つなぎ目の演出」を設定する。
コツ — まず編集ダイアログに入る習慣を 動画編集が初めての方は、「とりあえずタイトルをダブルクリックして編集ダイアログを開く」ことを最初の一歩にしてください。 mediaFlick の編集作業のほとんどは、この 1 つのダイアログの中で完結します。
それぞれの詳しい操作は、以下の専用セクションで説明します。
- 不要部分を切る・使う範囲を決める → 「シーン分割編集」 のセクション
- 明るさや色を直す → 「映像フィルタ」「色補正キーフレーム」 のセクション
- テロップ・画像・字幕を重ねる → 「オーバーレイ」 のセクション
- 音量・BGM を調整する → 「音声処理」 のセクション
- つなぎ目の演出 → 「トランジション」 のセクション
覚えておくと安心 編集ダイアログで行った変更は、元の動画ファイルそのものを書き換えるわけではありません。 mediaFlick は「どう編集するか」の指示だけを記録し、最後の出力時にまとめて反映します。 そのため、何度やり直しても元のファイルは無傷のままです。
複製・削除・並べ替え — タイトルを整理する
一覧に並んだタイトルは、後から自由にコピーしたり、消したり、順番を入れ替えたりできます。 ディスクや動画として出力したときは、この一覧の上から下への並び順がそのまま再生順序になります。
複製 (コピーを作る)
同じ設定のタイトルをもう 1 つ作りたいときに使います。
- 操作: 複製したいタイトルを選び、Ctrl+D を押す。または 「⎘ 複製」 ボタンをクリック。
- 結果: 選んだタイトルとまったく同じ内容のコピーが一覧に増えます。
どんな時に役立つか たとえば同じ映像を 2 回見せたい (オープニングと締めくくりで同じシーンを使う) ときや、 1 つの動画に別々の編集を試したいときに、元を残したまま複製してから片方をいじる、といった使い方ができます。
削除 (一覧から取り除く)
使わないことになったタイトルを一覧から外します。
- 操作: 削除したいタイトルを選び、「✕ 削除」 ボタンをクリック。
- 結果: そのタイトルが一覧から消えます。
つまずきやすい点 — 元ファイルは消えません ここでの「削除」は、あくまで mediaFlick の編集一覧から外すだけです。 パソコン上の元の動画ファイルが消えるわけではありません。 間違えて削除したら、もう一度「タイトル追加」で取り込み直せば元に戻せます。
並べ替え (再生する順番を変える)
タイトルが再生される順番を入れ替えます。先述のとおり、一覧の上にあるものから順に再生されます。
並べ替えの方法は 3 通りあります。
- ▲▼ ボタン: 選んだタイトルを 1 つ上 (▲) / 1 つ下 (▼) へ移動します。
- Ctrl+↑ / Ctrl+↓: キーボードだけで上下に移動できます (▲▼ ボタンと同じ動作)。
- タイトル一覧の中でのドラッグ&ドロップ: タイトルをマウスでつかみ、置きたい位置まで運んで離します。直感的に並べ替えたいときに便利です。
コツ — 出力前に並び順を最終確認 DVD / Blu-ray や 1 本の動画として出力すると、この並び順がそのまま再生順になります。 出力ボタンを押す前に、一覧を上から眺めて「この順番で間違いないか」をもう一度確認すると、作り直しの手間を防げます。
クリップボード — 素材を倉庫にためて使い回す
「クリップボード」は、取り込んだ素材を再利用するための独立した倉庫です。タイトル一覧やタイムラインとは切り離されているので、ここで素材を整理したり消したりしても、編集中の作品(一覧・タイムライン)には影響しません。
- タイトルを追加すると、その素材は自動的にクリップボードにも登録されます。
- クリップボードの素材は、ドラッグして何度でもタイトル一覧へ並べ直せます。
- 「+ 空白クリップ」 ボタンで、黒一色・標準 5 秒の空白素材をすぐ作れます(間や区切りに便利)。
- 画像ファイルをクリップボードへドロップすると、その画像を背景にした静止画クリップとして登録されます(動画ファイルは通常クリップとして倉庫に入り、勝手にタイムラインへは追加されません)。
表示の切り替えと並び替え
クリップボードもタイトル一覧も、エクスプローラーのように見やすく整理できます。
- タイル表示 / 一覧表示: クリップボード右上のボタンで、サムネイル中心の「タイル表示」と、名前・情報を縦に並べる「一覧表示」を切り替えられます。
- 並び替え (追加順 / タイトル順 / 種類順): 上部の選択ボックスで並び順を選べます。追加順=取り込んだ順番、タイトル順=名前のアルファベット/五十音順、種類順=動画・画像・単色などの種類ごと。
つまずきやすい点 — 並び替えても再生順は変わりません タイトル一覧の並び替え(追加順/タイトル順/種類順)は 表示上の並び順を変えるだけ で、実際の再生順(タイムラインの順序)はそのまま保たれます。 再生される順番を変えたいときは、前項の「▲▼ ボタン」「Ctrl+↑/↓」「ドラッグ&ドロップ」で並べ替えてください。
クリップの整理(名前変更・グループ・再リンク)
クリップボードのクリップを右クリックすると、次の整理ができます。
- クリップ名を変更 — クリップに分かりやすい名前を付けられます。
- グループへ移動 — 「新規グループ…」で名前を付けてグループを作り、クリップをまとめられます。グループの見出しを右クリックすると グループ名の変更 や グループの削除 ができます(グループを削除しても、中のクリップは消えずに「(グループ無し)」へ移ります)。
- ソースを選び直す(再リンク) — 素材ファイルを別の場所へ移動・名前変更したときに、新しいファイルを選び直してクリップと繋ぎ直せます。プロジェクトを開いたときに見つからない素材があれば、一覧から フォルダを指定して一括で再リンク することもできます。
シーン分割編集
「シーン分割」は、動画編集の一番の基本となる 「使うところ」と「使わないところ」を区切る作業 です。 撮影した動画には、たいてい不要な部分が含まれています。たとえば録画ボタンを押してから本番が始まるまでの数秒、 途中の失敗カット、撮り終わりにカメラを下ろすときのブレた映像などです。 これらをそのまま出力すると、間延びした見づらい作品になってしまいます。
シーン分割を使うと、1 本のタイトル (動画クリップ) を 「シーン」 という小さな区切りに分け、 それぞれのシーンごとに「どこからどこまでを採用するか」「向きはどうするか」「音量はどうするか」 「次のシーンへどうつなぐか」を細かく指定できます。
用語メモ — シーン 1 本のタイトルを区切ってできる、再生範囲のひとかたまりのことです。 たとえば運動会の動画 1 本を「入場行進」「徒競走」「玉入れ」の 3 区間に分けたとき、その 1 区間ずつが「シーン」です。 シーンは出力時に上から順につなげて再生されます。
用語メモ — マーカー (再生ヘッド) プレビュー画面で「いま動画のどの時刻を表示しているか」を示す目印のことです。 動画再生バーの上でクリックしたりドラッグしたりすると動きます。 シーン分割の操作は、この マーカーが指している現在時刻 を基準に行うので、 「先にマーカーを目的の位置へ動かしてからボタンを押す」のが基本の流れです。
シーン分割の操作は、すべて タイトル編集ダイアログ (タイトルをダブルクリックすると開く画面) の中で行います。 ダイアログの右側にある 「編集」タブ に、シーンに関する設定がまとまっています。
大原則 — シーンを 1 つも追加しなければ、動画全体がそのまま出力対象になります。 「特に切り貼りせず、撮ったまま 1 本まるごと使いたい」というときは、シーン分割の操作は一切不要です。 何もしなければ、最初から最後まで全部が採用されます。 シーンを区切るのは、あくまで「一部だけ使いたい」「区間ごとに違う処理をしたい」ときだけです。
シーンを新しく作る — 「+ シーン追加」
まず、区切りの単位となるシーンを 1 つ作ります。
- プレビューの再生バーで、シーンを 始めたい時刻 までマーカーを動かします。
- シーン一覧の下にある 「+ シーン追加」 ボタンをクリックします。
- マーカーの現在位置から動画の末尾まで を範囲とする新しいシーンが 1 つ作られ、そのシーンが選択された状態になります。
どんな時に役立つか たとえば動画の冒頭 10 秒が不要な空白だった場合、マーカーを 10 秒の位置へ動かしてから「+ シーン追加」を押すと、 「10 秒〜末尾」を採用するシーンが 1 つでき、結果として最初の 10 秒を切り落とせます。
つまずきやすい点 「+ シーン追加」は 常にマーカー位置から末尾まで を範囲にします。 終わりの位置も決めたい場合は、追加したあとで後述の「OUT にセット」で終了時刻を縮めるか、 「✂ 分割」で途中を区切ってください。
使う範囲を決める — IN / OUT のセット
作ったシーンの「どこからどこまでを採用するか」を、開始時刻 (IN) と終了時刻 (OUT) で指定します。 IN と OUT は いまマーカーが指している現在時刻 を使って設定します。
開始時刻を決める — 「IN にセット」
- シーン一覧で、設定したいシーンをクリックして選びます。
- プレビューのマーカーを、採用を 始めたい時刻 へ動かします。
- 「IN にセット」 ボタンを押す (またはキーボードの
Iキーを押す) と、選択中シーンの開始時刻がその位置に変わります。
終了時刻を決める — 「OUT にセット」
- シーン一覧で対象のシーンを選びます。
- マーカーを、採用を 終わりにしたい時刻 へ動かします。
- 「OUT にセット」 ボタンを押す (またはキーボードの
Oキーを押す) と、選択中シーンの終了時刻がその位置に変わります。
コツ — キーボードのIとOを覚えると速い 再生しながら「ここから使いたい」と思った瞬間にI、「ここまで」と思ったらOを押すだけで範囲が決まります。 IN = In (入り口)、OUT = Out (出口) と覚えると迷いません。
シーンを選んでいないときに押すとどうなるか シーンが 1 つも無い (まだ何も追加していない) 状態で IN / OUT を押すと、mediaFlick が自動でシーンを 1 つ作ってくれます。 - 「IN にセット」を押した場合 → 「現在位置 〜 末尾」のシーンが生成されます (冒頭の不要部分をまとめてカットしたいときに便利)。 - 「OUT にセット」を押した場合 → 「先頭 〜 現在位置」のシーンが生成されます (末尾の不要部分を落としたいときに便利)。 つまり、いきなりIやOを押すだけでも、簡単な前後カットができるようになっています。
シーンを途中で 2 つに割る — 「✂ 分割」
1 つのシーンを、マーカー位置で前半・後半の 2 つに割ることもできます。 区間の途中だけ違う処理 (たとえばそこだけ別の色補正や向き) をしたいときに使います。
- 分割したいシーンを選びます。
- マーカーを、割りたい位置へ動かします。
- 「✂ 分割」 ボタンを押すと、そのシーンがマーカー位置で 2 つのシーンに分かれます。
コツ 「不要部分を消す」目的なら IN / OUT で範囲を縮めるほうが簡単です。 「1 つの区間の途中から処理を変えたい」ときに「✂ 分割」を使う、と覚えてください。
向きを直す — 回転
スマホを縦に持って撮った動画が横向きで取り込まれてしまった、といったときに、シーンの映像の向きを直せます。 回転はシーン単位で設定し、選択中のシーンに対して 4 つのボタンで指定します。
| ボタン | 内容 |
|---|---|
| 0° | 回転なし (元のまま) |
| ↻90 | 時計回りに 90 度回す |
| 180 | 上下逆さま (180 度) にする |
| ↺90 | 反時計回りに 90 度回す |
ボタンの右側には、いまの設定が「回転なし」「右 90°」「180°」「左 90°」のように文字で表示されます。
つまずきやすい点 — ボタンは「足し算」ではなく「絶対値の指定」です ↻90 を 2 回押しても 180 度にはなりません。各ボタンは「この向きにする」という指定なので、 たとえば ↻90 を押した後にもう一度 ↻90 を押しても、向きは右 90° のまま変わりません。 「180 度にしたいなら 180 ボタン」「元に戻したいなら 0° ボタン」と、目的の向きのボタンを直接押してください。
回転の設定は プレビュー画面にもその場で反映 されるので、押した結果を見ながら正しい向きを選べます。
用語メモ — 時計回り / 反時計回り 時計の針が進む向き (右回り) が「時計回り = ↻」、その逆 (左回り) が「反時計回り = ↺」です。 縦撮りの動画は、撮影時のスマホの傾き方によって ↻90 か ↺90 のどちらかで正しくなります。 片方を試して上下が逆だったら、もう片方を押してください。
シーンの音量を調整する — シーン音量
シーンごとに音の大きさを補正できます。たとえば「この区間だけ周囲が騒がしくて声が小さい」「ここだけ音が大きすぎる」 といった場合に、そのシーンだけ音量を上げ下げできます。
- 音量を変えたいシーンを選びます。
- シーン音量スライダー を左右に動かします。
- 現在の値がスライダーの近くに「+3 dB」「-6 dB」のように表示されます。
調整できる範囲は -30 dB 〜 +20 dB です。0 dB が「元のまま (変更なし)」です。
用語メモ — dB (デシベル) 音の大きさを表す単位です。プラスにすると音が大きく、マイナスにすると小さくなります。 数字が 0 のときは元の音量のままです。だいたい「+6 dB でかなり大きく、-6 dB でかなり小さく」感じる程度が目安です。 いきなり大きく変えず、少しずつ動かして耳で確かめながら調整するのがおすすめです。
コツ タイトル全体の音量はタイトル編集ダイアログの別の場所でまとめて変えられますが、 ここで設定する音量は そのシーンだけ に効きます。 「全体的に小さい」ならタイトル全体で、「この区間だけ気になる」ならシーン音量で、と使い分けてください。
次のシーンへのつなぎ方 — トランジション
シーンとシーンのつなぎ目に、切り替えの演出 (トランジション) を入れられます。 何も設定しないと、シーンは「パッ」と瞬時に切り替わります。トランジションを設定すると、 じわっと混ざったり、横から拭うように切り替わったりと、なめらかな演出になります。
用語メモ — トランジション 場面が切り替わるときの「つなぎの演出」のことです。映画やテレビで、画面がふわっと暗くなって次の場面に移るあれです。 ここで設定するのは「いま選んでいるシーンから、その次のシーンへ移るとき」の演出です。
設定方法:
- つなぎ目の演出を付けたいシーン (= 切り替わる 手前側 のシーン) を選びます。
- トランジション種別のドロップダウン から、演出の種類を 1 つ選びます。
- 隣の 時間入力 で、演出にかける秒数を指定します (0.1 秒 〜 5.0 秒)。
選べるトランジションは 「なし」を含めて 11 種類 です。代表的なものは次のとおりです。
| 種別 | どんな演出か |
|---|---|
| なし (None) | 演出なし。瞬時に切り替わる (既定) |
| フェード (Fade) | いったん黒くなってから次のシーンが現れる |
| クロスディゾルブ (CrossDissolve) | 前後の映像が重なりながら入れ替わる |
| ワイプ 左 / 右 / 上 / 下 (Wipe) | 拭き取るように一方向から次の映像が現れる |
| スライド 左 / 右 (Slide) | 次の映像が横から滑り込んでくる |
| サークルオープン / クローズ (Circle) | 円が広がる / 縮むように切り替わる |
| ピクセル化 (Pixelize) | モザイク状に崩れながら切り替わる |
用語メモ — ドロップダウン クリックすると候補が一覧で開き、その中から 1 つを選ぶ入力欄のことです。「ドロップダウンメニュー」「コンボボックス」とも呼びます。
コツ — トランジションは控えめが基本 凝った演出を多用すると、かえって落ち着かない仕上がりになります。 迷ったら、シーンのつなぎ目には「クロスディゾルブ 1 秒」程度を控えめに入れ、 作品の終わりだけ「フェード 2 秒」で締めくくる、といった使い方が見やすくおすすめです。 時間を 0.1 秒に近づけるとほぼ一瞬の切り替えになり、5.0 秒に近づけるとゆっくりした演出になります。
シーンの順番を入れ替える — 並べ替え
複数のシーンに分けたあと、再生する順番を入れ替えられます。
- 順番を変えたいシーンを選びます。
- ▲ ボタン で 1 つ上へ、▼ ボタン で 1 つ下へ移動します。
出力したときは、この シーン一覧の上から下への並び順がそのまま再生順序 になります。
どんな時に役立つか 撮影順とは違う順番で見せたいとき (結論を先に見せてから経過を見せる、など) や、 分割したあとで「やっぱりこの場面を先に出したい」と思ったときに、撮り直さず順番だけ入れ替えられます。
シーンを削除する
不要になったシーンは、シーン一覧で選んでから 「🗑 削除」 ボタンを押すと取り除けます。
つまずきやすい点 — 元の動画ファイルは消えません ここでの削除は、あくまで「このシーン区間を採用しない」という編集上の指定を取り消すだけです。 パソコン上の元の動画ファイルには一切影響しません。間違えて消しても、また IN / OUT や分割でシーンを作り直せます。
シーン一覧の見方 — サムネイル表示
シーン一覧の各行
シーン一覧 (ListBox) には、作ったシーンが上から順に並びます。 各行には、そのシーンの 先頭フレームの縮小画像 (サムネイル) が表示されます。 このサムネイルには、設定した 回転 や開始時刻 (IN) が反映されるため、 「どのシーンが、どの場面の、どの向きか」を画像でひと目で見分けられます。
用語メモ — サムネイル 中身がひと目で分かるように作られた、小さな見本画像のことです。 動画の代表的な 1 コマを縮小して表示しているものだと考えてください。
タイトル一覧の子行サムネイル
1 つのタイトルを 2 つ以上のシーンに分割すると、画面左のタイトル一覧で そのタイトルの行の下に、各シーンが「枝」のように子の行としてぶら下がります。 それぞれの子行には、各シーンの先頭フレームが 80×45 ピクセル の小さなサムネイルで表示されます。
覚えておくと安心 — サムネイルは少し遅れて出ます これらのサムネイルは、操作の邪魔をしないよう バックグラウンドで少しずつ作られます (遅延生成)。 シーンを作った直後は画像が空白に見えることがありますが、数秒待つと順次表示されます。 表示が出ないからといって、シーンが作られていないわけではありません。
このセクションのまとめ - シーンを区切らなければ、動画は全体がそのまま出力される。 - 不要部分を落とす基本は「マーカーを動かして IN /I・OUT /Oで採用範囲を決める」こと。 - 向き・音量・つなぎの演出は シーン単位 で設定でき、回転ボタンは「目的の向きを直接押す」。 - 並び順 (▲▼) がそのまま再生順になる。削除しても元ファイルは無事。
映像フィルタ
「映像フィルタ」は、映像の明るさ・色を整えたり、手ブレやノイズを抑えたりする加工です。明るさ補正、色調整、回転、ノイズ除去、フェードといった調整を、スライダーやチェックボックスで行えます。
mediaFlick では、これらの加工をシーン単位(タイトルを「✂ 分割」して区切った一区切り)で設定します。つまり「この場面だけ明るくする」「この場面だけスローにする」といった、場面ごとのきめ細かい調整ができます。
用語メモ: - シーン=1 本のタイトル(動画ファイル)を時間で区切った一区切り。「編集」タブの「✂ 分割」で区切ります。 - フィルタ=映像に対する加工処理。複数を同時にかけられ、上から順番に適用されます。
どこで設定するか
- タイトル一覧で、加工したい動画をダブルクリックしてタイトル編集ダイアログを開きます。
- 必要なら「編集」タブで映像をシーンに分割し、加工したいシーンを選びます(分割しなければタイトル全体が 1 シーン扱いです)。
- 「🎛 映像フィルタ」 と書かれた帯をクリックして開きます。
- 中に並んだチェックボックスやスライダーで、下表の各フィルタを設定します。
- 設定はそのシーンに即時に記録され、プレビューや最終出力(エンコード)に反映されます。
この見出し帯は、クリックすると下に内容が開閉します。普段は折りたたんでおき、必要なときだけ開けます。
設定できるフィルタ一覧
タイトル編集ダイアログの 「🎛 映像フィルタ」 で、選択シーンに対して以下を設定できます。値域は実際にアプリが受け付ける範囲(範囲外を入れても自動的にこの範囲に丸められます)です。
| 種類 | 内部で使う ffmpeg フィルタ | パラメータ・値域 |
|---|---|---|
| 反転 | hflip / vflip | 水平反転 ⇔ / 垂直反転 ⇕ をそれぞれチェック |
| 速度変更 | setpts + atempo | 0.25〜4.0 倍(既定 1.0。音声側 atempo は 0.5〜2.0 を超える場合に内部で多段連結) |
| 明るさ | eq=brightness | -1.0〜1.0(既定 0=変化なし) |
| コントラスト | eq=contrast | 0.0〜2.0(既定 1.0=変化なし) |
| 彩度 | eq=saturation | 0.0〜3.0(既定 1.0、0=モノクロ) |
| 色相 | hue=h | -180〜180°(既定 0) |
| ガンマ | eq=gamma | 0.1〜10.0(既定 1.0=変化なし) |
| クロップ(切り抜き) | crop | 左/上/右/下から削るピクセル数(4 入力、既定 0) |
| リサイズ | scale | 幅 × 高さ(0 で無効。プロジェクト出力解像度より先に適用) |
| インターレース解除 | yadif | チェックボックス |
| シャープ化 | unsharp | 0.0〜5.0(既定 0=変化なし) |
| ノイズ除去 | hqdn3d | 0.0〜1.0(既定 0=変化なし) |
| 手ぶれ補正 1-pass | deshake | チェックボックス、軽量(処理が速い簡易版) |
| 手ぶれ補正 2-pass | vidstabdetect + vidstabtransform | チェックボックス、エンコード時間が約 2〜3 倍だが高品質 |
| 自動レベル補正 | normalize | チェックボックス(明るさを自動で最適化) |
| モザイク | boxblur | 0.0〜1.0(全画面ぼかし強度、既定 0) |
| フェードイン | fade=in / afade=in | 秒数(0〜10。映像は黒から、音声は無音から立ち上がる) |
| フェードアウト | fade=out / afade=out | 秒数(0〜10。映像は黒へ、音声は無音へ消える) |
| 全フィルタ初期化 | - | このシーンのフィルタを一括リセットするボタン |
用語メモ: ffmpeg は mediaFlick が内部で映像加工・変換に使っている定番のエンジンです。表の「内部で使う ffmpeg フィルタ」名は、トラブル時の調査やネット検索の手がかりとして載せています。普段は意識する必要はありません。
各フィルタの使いどころと操作のコツ
反転(hflip / vflip)
- 何か: 映像を左右(水平)または上下(垂直)に鏡のように反転します。
- 役立つ場面: 自撮りで左右が逆に映ってしまったとき、文字が鏡文字になっている素材を直すとき。
- 操作: 「水平反転 ⇔」「垂直反転 ⇕」のチェックを入れるだけ。両方同時も可能(180° 回転と同じ見た目になります)。
速度変更(setpts + atempo)
- 何か: 再生速度を変えます。0.25 倍でゆっくりスロー、4.0 倍で早送り。
- 役立つ場面: スポーツの決定的瞬間をスローにする、長い移動シーンを早送りで縮める、タイムラプス風に見せる。
- 操作: 倍率スライダー(または数値)を動かします。1.0 が等倍。
- コツ: 音声も同時に伸縮されます。0.5〜2.0 の範囲なら音程をほぼ保ったまま速度が変わりますが、それを超えると音声が不自然になりがちです。極端なスロー/早送りでは、後述のシーン音量や別途 BGM での差し替えも検討してください。
明るさ・コントラスト・彩度・色相・ガンマ(eq / hue)
映像の「色味・明るさ」を整える基本グループです。それぞれ既定値に戻せば「変化なし」です。
- 明るさ (-1.0〜1.0): 全体を明るく/暗く。逆光で暗くなった顔を持ち上げるときなど。プラスで明るく、マイナスで暗く。
- コントラスト (0.0〜2.0): 明暗の差。1.0 より上げるとメリハリが出て、下げると眠い(ねむい=コントラストの低い、ぼんやりした)映像になります。
- 彩度 (0.0〜3.0): 色の鮮やかさ。0 にすると完全な白黒(モノクロ)になります。1.0 が原色のまま。
- 色相 (-180〜180°): 色全体の傾きを回転させます。空を青寄りにしたり、肌色を補正したりといった用途。効果が強いので少しずつ動かすのがコツ。
- ガンマ (0.1〜10.0): 中間の明るさの調整。明るさが「全体を底上げ」なのに対し、ガンマは「暗部・中間部の見え方」を変えます。暗いところだけ持ち上げたいときに有効。
- コツ: まずコントラストと明るさで土台を整え、最後に彩度で色味を決めると失敗しにくいです。
用語メモ: ガンマ=映像の明るさの「カーブ」を曲げる調整。値を下げると中間〜暗部が明るく、上げると暗くなります。
クロップ(crop=切り抜き)
- 何か: 映像の四辺から不要な部分を削り取ります。
- 役立つ場面: 上下に入った黒帯を消す、画面端に映り込んだ余計なものを除く、別ソフトのウォーターマーク(透かし)を切り落とす。
- 操作: 「左/上/右/下」それぞれに削るピクセル数を入力します。たとえば上下の黒帯を消すなら「上 60/下 60」のように。
- コツ: 切り抜いた後に縦横比が変わると、出力時に映像が左右や上下に伸びて見えることがあります。気になる場合はリサイズや「位置」タブのアスペクト比設定と合わせて調整してください。
リサイズ(scale)
- 何か: 映像の解像度(縦横のピクセル数)を変えます。
- 役立つ場面: 4K 素材を 1080p に縮めて軽くする、複数の解像度の素材を揃える。
- 操作: 幅・高さを入力。どちらかを 0 にすると、その辺は無効(変更しない)になります。
- 重要: このリサイズはプロジェクト全体の出力解像度より先に適用されます。最終的な出力サイズはプロジェクト側の設定で決まるため、ここは「素材ごとの前処理」と考えてください。
インターレース解除(yadif)
- 何か: 横縞のチラつき(インターレース)を取り除き、なめらかにします。
- 役立つ場面: 古いビデオカメラや地デジ録画など、動きの速い部分でギザギザの横縞が出る素材。
- 操作: チェックを入れるだけ。
- コツ: 縞が出ていない素材(最近のスマホ動画など、もともとプログレッシブな映像)にかける必要はありません。
用語メモ: - インターレース=1 枚の映像を上下の縞に分けて交互に記録する古い方式。動きの速い場面で横縞が見えます。 - プログレッシブ=1 枚をまるごと記録する方式。最近の動画はほぼこちらで、縞は出ません。
シャープ化(unsharp)
- 何か: 輪郭を強調してくっきりさせます(0.0〜5.0)。
- 役立つ場面: 少しぼけた素材の輪郭を立たせたいとき。
- コツ: かけすぎると輪郭にギラついた縁取りやノイズが出ます。0.5〜1.5 程度から試すのがおすすめ。
ノイズ除去(hqdn3d)
- 何か: 映像のザラつき(ノイズ)を減らします(0.0〜1.0)。
- 役立つ場面: 暗い場所で撮った、ザラザラした映像。
- コツ: 強くかけると細部がのっぺりして塗り絵のようになります。シャープ化とは逆方向の効果なので、両方かけるときは控えめに。
手ぶれ補正(deshake / vidstab)
mediaFlick には 2 種類の手ぶれ補正があります。
- 手ぶれ補正 1-pass(deshake): 軽量で処理が速い簡易版。チェックを入れるだけ。少しの揺れを手早く抑えたいときに。
- 手ぶれ補正 2-pass(vidstabdetect + vidstabtransform): いったん映像全体を解析してから補正する高品質版。エンコード時間が約 2〜3 倍かかりますが、効果は格段に上です。歩き撮りなど揺れの大きい素材に。
- コツ: まず軽い 1-pass で十分か試し、足りなければ 2-pass に切り替えると時間を無駄にしません。補正は映像の端を少し拡大して使うため、強い揺れほど画面端がわずかに削られます。
用語メモ: 2-pass(2 パス)=映像を 2 回処理する方式。1 回目で揺れを解析し、2 回目で打ち消します。時間はかかりますが精度が上がります。
自動レベル補正(normalize)
- 何か: 明るさのヒストグラム(明暗の分布)を自動で引き伸ばし、最適な明るさ・コントラストに整えます。
- 役立つ場面: 露出がうまくいかず、全体に眠い・かすんだ映像を手早く立て直したいとき。
- 操作: チェックを入れるだけ。
- コツ: 自動なので場面ごとに効き方が変わることがあります。仕上がりが暴れる場合は、手動の明るさ・コントラストに切り替えてください。
モザイク(boxblur)
- 何か: 画面全体にぼかしをかけます(0.0〜1.0)。
- 役立つ場面: 背景全体をぼかして雰囲気を出す、特定の場面を意図的に見えにくくする。
- 注意: 現状は画面全体へのぼかしです。特定の一部だけ(顔だけ等)をぼかす範囲指定(ROI)は将来対応予定です。
フェードイン/フェードアウト(fade / afade)
- 何か: シーンのはじまりを真っ黒・無音からふわっと立ち上げる(フェードイン)、終わりを真っ黒・無音へ消していく(フェードアウト)演出です(各 0〜10 秒)。
- 役立つ場面: 動画の冒頭・末尾、章の切り替わりをやわらかく見せたいとき。
- 操作: フェードインに秒数、フェードアウトに秒数を入力します。映像と音声が同時にフェードします。
- コツ: 1〜2 秒が自然です。シーン間のつなぎ目を演出したい場合は、「シーン」タブの OutgoingTransition(CrossFade など)と役割が近いので、どちらか一方で十分なことが多いです。
全フィルタ初期化
- このシーンに設定した映像フィルタをまとめてリセットするボタンです。あれこれ試して分からなくなったら、ここで一度まっさらに戻せます。
フィルタの要約バッジ(シーン一覧の表示)
フィルタを設定すると、シーン一覧の各シーンのラベルに、有効なフィルタの要約が [ ] で囲んで表示されます。ひと目で「このシーンには何がかかっているか」を確認できます。
おもなバッジの意味:
| バッジ | 意味 |
|---|---|
| ⇔ / ⇕ | 水平反転 / 垂直反転 |
| ×1.5 など | 速度変更(倍率) |
| 明+0.2 など | 明るさ |
| ✂ | クロップあり |
| ⟷ | リサイズあり |
| Yadif | インターレース解除 |
| S1.0 など | シャープ化 |
| DN0.5 など | ノイズ除去 |
| 📷 / 📷📷 | 手ぶれ補正 1-pass / 2-pass |
| AUTO | 自動レベル補正 |
| M0.5 など | モザイク |
| ⇡1s | フェードイン(秒) |
| ⇣1s | フェードアウト(秒) |
| 🎨→ | 色補正のアニメーション(時間で変化)あり |
たとえば シーン1 [⇔ ×1.5 明+0.2 ✂ ⇡1s] のように表示され、これは「水平反転 + 1.5 倍速 + 明るさ +0.2 + クロップあり + フェードイン 1 秒」がかかっている、という意味です。
全体を通したコツ
- やりすぎない: 明るさ・彩度・シャープ化はどれも控えめが自然。少しずつ動かし、プレビューで確認しながら詰めてください。
- 重い処理は最後に: 手ぶれ補正 2-pass はエンコード時間を大きく増やします。他のフィルタを決めてから、最後に必要なシーンだけにかけると効率的です。
- シーン単位を意識: フィルタは「いま選んでいるシーン」にだけかかります。タイトル全体に同じ効果を出したい場合は、各シーンに同じ設定を入れるか、分割せず 1 シーンのまま設定してください。
- 迷ったらリセット: 「全フィルタ初期化」でいつでもやり直せます。気軽に試してかまいません。
色補正キーフレーム
一つ前の節で説明した「映像フィルタ」では、明るさや彩度などをシーン全体に一律でかけることができました。この節で説明する 色補正キーフレーム は、それを一歩進めて、シーンの再生中に色補正の効き具合をゆっくり変化させる機能です。
用語メモ - キーフレーム: 「ここでこの値、ここではこの値」と、時間軸上のポイントごとに目標値を打っておくこと。その間はソフトが自動で滑らかにつないでくれます。アニメの「原画(キー)」と「中割り」の関係に似ています。 - 補間 (ほかん): 打たれた2つの値の「あいだ」を、ソフトが計算で埋めてくれること。mediaFlick の色補正キーフレームは、開始値と終了値をまっすぐな直線でつなぐ「線形補間」を使います。
mediaFlick では、シーンの 開始時刻の色補正値 と 終了時刻の色補正値 の2点だけを指定します。すると、その間の各瞬間の値は自動的に少しずつ変化していきます(線形補間)。動画編集ソフト TMPGEnc Video Mastering Works (TVMW) の「キーフレーム」に相当する機能です。
これは何か
選択したシーンの 明るさ・コントラスト・彩度・色相・ガンマ という5つの色補正値を、シーンの始まりから終わりにかけて、なめらかに変化させる機能です。
「映像フィルタ」だけだと、たとえば「明るさ +0.5」と決めたらシーンの最初から最後までずっと +0.5 のままです。色補正キーフレームを使うと、「最初は暗め(-0.5)から始めて、最後は明るめ(+0.5)へ、少しずつ明るくしていく」といった時間とともに変わる演出ができるようになります。
どんな時に役立つか (身近な具体例)
- 夜明け・朝焼けの演出: シーンの始まりは暗く沈んだ色、終わりに向かってだんだん明るく色鮮やかに。1カットの中で「夜が明けていく」雰囲気を出せます。
- 回想シーンへの切り替え: 彩度を徐々に下げて(色をだんだん抜いて)、モノクロに近づけていく。過去を思い出すような表現に。
- フェードに似た色の立ち上がり: 暗い状態(明るさ -1.0 付近)から始めて通常の明るさへ持ち上げると、「映像がじわっと浮かび上がる」ような導入になります。
- クライマックスでの強調: 終盤にかけてコントラストや彩度を上げて、画面をだんだん力強く・鮮やかにしていく。
いずれも「途中で値が変わってほしい」場面で活躍します。逆に「ずっと同じ補正でいい」なら、前の節の映像フィルタだけで十分です。
操作手順
色補正キーフレームの設定は、タイトル編集ダイアログの 「🎛 映像フィルタ」 の中にあります。
- まず、色を変化させたい シーンを選択 します。
- 「映像フィルタ」を開き、上側にある 明るさ / コントラスト / 彩度 / 色相 / ガンマ の値を設定します。これが シーン開始時刻 (= 始まりの瞬間) の値 になります。
- 「🎨→ 色補正を時間軸で補間」 のチェックボックスをオンにします。これで「時間とともに変化させるモード」になります。
- チェックをオンにすると現れる、その下の 「明 (終) / コ (終) / 彩 (終) / 色 (終) / ガ (終)」 に、シーン終了時刻 (= 終わりの瞬間) の値 を入力します。
- プレビューでシーンを再生し、色がねらいどおりに変化していくか確認します。
- 問題なければ、ダイアログの「OK」または「適用」を押して確定します。
ポイント - 「(終)」が付いていない上側の5項目 = 始まりの値、「(終)」が付いている下側の5項目 = 終わりの値、と覚えてください。 - チェックを オフ にすると、上側の値だけが使われ、シーン全体に一律でかかる従来どおりの動作に戻ります(終了値は無視されます)。
各パラメータの意味と範囲
開始・終了で指定できる5項目は、前の節「映像フィルタ」と同じ意味・同じ範囲の値です。
| 項目 | 何を変える? | 範囲 | めやす |
|---|---|---|---|
| 明るさ | 画面全体の明暗 | -1.0 〜 1.0 | 0 が無補正。プラスで明るく、マイナスで暗く |
| コントラスト | 明暗の差(メリハリ) | 0.0 〜 2.0 | 1.0 が無補正。大きいほどハッキリ、小さいほど眠い画に |
| 彩度 | 色の鮮やかさ | 0.0 〜 3.0 | 1.0 が無補正。0 で完全なモノクロ、大きいほど派手 |
| 色相 | 色味の回転 | -180 〜 180° | 0 が無補正。色全体を青寄り・赤寄りなどへ回す |
| ガンマ | 中間の明るさの持ち上げ | 0.1 〜 10.0 | 1.0 が無補正。中間調だけを明るく/暗くする微調整 |
用語メモ - コントラスト: 明るい所と暗い所の「差」の強さ。高いとくっきり、低いとぼんやりした印象になります。 - 彩度: 色の濃さ・鮮やかさ。下げると地味で落ち着いた色、上げると派手で元気な色になります。 - 色相 (しきそう): 色の種類そのもの(赤・緑・青…)を円状にずらす値。肌色を健康的に寄せたり、全体の色かぶりを補正したりに使います。 - ガンマ: 真っ黒と真っ白はそのままに、中間の明るさだけを持ち上げ下げする調整。暗部のディテールを起こしたいときに便利です。
実行すると何が起きるか (仕組み)
このモードでは、内部的に映像処理エンジン ffmpeg の eq フィルタを フレームごとに値を評価する設定 (eval=frame) で動かし、再生位置に応じた値を式で計算しています。
つまり、シーンの経過時間に比例して、開始値から終了値へ一直線(線形)に値が移っていくということです。
具体例
- 設定: 明るさを 開始 -0.5 / 終了 +0.5、シーンの長さ 10 秒
- 結果:
- 0 秒地点(シーン開始): 明るさ -0.5(暗い)
- 5 秒地点(ちょうど真ん中): 明るさ 0(無補正)
- 10 秒地点(シーン終了): 明るさ +0.5(明るい)
このように、10 秒かけて暗 → 普通 → 明とスムーズに変化します。5項目それぞれが独立して補間されるので、「明るさは上げつつ、彩度は下げる」といった同時に別方向の変化もできます。
つまずきやすい点・コツ・推奨設定
- チェックを入れ忘れると変化しない: 「🎨→ 色補正を時間軸で補間」をオンにしない限り、終了値(「(終)」側)は完全に無視されます。「終了値を入れたのに変わらない」ときは、まずこのチェックを確認してください。
- 開始値と終了値を同じにすると、変化しません(=ずっと一定)。それなら最初からチェックをオフにして、映像フィルタの一律補正を使うほうがシンプルです。
- 変化はあくまで「直線」: mediaFlick の補間は線形のみです。「最初ゆっくり、後で急に」といった緩急(イーズ)の付いたカーブはできません。緩急が欲しい場合は、シーンを分割して各シーンに別々の値を割り当てると、擬似的に段階を作れます。
- やりすぎ注意: 範囲の端いっぱい(明るさ ±1.0、彩度 3.0 など)まで振ると、白飛び・黒つぶれ・色の破綻が起きやすくなります。最初は控えめな差(例: 明るさ -0.2 → +0.2)から試し、プレビューを見ながら少しずつ強めるのがおすすめです。
- 必ずプレビューで確認: 数値だけでは仕上がりが想像しにくい機能です。設定したら実際にシーンを再生し、変化の速さ・方向が意図どおりか目で確かめましょう。
- シーン単位の設定: この補間は「選択中のシーン」に対して設定されます。タイトル内に複数シーンがある場合、シーンごとに別々のキーフレームを持てます。狙ったシーンを選んでいるか確認してから設定してください。
オーバーレイ (テキスト・画像・PIP・字幕・BGM)
「オーバーレイ」とは、もとの映像の 上に重ねて表示する追加の要素 のことです。映像そのものはいじらず、その上に文字・ロゴ・別の動画・字幕などを乗せたり、別トラックで音楽を流したりできます。テレビ番組の右上に出る局ロゴ、ニュースの下に出るテロップ、動画の隅に小さく映る「ワイプ」(出演者の顔)、BGM の音楽 — こうしたものはすべてオーバーレイの仲間です。
mediaFlick では、これらをタイムラインの左側に並んだツールボタンから追加します。映像ファイルを差し替えても、いったん作ったオーバーレイの設定は残るので、何度でも調整できます。
一言メモ: オーバーレイは「重ね合わせ」。出力 (エンコード) するときに、もとの映像と一枚に焼き付けられて 1 本の動画になります。あとから視聴者がオフにすることはできません (字幕も「焼き込み」方式のため、これは後述します)。
追加・削除のボタン
タイムライン左側のツールボタンで、追加と削除を行います。
| ボタン | 機能 | 扱えるもの |
|---|---|---|
| 📝 文字追加 / ✕ 文字削除 | テキストオーバーレイ | 入力した文字 |
| 🖼 画像追加 / ✕ 画像削除 | 静止画オーバーレイ | PNG / JPG / BMP / GIF / WebP |
| 🎞 PIP 追加 / ✕ PIP 削除 | 動画オーバーレイ (ピクチャインピクチャ) | 別の動画ファイル |
| 🎬 字幕追加 / ✕ 字幕削除 | 焼き込み字幕 | SRT / ASS / SSA / VTT |
| 🎵 BGM 追加 / ✕ BGM 削除 | 音楽トラック | 音声ファイル (MP3 / WAV / AAC 等) |
追加したときに、どこに置かれるか
文字・画像・PIP・字幕を追加すると、そのときの再生ヘッド (プレイヘッド) の位置を起点に配置 されます。再生ヘッドとは、タイムライン上に立っている縦の線で「いま何秒地点を見ているか」を表します。
- つまり「この瞬間からテロップを出したい」と思ったら、まず再生ヘッドをその位置まで動かしてから追加ボタンを押す、という手順になります。
- BGM だけは例外で、追加すると先頭 (0 秒) から置かれることが多いので、あとからタイムライン上でドラッグして開始位置を調整します。
コツ: 追加してから「ここじゃなかった」と思っても大丈夫です。タイムライン上のクリップを横にドラッグすれば開始時刻を、端をつかんでドラッグすれば表示の長さ (持続時間) を変えられます。
テキスト (文字オーバーレイ)
これは何か: 映像の上に好きな文字を表示する機能です。タイトル、説明テロップ、字幕風のコメント、クレジット (制作者名) などに使います。
どんな時に役立つか: 「2026年 春 運動会」のような見出しを冒頭に出したい、料理動画で「砂糖 大さじ2」と手順を表示したい、結婚式のムービーで新郎新婦の名前を出したい — そういった場面で活躍します。
設定できる項目
| 項目 | 内容 | 既定値 |
|---|---|---|
| テキスト | 表示する文字そのもの | 空 |
| フォント (FontFamily) | 書体 | Arial |
| サイズ (FontSize) | 文字の大きさ (数値) | 48 |
| 文字色 (FontColor) | 色名 (white, black, red 等) または #RRGGBB | white (白) |
| 縁取り色 (OutlineColor) | 文字のフチの色 | black (黒) |
| 縁取りの太さ (OutlineThickness) | フチの太さ (数値、0 でフチなし) | 2 |
| 背景帯の色 (BoxColor) | 文字の後ろに敷く帯の色 (空なら帯なし) | なし |
| 背景帯の透明度 (BoxOpacity) | 帯の濃さ 0.0〜1.0 (0=透明, 1=不透明) | 0.5 |
| 位置 X / Y | 画面内の場所 (詳細は下記) | X=0.5, Y=0.85 |
| 表示開始 / 終了 | 何秒から何秒まで出すか | 開始=0、長さ約3秒 |
| アニメーション | 出方・消え方の演出 (下記 9 種) | なし (None) |
位置 X / Y の指定方法 (重要)
X と Y は「画面のどこに置くか」を表しますが、2 通りの解釈があります。
- 0.0〜1.0 の比率指定: 画面の幅・高さを 1.0 とした割合です。
- X=0.0 が左端、X=0.5 が中央、X=1.0 が右端
- Y=0.0 が上端、Y=0.5 が中央、Y=1.0 が下端
- 既定の X=0.5 / Y=0.85 は「横は中央、縦は下から少し上」= テロップの定番位置です。
- 1 以上の絶対ピクセル指定: 1 以上の数値を入れると「画面左上から何ピクセル」という絶対座標として扱われます。細かく位置を合わせたい上級者向けです。
つまずきポイント: 「X に 100 と入れたのに端に飛んだ」というときは、1 以上なのでピクセル扱いになっています。割合で置きたいなら 0〜1 の範囲 (例: 0.7) を入れてください。
アニメーション (出方・消え方の演出) 9 種
| 種類 | 動き |
|---|---|
| FadeInOut | じわっと現れ、じわっと消える (最も自然・万能) |
| FadeIn | じわっと現れる (消えるのは瞬時) |
| FadeOut | 瞬時に現れ、じわっと消える |
| SlideFromLeft | 左からスライドして入ってくる |
| SlideFromRight | 右からスライドして入ってくる |
| SlideFromTop | 上からスライドして入ってくる |
| SlideFromBottom | 下からスライドして入ってくる |
| ZoomIn | 小さい状態から拡大しながら現れる |
| Typewriter | 1 文字ずつタイプするように現れる |
- フェードやスライドの「かかる時間」は フェードイン秒 (FadeInSec) / フェードアウト秒 (FadeOutSec) で調整します (既定は各 0.5 秒)。
- 演出をつけたくないときは「なし (None)」のままにします。
推奨設定: 迷ったら FadeInOut が無難です。パッと出てパッと消えるより上品で、視聴者が読み終える時間も自然に確保できます。
文字の動き (キーフレーム)
テキストには「Animate (アニメーション移動)」という設定があり、これを ON にすると、表示開始位置から終了位置まで 文字がゆっくり移動 します。
- 開始位置は X / Y、終了位置は EndX / EndY で指定します。
- たとえば画面下から上へ流れる「エンドロール (クレジット)」のような表現に使えます。
- ※ 現在この移動の対象は位置 (X/Y) のみです。文字サイズや色を途中で変える機能は今後の対応予定です。
操作手順
- タイムラインの再生ヘッドを、文字を出したい開始位置まで動かす。
- 「📝 文字追加」ボタンを押す。
- 表示された設定欄に文字を入力し、フォント・サイズ・色・位置などを整える。
- 必要ならアニメーションを選ぶ。
- プレビューで見え方を確認し、タイムライン上で開始位置・長さを微調整する。
静止画 (画像オーバーレイ)
これは何か: ロゴマークや写真などの静止画像を、映像の上に重ねる機能です。
どんな時に役立つか: 自分のチャンネルロゴや会社ロゴを右上に常時表示する「ウォーターマーク (透かし)」、スライドショーで写真を一枚ずつ見せる、注意書きの画像を一定時間だけ出す、といった用途です。
| 項目 | 内容 | 既定値 |
|---|---|---|
| スケール (Scale) | 拡大・縮小の倍率 (1.0=元の大きさ、0.5=半分、2.0=2倍) | 1.0 |
| 不透明度 (Opacity) | 透け具合 0.0〜1.0 (0=完全に透明, 1=くっきり) | 1.0 |
| 位置 X / Y | 0.0=左/上、0.5=中央、1.0=右/下 (テキストと同じ比率指定) | X=0.5, Y=0.5 |
| フェードイン秒 (FadeInSec) | 何秒かけて現れるか (0 なら即表示) | 0.0 |
| フェードアウト秒 (FadeOutSec) | 何秒かけて消えるか (0 なら即消える) | 0.0 |
| 表示開始 / 終了 | 何秒から何秒まで出すか | 開始=0、長さ約5秒 |
- ロゴを薄く常時表示する透かしにしたいときは、不透明度を 0.3〜0.5 くらいに下げると映像のじゃまになりません。
- 対応形式は PNG / JPG / BMP / GIF / WebP です。背景を透けさせたいロゴは、透過に対応した PNG で用意するのがおすすめです (JPG は透過できません)。
一言メモ: 「透過 PNG」とは、背景部分が透明になっている画像。これを使うと、ロゴの周囲だけ映像が透けて見え、四角い枠が出ません。
操作手順
- 再生ヘッドを画像を出したい位置へ動かす。
- 「🖼 画像追加」ボタンを押し、画像ファイルを選ぶ。
- スケール・不透明度・位置を調整する。
- 必要ならフェードイン/アウト秒を設定して、自然に出入りさせる。
PIP (動画オーバーレイ / ピクチャインピクチャ)
これは何か: 別の動画を、もとの映像の上に小さく重ねて同時再生する機能です。「PIP」は Picture-in-Picture (ピクチャインピクチャ)、つまり「映像の中の映像」という意味です。
どんな時に役立つか: ゲーム実況で画面の隅に自分の顔 (ワイプ) を出す、メインの説明映像の片隅に手元のアップを出す、2 つのカメラ映像を並べて見せる、といった場面です。
| 項目 | 内容 | 既定値 |
|---|---|---|
| 位置 X / Y | 0.0=左/上、1.0=右/下 (子画面の中心の比率) | X=0.75, Y=0.25 (右上) |
| スケール (Scale) | 子画面の大きさ (1.0=等倍、0.3=画面の約3割) | 0.3 |
| 不透明度 (Opacity) | 透け具合 0.0〜1.0 | 1.0 |
| 音声をミックス (MixAudio) | ON で子動画の音も一緒に流す。OFF (既定) なら無音化 | OFF |
| 音量補正 (AudioVolumeDb) | 子動画の音量を上げ下げ (dB 単位、ミックス ON のとき有効) | 0.0 |
| 開始オフセット (SourceStart) | 重ねる動画の「途中から」使いたいときの開始位置 | 0 (先頭から) |
| フェードイン/アウト秒 | 子画面の現れ方・消え方 | 0.0 |
| 表示開始 / 終了 | 何秒から何秒まで出すか | 開始=0、長さ約10秒 |
音声まわりの考え方 (つまずきやすい点)
- 既定では PIP 動画は 無音 です。ワイプ映像の音を主映像に混ぜたい場合は「音声をミックス (MixAudio)」を ON にします。
- ミックス ON にしたあと、子動画の声が小さい/大きいときは「音量補正 (AudioVolumeDb)」で調整します。プラスの数値で大きく、マイナスで小さくなります。
一言メモ: dB (デシベル) は音量の単位。+6 dB でだいたい音量 2 倍、-6 dB で半分くらいの感覚です。少しずつ (±3 程度) 動かして確認しましょう。
開始オフセット (SourceStart) とは
重ねたい動画の「最初の 10 秒は不要、11 秒目から使いたい」というときに、開始オフセットを 11 秒に設定します。動画そのものをカットしなくても、使いたい部分から重ねられます。
操作手順
- 再生ヘッドを PIP を出したい位置へ動かす。
- 「🎞 PIP 追加」ボタンを押し、重ねる動画を選ぶ。
- 位置 (例: 右上 X=0.75 / Y=0.25) とスケール (例: 0.3) を決める。
- 子動画の音も流したいなら「音声をミックス」を ON にし、音量補正で整える。
- プレビューで重なり具合・音量を確認する。
字幕 (焼き込み字幕)
これは何か: 字幕ファイル (SRT など) の内容を、映像に直接合成する機能です。「焼き込み (ハードサブ)」方式なので、出力した動画ではどの再生環境でも字幕が表示されます。
どんな時に役立つか: セリフの聞き取りを助けたい、外国語のナレーションに翻訳をつけたい、音を出せない環境 (電車など) でも内容が伝わるようにしたい、といった場面です。
一言メモ: 字幕には「焼き込み (ハードサブ)」と「ソフトサブ」があります。 - 焼き込み = 映像に絵として描き込む。必ず表示されるが、後からオフにできない。mediaFlick のこの機能はこちら。 - ソフトサブ = 字幕を別データとして保持し、再生機側で ON/OFF できる。 mediaFlick で扱える字幕ファイルは SRT / ASS / SSA / VTT です。
| 項目 | 内容 | 既定値 |
|---|---|---|
| ON/OFF (IsEnabled) | この字幕を焼き込むかどうか | ON |
| フォントサイズ上書き (FontSizeOverride) | 文字の大きさを上書き (0 ならファイルの指定のまま) | 0 |
| フォント色上書き (FontColorOverride) | 色を上書き (#RRGGBB または色名、空ならファイルのまま) | なし |
| 縁取り色上書き (OutlineColorOverride) | フチの色を上書き | なし |
| 下端マージン (MarginVBottom) | 画面下からの余白 (% 単位、0 なら標準位置) | 0 |
| 時間オフセット (TimeOffsetSec) | 字幕の表示タイミングを前後にずらす (秒) | 0.0 |
つまずきやすい点とコツ
- 字幕の表示位置がほかのテロップと重なるときは「下端マージン」を上げて、字幕を少し上に押し上げます。
- 字幕が映像とズレるときは「時間オフセット」で直せます。字幕が早すぎる (映像より先に出る) ならプラス方向、遅すぎるならマイナス方向に少しずつ調整します。
- 上書き項目はいずれも「空 (または 0)」にしておけば、字幕ファイルが本来持っている指定がそのまま使われます。色や大きさを変えたいときだけ値を入れてください。
操作手順
- 「🎬 字幕追加」ボタンを押し、字幕ファイル (SRT 等) を選ぶ。
- そのまま使うなら設定はそのまま。文字を大きくしたい等あれば各上書き欄を入力する。
- 字幕が映像とズレているようなら「時間オフセット」で合わせる。
- プレビューでタイミングと位置を確認する。
BGM (音楽トラック)
これは何か: 映像とは別に、背景に流す音楽 (Background Music) を追加する機能です。映像の音声とは独立した専用トラックとして扱われます。
どんな時に役立つか: スライドショーやオープニングに音楽をつけたい、無音の場面に雰囲気づくりの曲を流したい、といった場面です。
| 項目 | 内容 | 既定値 |
|---|---|---|
| 開始位置 (ProjectStart) | タイムライン上のどこから曲を流すか | 0 秒 |
| 開始オフセット (SourceStart) | 曲ファイルの「途中から」使いたいときの開始位置 | 0 (先頭から) |
| 採用する長さ (SourceDuration) | 曲のうち何秒分を使うか (0 ならファイル末尾まで) | 0 (末尾まで) |
| 音量補正 (VolumeDb) | 曲の音量を上げ下げ (dB) | 0.0 |
| フェードイン (FadeIn) | 曲の頭をじわっと立ち上げる | ON |
| フェードアウト (FadeOut) | 曲の終わりをじわっと消す | ON |
- BGM は専用レイヤーとして 最大 3 つ まで重ねられます (静かな曲と効果音を同時に、といった使い方)。
- 主映像の声と BGM がぶつかって聞き取りづらいときは、BGM の音量補正をマイナス (例: -10 dB 前後) にして控えめにします。
- フェードイン/フェードアウトは既定で ON です。曲が唐突に始まったり切れたりせず、自然になります。
コツ: BGM を追加すると先頭付近に置かれることが多いので、流したい位置までタイムライン上でドラッグして合わせます。曲が映像より長い/短いときは、開始オフセットと「採用する長さ」で使う範囲を切り出せます。
操作手順
- 「🎵 BGM 追加」ボタンを押し、音声ファイルを選ぶ。
- タイムライン上で BGM クリップを、流したい開始位置までドラッグする。
- 音量補正で映像の声とのバランスを取る。
- 必要に応じてフェードイン/アウトの ON/OFF を確認する。
プレビュー上での表示について
mediaFlick のプレビューは、映像を WriteableBitmap という仕組み経由で WPF の <Image> 部品に転写して表示しています。この方式のおかげで、
- 映像の 回転 (RotateTransform)
- テキスト / 画像オーバーレイ
- 編集用のハンドル
を、映像の上に 直接重ねて プレビューできます。以前は「映像の上に編集用の部品を重ねられない」という表示方式上の制約がありましたが、現在は解消済みです。
その代償として、プレビューは ソフトウェアデコード (CPU で映像を展開する方式) で動きます。
- ハードウェアデコード (GPU を使った高速展開) は、最終的なエンコード時にのみ有効になります。
- そのため、プレビューが実用的に滑らかなのは概ね Full HD (1920×1080) までです。4K など高解像度の素材ではプレビューがカクつくことがありますが、これはプレビュー表示上の制約で、出力される動画の品質には影響しません。
つまずきポイント: 「プレビューがカクカクするから素材が壊れている?」と心配になるかもしれませんが、これはプレビューを CPU で処理しているためで正常です。出力 (エンコード) では GPU を使えるので、書き出した動画は滑らかに仕上がります。
音声処理 (音量・BGM・ラウドネス)
動画は「映像」と「音」の 2 つでできています。 このセクションでは、その 「音」の部分 を整える機能をまとめて説明します。 具体的には次の 3 つです。
- 音量補正 — 動画の音が大きすぎる / 小さすぎるのを直す
- BGM (バックグラウンドミュージック) — 動画に好きな音楽を重ねて流す
- ラウドネスノーマライズ — 複数の動画をつないだとき、場面ごとに音の大きさがバラつかないよう自動でそろえる
映像の編集が一通り終わったら、最後に音を仕上げる、という流れで読んでください。映像がきれいでも、場面によって音が大きすぎたり小さすぎたりすると、作品の印象は大きく下がります。この章の機能は、そうした音のムラをなくすためのものです。
用語メモ — 音量とラウドネスの違い 「音量 (ボリューム)」は、つまみを回すように音の大小を機械的に上げ下げする操作です。 「ラウドネス」は、人間の耳が実際に感じる「うるささ・大きさの体感」を数値にしたものです。 同じ音量設定でも、にぎやかな音楽と静かなナレーションでは体感の大きさが違います。 後半のラウドネスノーマライズは、この「体感の大きさ」をそろえる、より賢い仕組みです。
音量補正の階層 — 3 つの音量つまみが足し算される
mediaFlick の音量調整には 3 段階 があり、それぞれ別の場所で設定できます。 そして、最終的な音の大きさは この 3 つを足し合わせた (加算した) 結果 で決まります。
| 階層 | どこで設定するか | 効く範囲 |
|---|---|---|
| シーン音量 | 各シーンごと | そのシーン 1 つだけ |
| タイトル音量 | タイトル編集ダイアログ | そのタイトル (動画 1 本) 全体 |
| プロジェクト全体音量 (GlobalVolumeDb) | プロジェクト設定 | 作品全体のすべての動画 |
「足し算される」とはどういうことか
たとえば、ある 1 つのシーンについて考えてみましょう。
- シーン音量を +2dB に設定
- そのシーンが含まれるタイトル音量を +1dB に設定
- プロジェクト全体音量を −3dB に設定
このとき、そのシーンが最終的にどれだけ大きくなるかは、
+2dB + 1dB − 3dB = 0dB (元のまま)
というように、3 つの値を単純に足した結果になります。 マイナスの値は「小さくする」、プラスの値は「大きくする」という意味です。
用語メモ — dB (デシベル) 音の大きさを表す単位です。0dB が「元の音のまま (変化なし)」 を意味します。 プラスにすると大きく、マイナスにすると小さくなります。 目安として、+6dB でおよそ 2 倍の大きさ、−6dB でおよそ半分の大きさ、と覚えておくと便利です。
どの階層を使い分けるか (具体例)
3 つもあると迷いますが、使い分けは単純です。「効かせたい範囲の広さ」で選ぶだけです。
- 1 つの場面だけ音を直したい → シーン音量
- 例: 旅行動画の途中、風が強くてマイクがボーボー鳴っている場面だけ少し下げる。
- その動画 1 本だけ全体的に音が小さい / 大きい → タイトル音量
- 例: 古いビデオカメラで撮った 1 本だけ録音レベルが低いので、その動画だけ持ち上げる。
- 作品全体をまとめて一段上げ下げしたい → プロジェクト全体音量 (GlobalVolumeDb)
- 例: 完成して見直したら全体的に音が小さかったので、最後にまとめて底上げする。
コツ — まずは全体音量で大づかみ、次に個別で微調整 最初からシーン単位で細かくいじると収拾がつかなくなりがちです。 「全体音量でだいたい合わせる → 浮いている動画をタイトル音量で直す → どうしても気になる場面だけシーン音量で微調整」 の順に、広い範囲から狭い範囲へ詰めていくと迷いません。
BGM トラック — 動画に好きな音楽を重ねる
撮影した動画の上に、別途用意した音楽ファイルを 重ねて (ミックスして) 流す 機能です。 旅行のスライドショーに明るい曲を敷いたり、オープニングに音楽を入れたりと、作品の雰囲気づくりに使います。
用語メモ — BGM (バックグラウンドミュージック) 映像の「後ろ」で流れ続ける音楽のことです。 動画そのものの音 (人の声や環境音) を消すわけではなく、その上に重ねて同時に鳴らします。
どんな時に役立つか (具体例)
- 子どもの成長記録ムービーに、やさしいピアノ曲を敷いて感動的に仕上げる。
- 旅行の写真・動画をつないだダイジェストに、アップテンポな曲を流して躍動感を出す。
- 結婚式や発表会の記録に、テーマ曲を重ねて「作品」らしくする。
BGM を追加する手順
- 画面下部の タイムライン を表示します。
- タイムライン上の 「🎵 BGM 追加」 をクリックします。
- ファイル選択ダイアログが開くので、流したい音楽ファイルを選びます。
対応している音楽ファイルの形式は次のとおりです。広く使われている形式はほぼ網羅しています。
- MP3 / M4A / AAC — もっとも一般的な音楽ファイル形式。市販曲やダウンロード曲の多くがこれ。
- WAV / FLAC — 音質を落とさず保存する形式 (ファイルサイズは大きめ)。
- OGG / OPUS / WMA — その他の音楽ファイル形式。
用語メモ — タイムライン 画面下部にある、時間の流れを左から右へ横長の帯で表したエリアです。 動画やシーン、BGM が「いつ・どのくらいの長さで」並んでいるかを一目で確認できます。
BGM の細かい設定 (プロパティペイン)
タイムラインに追加した BGM をクリックして選ぶと、画面の プロパティペイン で次の項目を細かく調整できます。
- 開始位置 — その BGM を、作品の何秒目から鳴らし始めるか。
- 長さ — どこまで鳴らすか (途中で止めることもできます)。
- 音量 — BGM 自体の大小。動画本来の音とのバランスを取るために使います。
- フェード in / out — 鳴り始めをだんだん大きく (フェードイン)、鳴り終わりをだんだん小さく (フェードアウト) する効果。
用語メモ — フェード イン / アウト 「フェード」は「徐々に変化する」という意味です。 フェードインは無音から自然に音楽が立ち上がること、フェードアウトは音楽がスッと消えていくことです。 どちらも、いきなり音が始まったり切れたりする違和感をなくし、なめらかな印象に仕上げます。
用語メモ — プロパティペイン 選択中の要素 (今選んでいる BGM など) の設定項目が一覧で並ぶ領域のことです。 「選んだものの詳細設定パネル」と考えてください。
波形が自動で表示される
BGM をタイムラインに置くと、その帯の中に 音の大小を表す波形 (はけい) が自動で描かれます。 波がギザギザと大きく振れている所は音が大きく、平らに近い所は音が小さい (または無音) 場所です。
これにより、「曲のサビ (盛り上がり) がどのあたりか」「曲の終わりの静かになる所」などが目で見て分かります。 動画の見せ場と曲の盛り上がりを合わせたいときに、とても役立ちます。
用語メモ — 波形 (はけい) 音の大きさの時間変化を、横軸=時間・縦軸=音の大小としてギザギザの形で描いたものです。 描画には ffmpeg の showwavespic という仕組みが使われ、一度描いた波形は PNG 画像としてキャッシュ (一時保存) されるため、次からは素早く表示されます。
複数の BGM を使う
BGM は 1 曲だけでなく、複数追加することもできます。 たとえば前半は静かな曲、後半は明るい曲、というように曲を切り替えることが可能です。
複数の BGM が同時に鳴る区間があった場合、それらは ffmpeg の amix という仕組みで自動的に合成 (ミックス) され、1 つの音として出力されます。
コツ — 動画本来の音と BGM のバランス BGM を入れると、動画の中の人の声が BGM に埋もれて聞こえにくくなることがあります。 人の声を聞かせたい作品なら BGM の音量を控えめ (マイナス方向) に、雰囲気重視なら BGM を主役にする、というように、 BGM の「音量」設定で本来の音とのバランスを調整してください。 波形を見ながら、声がある区間だけ BGM を下げるといった工夫も効果的です。
ラウドネスノーマライズ (EBU R128) — 音の大きさを自動でそろえる
複数の動画をつなげて 1 本の作品にすると、動画ごとに録音レベルが違うため、 場面が変わるたびに音が大きくなったり小さくなったりすることがよくあります。 視聴者は、その都度リモコンの音量を上げ下げしなければならず、とても不快に感じます。
ラウドネスノーマライズは、この問題を自動で解決する機能です。 作品全体の「体感の音の大きさ」を測り、決めた目標値にそろえてくれます。
用語メモ — ラウドネスノーマライズ 「ノーマライズ」は「標準化・そろえる」という意味です。 単純に音量を一律で上げ下げするのではなく、人間の耳が感じる大きさ (ラウドネス) を基準にそろえるのが特徴です。 テレビ放送や動画配信サービスでは、この方式で番組ごとの音量差をなくしています。
用語メモ — EBU R128 ヨーロッパの放送連合 (EBU) が定めた、ラウドネスのそろえ方の国際的な標準ルールです。 テレビ放送や配信で広く使われている「お墨付きの基準」だと考えてください。
どんな時に役立つか (具体例)
- スマホ・デジカメ・古いビデオなど、別々の機器で撮った動画を 1 本にまとめるとき。
- イベントの記録で、室内・屋外・ステージ上など、録音条件がバラバラな映像をつなぐとき。
- YouTube などに投稿する作品を、配信サービスの音量基準に合わせたいとき。
設定する手順
- プロジェクト設定 を開きます。
- ラウドネスノーマライズの チェックを ON にします。
- 目標 LUFS (ラウドネスの目標値) を指定します。
目標値は用途に合わせて選びます。代表的な値は次のとおりです。
| 目標 LUFS | 用途の目安 |
|---|---|
| −23 LUFS | EBU 標準。テレビ放送など、放送基準に合わせたいとき。 |
| −14 LUFS | 配信標準。YouTube などの動画配信サービス向け。 |
用語メモ — LUFS ラウドネス (体感の音の大きさ) を測る単位です。 数値はマイナスで表され、0 に近いほど大きく、マイナスに大きいほど小さい音になります。 たとえば −14 LUFS は −23 LUFS より大きめの音、という関係です。 迷ったら、テレビ向けなら −23、ネット配信向けなら −14 を選んでおけば間違いありません。
実行すると何が起きるか
ラウドネスノーマライズは、すべての動画をつなぎ合わせた後、作品全体に対してまとめてかけられます (グローバルなポスト処理)。 内部では ffmpeg の loudnorm を 1 パス (1 回処理) で適用し、作品全体の体感音量を目標 LUFS に近づけます。
用語メモ — ポスト処理 / 1 パス 「ポスト処理」は「後処理」、つまりすべての編集・連結が終わった最後の段階でかける処理のことです。 「1 パス」は、音を 1 回だけ通して調整するやり方です (細かく測り直す 2 パス方式に比べて速いのが利点です)。
コツ — 「全体音量」と「ラウドネスノーマライズ」の使い分け 前半の「プロジェクト全体音量 (GlobalVolumeDb)」は、つまみを手で回すように 一律で 音を上げ下げするものです。 一方ラウドネスノーマライズは、体感の大きさを基準に自動でそろえる 賢い仕組みです。 「全体的にもう少し大きく / 小さく」したいだけなら全体音量、 「場面ごとの音のバラつきをなくしたい」ならラウドネスノーマライズ、と覚えてください。 両方を同時に使うと二重に効いて意図しない大きさになることがあるため、まずはどちらか一方で試すのがおすすめです。
トランジション
トランジションとは何か
「トランジション」(transition) とは、ある映像から次の映像へ切り替わるときの“つなぎ目の演出”のことです。
複数のシーンやタイトルを順番に並べて再生すると、何も設定しなければ前のシーンが終わった瞬間にパッと次のシーンへ切り替わります。これを「ハードカット」と呼びます。テンポよく見せたいときには十分ですが、
- 旅行のスナップ動画をやさしい雰囲気でつなぎたい
- 章と章の区切りをはっきり見せたい
- スライドショーのように写真をなめらかに送りたい
といった場面では、切り替わりの瞬間にフェード(だんだん暗く/明るく)やワイプ(画面を払うように切り替える)などの効果を入れると、ぐっと“映像作品らしい”仕上がりになります。この切り替え演出がトランジションです。
用語メモ:ハードカット (hard cut) = 演出を一切入れず、前の絵から次の絵へ瞬間的に切り替えること。映画やテレビでも最も多く使われる、ごく自然なつなぎ方です。
mediaFlick では、各シーンの末尾または各タイトルの末尾にトランジションを設定できます。「そのシーン(タイトル)が終わって、次のものに移るとき」にどんな演出を出すかを、シーンごと・タイトルごとに選べる仕組みです。
用語メモ:シーン = 1 本の動画クリップなど、映像の最小のかたまり。タイトル = いくつかのシーンをまとめた章のようなまとまり (DVD のチャプターに相当)。
設定できる 11 種類のトランジション
mediaFlick で選べるトランジションは次の 11 種類です。それぞれ「画面の中で何が起きるか」を具体的にイメージできるよう説明を添えています。
| Type | 動き | 説明・向いている場面 |
|---|---|---|
| None | 何もしない | ハードカット。瞬間的に次の映像へ切り替わります。デフォルト(初期値)はこれです。テンポを保ちたいとき、ニュース風・ダイジェスト風にしたいときに最適。 |
| Fade | 黒をはさんでフェード | 前のシーンがいったん真っ暗(黒)になってから、次のシーンが暗闇の中から浮かび上がります。「場面が大きく変わる」「時間が経過した」ことを伝えたいときに最適。章の区切りに定番。 |
| CrossDissolve | 2 つの映像が混ざる | 前の映像が薄れていくのと同時に次の映像が濃くなり、一瞬だけ両方が重なって溶け合うように切り替わります。黒をはさまないので、Fade よりやわらかく上品な印象。写真スライドショーや、しっとりした雰囲気に向きます。 |
| WipeLeft | 左へ払う | 次の映像が右から左へ画面を払うように現れます。 |
| WipeRight | 右へ払う | 次の映像が左から右へ画面を払うように現れます。 |
| WipeUp | 上へ払う | 次の映像が下から上へせり上がるように現れます。 |
| WipeDown | 下へ払う | 次の映像が上から下へ降りてくるように現れます。 |
| SlideLeft | 左へスライド | 前の映像が左へ押し出され、入れ替わるように次の映像が入ってきます。ワイプが「上に重ねて払う」のに対し、スライドは「ページをめくるように押し出す」動きです。 |
| SlideRight | 右へスライド | 前の映像が右へ押し出され、次の映像が入ってきます。 |
| Circleopen | 円が開く | 画面中央に小さな円が現れ、それが外へ広がりながら次の映像が見えてきます。「ここから始まる」という導入感を出せます。 |
| Circleclose | 円が閉じる | 前の映像が円形にすぼまって消えていき、次の映像が外側から現れます。昔のアニメの「場面の締め」のような印象。 |
| Pixelize | モザイク化して切替 | 画面がいったん粗いモザイク(四角いブロック)になり、そのまま次の映像が現れます。デジタル感・ポップな雰囲気を出したいときに。 |
用語メモ:ワイプ (wipe) = 雑巾で窓を拭うように、境界線が画面を横切って次の絵を“塗り替えて”いく演出。スライド (slide) = 絵そのものが横や縦に動いて入れ替わる演出。見た目は似ていますが、ワイプは前の絵がその場に残ったまま上から塗られ、スライドは前の絵ごと押し出される点が違います。
操作手順
トランジションは、トランジションをつけたいシーン(またはタイトル)を選んでから設定します。「次のシーンの先頭」ではなく「終わるシーンの末尾」に付ける、と覚えてください。
- 編集画面で、トランジションを設定したいシーンまたはタイトルを選択します。
- プロパティ(設定)欄にあるトランジションの種類を、上の一覧から選びます。最初は
None(演出なし)になっています。 None以外を選ぶと、トランジション時間(長さ)を指定できるようになります。何秒かけて切り替えるかを入力します。- 設定はそのシーン(タイトル)の末尾に適用されます。プレビューで再生して、つなぎ目の演出を確認しましょう。
トランジション時間(長さ)の指定
トランジションには「何秒かけて切り替えるか」という長さの設定があります。
- 指定できる範囲は 0.1 秒 〜 5 秒です。
- 短く(0.3〜0.5 秒程度)すると、きびきびとテンポのよい印象になります。
- 長く(1〜2 秒程度)すると、ゆったり・しっとりした印象になります。Fade や CrossDissolve を長めにすると、落ち着いた雰囲気が出ます。
- 5 秒はかなり長く感じられます。スライドショーなど“間(ま)”を大切にしたい用途以外では、長すぎると間延びして見えるので注意してください。
迷ったら、まずは 0.5〜1 秒あたりから試し、プレビューを見て調整するのがおすすめです。
実行すると何が起きるか(技術メモ)
mediaFlick のトランジションは、動画処理エンジン ffmpeg の xfade フィルタを使って作られます。書き出し(エンコード)のときに、前のシーンの末尾と次のシーンの先頭を指定した秒数だけ重ねて合成し、選んだ演出(フェード・ワイプ等)を計算して 1 本の映像につなぎ合わせます。
用語メモ:ffmpeg = 動画や音声を変換・合成するための定番エンジン。mediaFlick は内部でこれを呼び出して映像を作っています。xfade = その ffmpeg が持つ「2 つの映像をなめらかにつなぐ」専用機能の名前です。
つまずきやすい点・コツ
- トランジションは“前のシーンの終わり”に付く:次のシーンに付けるものと勘違いしやすい点です。「A → B」を演出したいときは、A のトランジションを設定します。
- 一番最後のシーンに付けても効果は出ない:後ろにつなぐ映像がないため、最後のシーンの末尾トランジションは見た目に反映されません。
- 演出を入れると映像はその秒数だけ重なる:トランジション中は 2 つの映像が重なって処理されるため、切り替え部分でほんのわずかに尺(再生時間)の感じ方が変わります。秒単位できっちり合わせたい場合は時間を短めにしておくと安全です。
- 入れすぎ注意:すべてのつなぎ目に派手なトランジション(ワイプや円形)を入れると、かえって落ち着きのない映像になりがちです。基本はハードカットか CrossDissolve でそろえ、章の切り替えなど“ここぞ”という場面だけ Fade などの強めの演出を使うと、全体が締まって見えます。
- まずプレビューで確認:書き出してから「思っていた動きと違う」と気づくと作り直しになります。設定したらプレビュー再生で必ずつなぎ目を見てから書き出しましょう。
タイムライン操作
タイムラインとは何か
「タイムライン」(timeline) とは、編集中の映像・音声・文字を時間の流れに沿って左から右へ並べて見せる作業エリアのことです。横軸が時間(左が始まり、右が終わり)、縦軸が重なり(レイヤー/トラック)を表します。
ビデオ編集の世界では、素材を 1 本ずつ箱(クリップ)として扱い、その箱を時間軸の上に並べたり、長さを伸び縮みさせたり、切り分けたりして 1 本の作品を組み立てます。mediaFlick のタイムラインも同じ考え方で、
- ビデオ(映像クリップ)
- BGM(背景音楽などの音声)
- 文字(テロップ・字幕)
といったレイヤーが上下に重なって表示され、それぞれの上にクリップが横長の帯として置かれます。
用語メモ:クリップ (clip) = タイムラインに置かれた素材 1 つ分の帯。映像・音楽・文字のひとかたまりを指します。レイヤー / トラック = クリップを置く横一列の段。映像の段、音楽の段、文字の段が縦に重なっています。再生ヘッド = 「今この瞬間を再生している」位置を示す目印。下で説明する赤い縦線がそれです。
このセクションでは、タイムラインの表示倍率の変え方、再生位置の動かし方、クリップの動かし方・長さの変え方、そしてクリップを 2 つに切り分ける方法を順に説明します。
スケール (表示倍率)
これは何か
「スケール (px/秒)」とは、タイムライン上で 1 秒分の長さを画面の何ピクセル(px)で表示するかを決める設定です。数字を大きくするほど 1 秒が画面上で長く(横に広く)表示され、小さくするほど短く(横に詰めて)表示されます。
用語メモ:px(ピクセル) = 画面を構成する点の単位。ここでは「画面上の横幅」を表す目安と考えてください。「px/秒」は「1 秒あたり何ピクセルで描くか」という意味です。
紙の地図を思い浮かべてください。地図を拡大すれば細い路地まで見えますが全体は見渡せません。縮小すれば街全体が見渡せますが細部はつぶれます。スケールはこれと同じで、
- 大きくする(拡大)= 細かい編集向き。1 フレーム単位でクリップの端をそろえたい、ほんの一瞬のズレを直したいとき。
- 小さくする(縮小)= 全体把握向き。動画全体の構成を眺めたい、遠くのクリップまで一度に見たいとき。
操作手順
- 編集画面の左ツールにある 「スケール (px/秒)」スライダを見つけます。
- スライダを右へ動かすと拡大、左へ動かすと縮小します。
- 指定できる範囲は 2 px/秒 〜 200 px/秒です。2 が最も縮小(全体表示向き)、200 が最も拡大(細部編集向き)です。
実行すると何が起きるか
スライダを動かすと、タイムラインの横幅と、上部の時間目盛りの間隔がいっしょに変わります。目盛りの間隔は読みやすさを保つため自動で切り替わり、1 秒 / 2 秒 / 5 秒 / 10 秒 / 30 秒 / 60 秒のいずれかが選ばれます。拡大すれば「1 秒」刻みの細かい目盛りに、縮小すれば「60 秒」刻みの粗い目盛りになります。
コツ
- ふだんは中くらいにしておき、「ここを細かく直したい」というときだけ一時的に拡大するのがおすすめです。ずっと最大拡大のままだと全体が見えず、クリップの位置関係を見失いやすくなります。
- クリップの端をぴったりそろえたい(後述のスナップを効かせたい)ときは、いったん拡大すると端どうしの距離が見やすくなり、作業が正確になります。
マーカー (再生ヘッド)
これは何か
「マーカー」は、いわゆる再生ヘッド=「今どの時刻を見ているか」を示す赤い目印です。動画の“しおり”や“読書中のページ”のようなもので、この位置を基準に「ここから再生」「ここで分割」といった操作が行われます。
見た目と動かし方
- 上部の時間目盛り行の中に、赤い ▼ の三角があります。これがマーカーの本体です。
- この ▼ を左右にドラッグすると、再生ヘッドが時間軸上を移動します。
- マーカーの位置からは赤い縦線が下に伸び、すべてのレイヤー(ビデオ・BGM・文字)を薄く貫いて表示されます。この線を目印に、どのクリップのどのあたりを指しているかが一目で分かります。
- 画面の「マーカー位置」枠に、現在の時刻が mm:ss.fff(分:秒.ミリ秒)の形式で表示されます。
用語メモ:mm:ss.fff = 左から「分」「秒」「ミリ秒(1000 分の 1 秒)」。たとえば 01:23.500 は「1 分 23 秒 500 ミリ秒」=「1 分 23.5 秒」の位置を意味します。ミリ秒まで出るのは、1 秒に満たない細かい位置あわせができるようにするためです。
フレーム単位の微調整
ドラッグだけでは狙った位置にぴったり止めにくいことがあります。そんなときはフレーム単位で動かせるボタンを使います。
- ±1F ボタン:再生ヘッドを 1 フレームだけ前/後ろへ動かします。
- ±10F ボタン:再生ヘッドを 10 フレームまとめて前/後ろへ動かします。
用語メモ:フレーム (frame) = 動画を構成する 1 枚 1 枚の静止画(パラパラ漫画の 1 枚)。多くの動画は 1 秒あたり 24〜60 枚のフレームでできています。「1F」はそのうちの 1 枚分=ほんの一瞬の移動です。
コツ
- だいたいの位置はドラッグでざっくり合わせ、最後の追い込みは ±1F / ±10F ボタンで行うと、狙ったコマにぴたりと止められます。
- 後述する「分割」は再生ヘッドの位置で切れます。切りたい場所に正確に再生ヘッドを置いてから分割すると、思った通りの位置で切れます。
クリップの編集
これは何か
タイムラインに並んだ 1 本 1 本のクリップ(映像・音楽・文字の帯)は、位置を動かしたり、始まりや終わりをずらしたりして整えられます。どこをドラッグするかで、動く内容が変わります。
ドラッグする場所と効果
| つかむ場所 | 操作 | 何が変わるか |
|---|---|---|
| クリップの中央 | 横にドラッグ | クリップ全体が時間軸上を移動します(再生される位置がまるごと前後にずれる)。長さは変わりません。 |
| 左端ハンドル(白い帯) | 横にドラッグ | クリップの開始時刻をずらします。左へ引けば早く始まり、右へ縮めれば遅く始まります。 |
| 右端ハンドル(黒い帯) | 横にドラッグ | クリップの終了時刻を変えます。右へ伸ばせば長く、左へ縮めれば短くなります。 |
用語メモ:ハンドル = クリップの端にある“つまみ”。中央をつかむと「移動」、端のハンドルをつかむと「長さ変え」になる、と覚えると分かりやすいです。左端は白い帯、右端は黒い帯で区別されています。
近隣スナップ(吸着)
クリップをドラッグしていると、近くにあるほかのクリップの端や再生ヘッドの位置に、磁石のようにピタッと吸い付く動きをします。これを「スナップ」と呼びます。
- 端どうしの距離が 10px 以内に近づくと自動で吸着します。
- おかげで「クリップとクリップのあいだに 1px のすき間が残ってしまう」「ぴったり並べたつもりが微妙にずれる」といった失敗を防げます。
用語メモ:スナップ (snap) = 近くの目印に自動で吸い付く機能。手作業ではそろえにくい“ぴったり”を機械が手伝ってくれる仕組みです。
右クリックメニュー
クリップを右クリックすると、よく使う操作がメニューで出てきます。
- ✂ ここで分割:再生ヘッドの位置でクリップを 2 つに切り分けます(詳細は次項)。
- 先頭にジャンプ:再生ヘッドをそのクリップの始まりへ移動します。
- 末尾にジャンプ:再生ヘッドをそのクリップの終わりへ移動します。
- 複製:同じクリップをもう 1 つコピーします。
- 削除:そのクリップをタイムラインから取り除きます。
コツ
- 中央=移動、端=長さ変えを取り違えると、「位置を直したいのに長さが変わってしまった」という事故が起きます。つかむ前にカーソルがクリップの中央寄りか端寄りかを意識しましょう。
- ぴったりそろえたいときはスケールを少し拡大してからドラッグすると、スナップの効き具合が見やすくなります。
クリップの分割
これは何か
「分割」とは、1 本のクリップを再生ヘッドの位置で 2 本に切り分ける操作です。長い映像の途中に別のシーンを差し込みたいとき、いらない部分だけ切り取って消したいとき、前半と後半で違う演出を付けたいときなどに使います。
紙テープを 1 本ハサミで切ると 2 本になるのと同じイメージです。切ったあとはそれぞれ独立したクリップとして、別々に移動・削除・編集できます。
操作手順
- 再生ヘッド(赤い縦線)を、切りたい位置に正確に合わせます。±1F / ±10F ボタンで微調整すると正確です。
- 切りたいクリップを右クリックし、メニューから 「✂ ここで分割」を選びます。
- 再生ヘッドの位置を境に、クリップが前半と後半の 2 つに分かれます。
ショートカット (Ctrl+K)
いちいち右クリックしなくても、Ctrl+K を押すだけで分割できます。このとき mediaFlick は、再生ヘッドの真上にあるクリップを自動で 1 つ選んで切ります。複数のレイヤーが重なっている場合は、ビデオ → BGM → 文字 の優先順で対象を決めます(まずビデオがあればビデオを、なければ BGM を、それもなければ文字を切る、という順番です)。
分割すると音量・演出はどう引き継がれるか
分割は「ただ真っ二つにする」だけでなく、前半・後半それぞれに設定が自然に引き継がれるように作られています。種類ごとに次のように分配されます。
- ビデオシーン:後半クリップに音量関連の設定(VolumeDb / PeakDbfs / IntegratedLufs)が引き継がれます。また、分割した境界に残っていた「出ていく側のトランジション」(OutgoingTransition)は削除されます。
- BGM(音声):素材内の再生開始位置と長さ(SourceStart / SourceDuration)が前半・後半に分配されます。フェードアウト(FadeOut)は後半クリップにまとめられます。
- 文字(テロップ):フェードイン(FadeIn)は前半クリップに、フェードアウト(FadeOut)は後半クリップにまとめられます。
用語メモ:フェードイン / フェードアウト = だんだん現れる(イン)/だんだん消える(アウト)演出。分割しても「最初にふわっと出て、最後にふわっと消える」流れがくずれないよう、イン=前半、アウト=後半へ自動でふり分けられます。VolumeDb / PeakDbfs / IntegratedLufs = いずれも音量に関する数値(dB は音の大きさの単位、LUFS は人の耳で感じる平均的な音量の単位)。難しく考えず「音量の設定がちゃんと後半にも引き継がれる」と理解すれば十分です。
つまずきやすい点・コツ
- クリップの端ぎりぎりでは分割できません。クリップの始まり・終わりから 50ms(0.05 秒)以内の位置では、誤って“切れていない極小クリップ”ができるのを防ぐため、分割操作が効かないようになっています。端の近くで切りたいときは、少し内側に再生ヘッドを寄せてください。
- 切る前に再生ヘッドの位置を必ず確認しましょう。分割は再生ヘッドの位置で切れるので、ヘッドがずれていると意図しない場所で割れてしまいます。±1F ボタンでコマ送りしながら、切りたい瞬間にぴたりと合わせるのがコツです。
- 不要部分を消したいときは、「切る → 切り出した不要クリップを削除」の 2 ステップで行います。分割しただけでは何も消えません。
プレビュー再生
プレビュー再生とは何か
「プレビュー再生」とは、書き出し(エンコード)を行う前に、いま編集中の映像が実際にどう見えるか・どう聞こえるかを、その場で確認するための再生機能です。
動画編集では、シーンを並べ替えたり、トランジション(つなぎ目の演出)を入れたり、音量を調整したりと、いろいろな設定をしていきます。ところが、それらが「思いどおりに仕上がっているか」は、実際に再生して目と耳で確かめないとわかりません。プレビュー再生は、そのための“試写室”のような機能です。
- トランジションのつなぎ目が自然か
- 字幕やタイトルの表示タイミングがずれていないか
- BGM(背景音楽)の音量が大きすぎ・小さすぎないか
- シーンの順番が意図どおりか
こうしたことを、書き出しを待たずに何度でも確認できるのがプレビューの役割です。書き出しには時間がかかるため、「書き出してから間違いに気づいて作り直す」という手戻りを防ぐうえで、とても大切な機能です。
用語メモ:書き出し(エンコード) = 編集した内容を 1 本の動画ファイル(または DVD/Blu-ray 用のデータ)にまとめて出力すること。時間がかかる本番処理です。プレビューはその“下見”にあたります。
mediaFlick では、画面の中央にあるプレビュー枠(映像が映る四角い領域)に編集中の映像が表示され、そのすぐ下にあるトランスポートバー(再生操作ボタンの並び)で再生・停止などを操作します。
用語メモ:トランスポートバー (transport bar) = ビデオデッキや音楽プレーヤーでおなじみの「再生・停止・早送り・巻き戻し」といった操作ボタンが横一列に並んだバーのことです。
トランスポートバーのボタン
プレビュー枠の下には、次の操作ボタンが並んでいます。
| ボタン | 動作 | 補足 |
|---|---|---|
| ⏪ | 5 秒戻る | 現在の再生位置から 5 秒ぶん前に戻します。見たい場面を少し巻き戻したいときに便利です。 |
| ▶ / ⏸ | 再生 / 一時停止 | 止まっているときは ▶(再生)、再生中は ⏸(一時停止)に表示が切り替わります。Space(スペース)キーでも同じ操作ができます。 |
| ⏹ | 停止(先頭へ) | 再生を止めて、再生位置を一番先頭(0 秒)に戻します。一時停止との違いに注意してください(下記コラム参照)。 |
| ⏩ | 5 秒進む | 現在の再生位置から 5 秒ぶん先へ飛ばします。確認したい場面まで素早く移動したいときに使います。 |
バーの右側には、現在の再生位置が時刻表示として出ます。表示形式は mm:ss.fff(分:秒.ミリ秒)です。
用語メモ:mm:ss.fffの読み方 — 左から「分(mm)」「秒(ss)」「ミリ秒 / 1000 分の 1 秒(fff)」を表します。たとえば01:23.500なら「1 分 23.5 秒の位置」という意味です。ミリ秒まで出るので、コンマ何秒というシビアなタイミング合わせにも使えます。
「一時停止」と「停止」の違い:⏸ 一時停止は“その場で止める”だけなので、もう一度 ▶ を押すと止めた続きから再生されます。一方 ⏹ 停止は再生位置を先頭(0 秒)まで巻き戻します。「続きから見たい」なら一時停止、「最初から見直したい」なら停止、と使い分けてください。
操作手順(基本の流れ)
- プレビュー枠に確認したい映像が表示されていることを確かめます。
- ▶ ボタンを押す(または Space キーを押す)と再生が始まります。
- 気になる場面で ⏸ ボタン(または再度 Space キー)を押すと、その場で一時停止します。
- 少し前を見直したいときは ⏪(5 秒戻る)、先へ進みたいときは ⏩(5 秒進む)を押します。
- 最初から見直したいときは ⏹(停止)を押して先頭へ戻し、あらためて ▶ で再生します。
コツ:再生・一時停止は Space キーが圧倒的に速くて便利です。マウスでボタンを狙わなくても、キーボードに手を置いたまま「見て・止めて・また見て」を繰り返せます。タイミングを細かく確認する作業では、Space キーでの操作に慣れておくと効率が大きく上がります。
フルスクリーン(全画面表示)
プレビューを画面いっぱいに広げて確認したいときは、F11 キーを押します。
- F11 を押すと、メインウィンドウが全画面表示に切り替わります(ウィンドウの枠やタイトルバーが消え、最大化された状態になります)。
- もう一度 F11 を押すと、元のウィンドウ表示に戻ります。
身近な使いどころとしては、
- 細かい字幕の位置や文字の読みやすさを大きく確認したいとき
- 完成イメージに近い“大画面での見え方”をチェックしたいとき
- 編集パネルを気にせず映像だけに集中して試写したいとき
などに役立ちます。
つまずきやすい点:全画面のあいだはウィンドウの枠やボタンが見えなくなるので、「戻し方がわからなくなった」と戸惑うことがあります。そんなときは落ち着いて、もう一度 F11 を押せば元に戻ります。
用語メモ:メインウィンドウ = mediaFlick の中心となる画面(編集作業をしている、いま見ているこの大きな窓)のことです。
再生中のマーカー追従
プレビューを再生すると、タイムライン(時間軸の帯)の上にある赤いマーカー(再生位置を示す縦線)が、映像の進行に合わせて自動的に右へ動いていきます。
- いま映像のどのあたりを再生しているのかが、タイムライン上で一目でわかるようになっています。
- 再生を止めれば、マーカーもその位置で止まります。
用語メモ:マーカー(再生ヘッド) = 「いま再生しているのはここですよ」という現在位置を示す目印の線です。音楽プレーヤーの再生バーの“つまみ”が動いていくのと同じイメージです。
この自動追従により、「画面に映っている映像」と「タイムライン上の位置」が常に一致するので、
- 「このトランジションはタイムラインのどのシーンの境目だろう?」
- 「字幕が出るのはこのあたりだな」
といった対応づけが直感的に行えます。プレビューを見ながら、気になった場所をタイムライン上ですぐ特定できるわけです。
技術メモ:マーカーの自動追従には、再生位置の更新が意図しないシーク(再生位置の飛び)を引き起こさないようにする制御が組み込まれています(シーク循環を防ぐフラグ)。そのため、再生中にマーカーが自動で動いても、再生がカクついたり位置がループしたりすることなく、なめらかに進行します。
用語メモ:シーク (seek) = 再生位置を任意の場所へジャンプさせること。早送り・巻き戻しや、バーをつまんで動かす操作がこれにあたります。
出力 (動画ファイル / DVD / Blu-ray)
ここまでで作った作品を、実際に「形」にするのが 出力 (書き出し) の作業です。 編集中の状態はあくまで mediaFlick の中だけの設計図のようなもので、そのままでは他のパソコンやテレビ、プレーヤーでは再生できません。 出力をして初めて、できあがった動画が 1 本の動画ファイル になったり、DVD や Blu-ray のディスクに焼ける形 になったりします。
用語メモ — 出力 (エンコード / 書き出し) 編集した内容を、実際に再生できる動画データへ変換して保存することです。 「エンコード」「書き出し」「レンダリング」などと呼ばれることもありますが、どれもほぼ同じ意味だと考えて構いません。 編集はやり直せますが、出力は「いまの編集結果を確定させて 1 本に焼き固める」作業だとイメージしてください。
出力の入り口は、画面上部の ツールバーの右端 にある 2 つのボタンです。 どちらを押すかで、できあがるものが変わります。
| ボタン | 出力されるもの |
|---|---|
| ▶ 動画作成 | 動画ファイル (8 種類の入れ物 × 11 種類の圧縮方式) |
| ▶ DVD/BD | プロジェクト設定で選んだ形式 (DVD-Video または Blu-ray) |
大原則 — まず「何を作りたいか」でボタンを選ぶ。 パソコンやスマホ・YouTube などで見る「動画ファイル」が欲しいなら ▶ 動画作成。 テレビにつないだプレーヤーで再生する「DVD / Blu-ray」が欲しいなら ▶ DVD/BD です。 目的が決まっていれば、押すボタンは自然に決まります。
動画ファイルを作る — ▶ 動画作成
一番基本となるのが、1 本の動画ファイルとして書き出す方法です。 パソコンに保存したり、スマホに送ったり、動画サイトにアップロードしたりと、用途が一番広い出力です。
操作の流れは次のとおりです。
- ツールバー右端の 「▶ 動画作成」 ボタンをクリックします。
- エンコード設定ダイアログ が開きます。ここで、出力する動画の中身を決めます。具体的には次の項目を指定します。
- コンテナ (動画ファイルの入れ物の種類)
- コーデック (映像の圧縮方式)
- 解像度 (画面の縦横の細かさ)
- fps (1 秒あたりのコマ数)
- 音声 (音の設定)
- ビットレート / CRF (画質の決め方)
- 設定が決まったら、続いて開く 保存先ダイアログ で、ファイルをどこに保存するか (パス) を指定します。
- 出力が始まると 進捗ダイアログ が開き、いまどれくらい進んでいるかをログ (経過の記録) を見ながら待てます。
用語メモ — コンテナ 映像・音声などをひとまとめにして収める「入れ物」のファイル形式のことです。 mediaFlick では 8 種類 のコンテナから選べます。 よくある弁当箱のようなもので、同じおかず (映像・音声) でも、入れ物が違えば対応するプレーヤーが変わる、と考えると分かりやすいです。
用語メモ — コーデック 映像を小さなデータに圧縮し、再生時に元へ戻すための「圧縮方式」のことです。 mediaFlick では 11 種類 のコーデックが選べます。 同じ動画でもコーデックによってファイルの大きさや画質、再生できる機器が変わります。
用語メモ — fps (エフピーエス / フレームレート) 1 秒間に何枚の絵 (コマ) を使って動きを表すかを表す数値です。 数が大きいほどなめらかに動いて見えますが、その分データも大きくなります。
用語メモ — ビットレート / CRF どちらも「画質をどれくらいにするか」を決める指定方法です。 ビットレートは「1 秒あたりのデータ量」を直接決めるやり方、CRF は「目標とする画質」を決めて必要なデータ量を自動で調整するやり方です。 どちらを使うかでファイルサイズと画質のバランスが変わります。
覚えておくと安心 — うまくいかなくても自動で立て直します 出力に失敗した場合、mediaFlick は自動で SW (ソフトウェア) 処理へ切り替えて やり直します。 これは、パソコンの一部の機能 (HW デコーダ) が対応していないときに起こる仕組みで、利用者が手で設定し直さなくても、できるだけ最後まで出力を完了させようとします。
用語メモ — HW / SW (ハードウェア処理 / ソフトウェア処理) HW はパソコンの専用部品の力を借りて速く処理する方法、SW はパソコンの頭脳 (CPU) だけで処理する方法です。 HW のほうが速いことが多いですが、機器や形式によっては対応していないことがあります。その場合に SW へ切り替わります。
DVD-Video を作る
家庭用の DVD プレーヤーで再生できる「DVD-Video」の形式で出力する方法です。
- まず プロジェクト設定 を開き、出力形式を選びます。DVD には 「DVD-Video フォルダ」 と 「ISO」 の 2 つの形があり、どちらにするかをここで指定します。
- ツールバーの 「▶ DVD/BD」 ボタンをクリックすると、エンコードが始まります。
- 内部では、次の順序で自動的に変換が進みます。
- ffmpeg で映像を MPEG-2 PS という DVD 用の形式に変換し、
- dvdauthor で VIDEO_TS という DVD の標準フォルダ構造を作り、
- xorriso / mkisofs で ISO ファイルにまとめます。
- プロジェクト設定で メニューを有効 (MenuEnabled=true) にしておくと、簡易メニュー (タイトル一覧を表示する画面) も一緒に作られます。
用語メモ — ISO (アイソ / ディスクイメージ) ディスク 1 枚の中身を、まるごと 1 つのファイルに収めたものです。 このファイルをライティングソフトで書き込むと、元の DVD と同じディスクが作れます。 「フォルダ」出力はディスクの中身がそのままフォルダとして残る形、「ISO」はそれを 1 ファイルにまとめた形、という違いです。
覚えておくと安心 — dvdauthor は同梱されています DVD を組み立てるには dvdauthor という道具が必要です。これは mediaFlick に同梱されているので、通常はそのまま使えます。 万一 dvdauthor が見つからないときは、DVD 出力の場面で「ダウンロードしますか」という確認が出るので、画面の案内に従えば自動で用意できます。 インターネットに接続できず、かつ dvdauthor も手元に無いときに限り、処理は MPEG-2 PS の単体出力で停止 し、その旨の案内が表示されます。止まったように見えても故障ではありません。
DVD / BD のメニューを編集する — 🎬 メニュー
ディスクを入れたときに最初に出る「メニュー画面」を、自分で作り込むこともできます。
操作は、ツールバーの 「🎬 メニュー」 ボタンを押して開く メニュー編集画面 で行います。 この画面では、次のような設定ができます。
- 見出し / 解像度 (NTSC / PAL / HD / FHD から選択) / 背景画像 (任意で指定) / 背景色
- フォント と 各色の設定 (テキスト色 / フォーカス色 / ハイライト色)
- レイアウトプリセット 4 種 (VerticalList / GridAuto / Centered / Custom)
- ボタン (各タイトルへのリンク) を ▲▼ で並べ替えたり、1 つずつ X, Y, Width, Height (位置とサイズ) を編集
- 画面右側には、いまの設定がどう見えるかが分かる リアルタイムプレビュー が表示されます
設定を OK で確定すると、内容がアプリ内に保持されます。 実際にディスクを出力するときに、メニューは PNG 画像に変換され、dvdauthor へ渡されてディスクに組み込まれます。
用語メモ — メニュー (ディスクメニュー) 市販の DVD を入れたときに最初に出てくる「本編再生」「チャプター選択」などの選択画面のことです。 リモコンの十字キーで項目を選んで再生を始める、あの画面を自分で作れる、という機能です。
用語メモ — フォーカス色 / ハイライト色 フォーカス色は「いま選ばれている項目」を示す色、ハイライト色は「決定した瞬間」に光らせる色のことです。 リモコンでボタンを移動したときに、どの項目が選択中かを見分けやすくするための色分けです。
どんな時に役立つか 複数のタイトル (動画) を 1 枚のディスクにまとめたとき、メニューがあると見たい動画をすぐ選べます。 運動会や発表会で「徒競走」「ダンス」「閉会式」のように選んで再生できるディスクを作りたいときに便利です。
Blu-ray を作る
より高画質なディスクである Blu-ray (BD) の形式で出力する方法です。
- まず プロジェクト設定 で、出力形式を 「Blu-ray フォルダ」 に選びます。
- Blu-ray の組み立てには tsMuxeR という道具が必要です。これが用意されていない場合は、自動でダウンロードの提案 が表示されます (justdan96/tsMuxer の最新リリースから取得します)。案内に従えば、手間なく道具をそろえられます。
- 内部では、次の順序で変換が進みます。
- ffmpeg で映像を H.264 / AC3 という Blu-ray 互換の形式に変換し、
- tsMuxeR で BDMV という Blu-ray の標準構造を作ります。
用語メモ — BDMV / Blu-ray フォルダ Blu-ray ディスクの中身を決まった形にまとめたフォルダ構造のことです。 この BDMV フォルダを Blu-ray ディスクへ書き込むと、プレーヤーで再生できるディスクになります。
つまずきやすい点 — Blu-ray は今のところ ISO に直接できません Blu-ray の ISO (UDF 2.5) 形式への出力は、現状では未対応です。 まずは「フォルダ」として出力し、そのあと ImgBurn などの別のライティングソフトを使って ISO 化してください。 DVD のように 1 ファイルの ISO がそのまま作れるわけではない、という点だけ覚えておいてください。
このセクションのまとめ - 出力ボタンはツールバー右端の 2 つ。動画ファイルは ▶ 動画作成、ディスクは ▶ DVD/BD。 - 動画ファイルはコンテナ・コーデックなどを設定 → 保存先指定 → 進捗を見ながら待つ。失敗時は自動で SW へ切り替わる。 - DVD は DVD-Video フォルダ / ISO を選べ、メニューも作れる。dvdauthor は同梱され、見つからなければ自動ダウンロードで補える。 - Blu-ray はフォルダ出力まで対応。ISO 化は別ソフトで行う。tsMuxeR は無ければ自動ダウンロード提案が出る。
出力プリセット
このページで分かること
「プリセット」とは、出力ファイルをどんな品質・形式で作るか をまとめて記憶しておいた「設定の組み合わせ」のことです。
動画を書き出すとき、本来なら「映像のコーデックは何にする?」「ビットレートは?」「音声は?」「画面サイズは?」と、たくさんの項目を一つずつ決める必要があります。動画編集が初めての方にとって、これらは聞き慣れない用語ばかりで、何を選べばよいか迷うところです。
mediaFlick はこの迷いをなくすために、用途別にあらかじめ最適な設定をまとめた「定型プリセット」 を用意しています。たとえば「YouTube にアップロードしたい」と思ったら、YouTube 1080p プリセットを 1 回選ぶだけで、YouTube に適した解像度・画質・音声がすべて自動でセットされます。細かい数字を知らなくても、プロが選ぶような設定で書き出せる、というわけです。
用語メモ: 「エンコード」とは、編集した映像を 1 本の動画ファイル(MP4 など)に書き出す作業のことです。プリセットは、このエンコードの「設定の雛形(ひながた)」だと考えてください。
プリセットはどこにある? 使い方の流れ
プリセットは、エンコード設定ダイアログ(出力設定の画面)の一番上にあるプリセット選択欄(ドロップダウン) にまとまっています。
操作の流れは次の 3 ステップだけです。
- 出力(エンコード)を始める — ツールバーやメニューから出力を実行すると、エンコード設定ダイアログが開きます。
- 一番上のプリセット欄を開く — ドロップダウンをクリックすると、用途別のプリセット一覧が表示されます。
- 目的に合うものを選ぶ — 選んだ瞬間に、ダイアログ内の各項目(コーデック、解像度、ビットレート、音声など)が一斉に書き換わります。あとはそのまま「出力」を押すだけです。
これを実行すると何が起きる? プリセットを選ぶと、ダイアログ下部のすべての設定項目(コーデック・解像度・フレームレート・音声など)が、そのプリセットの内容で上書きされます。選んだあとに、特定の項目(たとえば解像度だけ)を手で微調整することもできます。
コツ: まず近い用途のプリセットを選び、必要な部分だけ後から手直しするのが、一番早くて失敗しない使い方です。ゼロから全項目を設定する必要はありません。
定型プリセット 一覧(用途別)
mediaFlick には、削除・変更ができない 定型プリセット(ビルトイン)が 9 種類 用意されています。それぞれ「どんな時に使うか」を添えて説明します。
| プリセット | 中身(自動でセットされる設定) |
|---|---|
| YouTube 1080p (H.264 高品質) | 1920×1080 / H.264 12Mbps / AAC 192k / 48kHz ステレオ / faststart 有効 |
| YouTube 4K HDR (H.265 高品質) | 3840×2160 / HEVC(H.265) 35Mbps / AAC 256k / 48kHz ステレオ / faststart 有効 |
| X (Twitter) 720p | 1280×720 / H.264 5Mbps / AAC 128k / 30fps / faststart 有効 |
| DVD-Video 互換 MPEG-2 | 720×480 NTSC / mpeg2video 6Mbps / AC3 192k / 29.97fps |
| Blu-ray 互換 H.264 | 1920×1080 / H.264 25Mbps / AC3 448k 5.1ch / 29.97fps |
| WebM (VP9 高効率) | VP9 (CRF 30) + Opus 128k / ストリーミング向け高効率 |
| ProRes 422 (編集用中間) | Apple ProRes (MOV) / 元解像度のまま / 再編集向け高品質 |
| HDR10 (H265 10bit BT.2020) | HEVC main10 (CRF 20) + PQ + BT.2020 / HDR10 配信向け |
| HLG (H265 10bit BT.2020) | HEVC main10 (CRF 20) + HLG / 放送向け HDR |
以下、それぞれを初心者向けにかみ砕いて説明します。
YouTube 1080p (H.264 高品質)
- どんな時に役立つ? 一番基本のプリセットです。YouTube・ブログ・LINE・メール添付など、「とりあえず普通に動画を渡したい」場合はこれを選べばまず間違いありません。
- 画面サイズは 1920×1080(フルHD)。多くのテレビ・パソコン・スマホで標準的な大きさです。
- コーデックは H.264 という、世界中のほぼすべての機器・サービスで再生できる最も普及した形式です。困ったらこれ、という安心の選択肢です。
- faststart が有効になっているので、再生開始が速く、Web にアップしてもすぐ再生が始まります(後述)。
用語メモ: 「コーデック」= 映像を圧縮して小さなファイルに収める方式のこと。「ビットレート」= 1 秒あたりに使うデータ量で、大きいほど高画質・大容量になります。「12Mbps」は YouTube 1080p に十分なきれいさです。
YouTube 4K HDR (H.265 高品質)
- どんな時に役立つ? 4K カメラやスマホで撮った高精細な映像を、画質を活かしてアップしたいとき。
- 画面サイズは 3840×2160(4K) と非常に細かく、コーデックは H.265(別名 HEVC) という、H.264 より新しく圧縮効率の高い形式を使います。同じ画質ならファイルを小さくできます。
- 注意点: H.265 は古いパソコンやソフトでは再生できないことがあります。相手の環境が分からないときは、無難な
YouTube 1080p(H.264)の方が安全です。
X (Twitter) 720p
- どんな時に役立つ? X(旧 Twitter)など、ファイルサイズや長さに制限のある SNS に投稿するとき。
- 画面サイズ 1280×720(HD) と少し小さめ、ビットレートも 5Mbps と控えめにして、アップロードが通りやすく軽いファイルになるよう調整されています。
- フレームレートは 30fps 固定(1 秒あたり 30 コマ)。SNS 向けの標準的な滑らかさです。
DVD-Video 互換 MPEG-2
- どんな時に役立つ? 家庭用 DVD プレーヤーで再生できる DVD を作りたいとき。
- DVD には厳密な規格 があり、勝手な解像度やコーデックでは作れません。このプリセットは 720×480 / MPEG-2 / NTSC(日本のテレビ方式) という DVD-Video 規格に合った設定を自動でそろえます。
- 音声は AC3 という、DVD で標準的に使われる形式です。
- コツ: DVD を焼く予定があるなら、必ずこのプリセットを使ってください。手動で設定をいじると規格から外れて、プレーヤーで再生できなくなることがあります。
用語メモ: 「NTSC」= 日本・北米で使われてきたテレビの映像方式。29.97fps が標準です。
Blu-ray 互換 H.264
- どんな時に役立つ? 家庭用 Blu-ray プレーヤー向けに、DVD より高画質なディスクを作りたいとき。
- 1920×1080(フルHD)/ H.264 25Mbps と、DVD よりはるかに高画質です。
- 音声は AC3 5.1ch(サラウンド) に対応しており、ホームシアターでの臨場感ある再生を想定しています。
- コンテナは TS(MPEG-TS) という、Blu-ray で使われる入れ物形式です。
用語メモ: 「5.1ch」= 前方左右・中央・後方左右の 5 つのスピーカー+重低音(サブウーファー)の計 6 チャンネルで、立体的な音を再現する方式です。
WebM (VP9 高効率)
- どんな時に役立つ? 自分の Web サイトに動画を埋め込みたいときや、軽さを最優先したいとき。
- VP9 という Google が開発したコーデック を使い、同じ画質でもファイルを小さくできます。ブラウザでの再生に強いのが特長です。
- 画質は CRF 30 の「固定品質モード」 で書き出します。ビットレートを直接指定する代わりに「狙った画質」を保ちながら、必要なデータ量を自動調整します(CRF の詳しい説明は後述)。
- 音声は Opus という高効率な形式です。
- 注意点: 古い機器や一部の動画ソフトでは WebM/VP9 を再生できないことがあります。汎用性を取るなら H.264 系を選んでください。
ProRes 422 (編集用中間)
- どんな時に役立つ? 完成品を配るためではなく、別の編集ソフト(Premiere や DaVinci Resolve など)でさらに編集を続けたいときの「受け渡し用」です。
- Apple ProRes は、画質劣化をほとんど起こさない代わりにファイルが非常に大きくなる「編集用中間形式」です。元の解像度のまま、高品質で書き出します。
- 注意点: ファイルサイズが数 GB〜数十 GB になることがあります。配布や視聴には向きません。あくまで「編集の途中受け渡し」専用と考えてください。
用語メモ: 「中間(インターミディエイト)形式」= 編集作業の途中でやり取りするための、劣化しにくい高品質ファイル。最終的な配布には別途、軽い H.264 などに書き出し直します。
HDR10 (H265 10bit BT.2020) / HLG (H265 10bit BT.2020)
- どんな時に役立つ? HDR 撮影に対応したカメラやスマホで撮った映像を、明暗の幅が広く色鮮やかな HDR のまま 書き出したいとき。
- HDR10 は配信サービス(YouTube・各種ストリーミング)向け、HLG はテレビ放送向けの HDR 規格です。
- どちらも H.265 の 10bit(main10) で書き出し、CRF 20 の高品質設定になっています。
- 注意点: HDR は対応した再生機器・モニターでないと正しい色で表示されません。また、元素材が HDR でない(通常の SDR 映像)場合に選んでも、HDR らしい効果は得られません。HDR が何か分からない場合は、無理に使わず通常のプリセットを選んでください。
用語メモ: 「HDR」= 明るい部分と暗い部分の差をより広く表現できる映像方式。対応テレビで見ると、太陽の輝きや夜景の深みがいっそうリアルに見えます。「SDR」はその対義語で、従来の標準的な映像です。
プリセットに出てくる用語の簡単解説
プリセットを選ぶだけなら覚える必要はありませんが、後から微調整したいときのために、表に出てくる言葉を一言ずつ説明します。
- コーデック(H.264 / H.265 / VP9 / MPEG-2 など) … 映像を圧縮する方式。H.264 は最も互換性が高く、H.265 は高効率だが互換性はやや劣る、という関係です。
- コンテナ(MP4 / MOV / WebM / TS / MPG など) … 映像と音声を 1 つにまとめる「入れ物」の種類。拡張子(.mp4 など)に対応します。
- ビットレート(○○Mbps / ○○kbps) … 1 秒あたりのデータ量。大きいほど高画質・大容量。プリセットでは用途に合った値が設定済みです。
- CRF(固定品質モード) … ビットレートを直接指定する代わりに「目標の画質」を数値で指定する方式。数値が小さいほど高画質・大容量、大きいほど低画質・小容量になります(指定できる範囲はおおむね 0〜51、標準は 23 前後)。
WebMやHDR10プリセットがこの方式です。 - フレームレート(30fps / 29.97fps / 60fps など) … 1 秒あたりのコマ数。多いほど動きが滑らかになります。「Source(元のまま)」を選ぶと、素材のフレームレートをそのまま引き継ぎます。
- 音声コーデック(AAC / AC3 / Opus など) … 音を圧縮する方式。AAC は汎用、AC3 は DVD/Blu-ray 向け、Opus は Web 向けです。
- サンプルレート(48kHz など)/チャンネル(ステレオ / 5.1ch) … 音の細かさと、スピーカーの数(音の広がり)に関する設定です。
- faststart … MP4 ファイル限定の最適化。動画の「目次情報」をファイルの先頭に置くことで、ダウンロードしながらすぐ再生を始められるようにします。Web 公開や YouTube アップロードでは有効が推奨です(DVD/Blu-ray/WebM 用プリセットでは無効になっています)。
覚えておくとよいこと: どのプリセットも、上記の項目が「その用途で破綻しない組み合わせ」になるよう調整済みです。基本は触らず、必要な 1〜2 項目だけ直すのが安全です。
よくあるつまずきと選び方の指針
- どれを選べばいいか分からない → まずは
YouTube 1080p (H.264 高品質)を選んでください。最も互換性が高く、ほとんどの用途で無難に通用します。 - ファイルが大きすぎる → ビットレートの低いプリセット(
X (Twitter) 720pなど)を選ぶか、解像度を下げます。 - 相手の環境で再生できない → H.265・VP9 など新しいコーデックのプリセットを使っていないか確認し、H.264 系(
YouTube 1080p)に変えてみてください。 - DVD/Blu-ray を作りたいのに再生できない → 必ず
DVD-Video 互換 MPEG-2またはBlu-ray 互換 H.264プリセットを使い、解像度やコーデックを手動で変えないこと。規格から外れると再生できなくなります。 - HDR プリセットを選んだのに鮮やかにならない → 元素材が HDR でない、または再生機器が HDR 非対応の可能性があります。通常のプリセットで問題ありません。
ユーザー定義プリセット(自分専用の設定を保存する)
定型プリセットを微調整した設定を「毎回手で直すのは面倒」というときは、その状態を 自分専用のプリセットとして保存 できます。一度保存すれば、次回からはワンクリックで同じ設定を呼び出せます。
保存のしかた
- エンコード設定ダイアログで、定型プリセットを選んだあと、解像度・ビットレート・音声などを 好みに合わせて手で調整 します。
- ダイアログ内の 「💾 現状を保存」 ボタンを押します。
- プリセット名を入力する画面 が出るので、後で自分が分かりやすい名前(例:「自分用 配信設定」など)を付けて確定します。
これを実行すると何が起きる? いま画面に表示されている全項目の組み合わせが、新しいプリセットとして登録されます。次回からはプリセット欄の一覧に表示され、選ぶだけで同じ設定が再現されます。
保存場所と仕様
- ユーザー定義プリセットは、次のファイルに JSON 形式で保存されます。
%AppData%\mediaFlick\presets.json
- このファイルは設定の引き継ぎやバックアップに使えます。別のパソコンに同じプリセットを移したいときは、このファイルをコピーすれば持ち運べます。
- 定型プリセット(9 種類)はこのファイルには保存されません。 削除・変更できない固定の設定で、ユーザーが保存したものだけが presets.json に記録されます。
- 同じ名前で保存し直すと、既存のユーザープリセットが上書きされます。
コツ: 「YouTube に毎回この設定でアップしている」「自分のサイト用はいつもこの画質」といった定番がある人ほど、ユーザー定義プリセットを作っておくと作業が一気に速くなります。
バッチエンコード
「バッチエンコード」は、作っておいた複数のプロジェクトをまとめて、自動で次々に書き出す機能 です。 動画の書き出し (エンコード) は、長いものだと 1 本あたり数分から数十分かかることがあります。 1 本ずつ「書き出し開始 → 終わるのを待つ → 次を開いて書き出し開始」と人が付きっきりで操作するのは、とても手間がかかります。 バッチエンコードを使えば、書き出したいプロジェクトをあらかじめ一覧に並べておくだけで、 あとは mediaFlick が 上から順に 1 本ずつ自動でエンコードしていってくれます。 たとえば寝る前に何本ものプロジェクトを登録して「実行」しておけば、翌朝にはすべて書き出し終わっている、という使い方ができます。
用語メモ — エンコード 編集した内容を、最終的に再生できる 1 本の動画ファイルとして書き出す作業のことです。 編集中は「どこを切る」「どんな演出を入れる」といった指示を覚えているだけの状態ですが、 エンコードをして初めて、その指示どおりの完成した動画ファイルがパソコン上に出来上がります。
用語メモ — バッチ 「ひとまとめにして、まとめて処理する」という意味の言葉です。 1 つずつ手で処理するのではなく、複数の作業をリストにして一括で片づける、というイメージで覚えてください。
用語メモ — .mfp ファイル (プロジェクトファイル) mediaFlick で作った編集内容 (どのタイトルを使うか、どこを切るか、どんな設定にするか) を保存したファイルです。 拡張子が「.mfp」になっています。バッチエンコードは、この .mfp ファイルを単位として 1 本ずつ書き出していきます。 つまり「先に編集を済ませて .mfp として保存しておいたもの」を、あとからまとめて書き出すための機能です。
用語メモ — ジョブ 「1 件の仕事」という意味です。ここでは「1 本の .mfp を書き出す 1 回分の作業」を 1 つのジョブと呼びます。 5 本の .mfp を登録すれば、5 つのジョブが並ぶことになります。
バッチエンコードの画面は、ツールバー (画面上部に並んだボタンの列) にある 「📦 バッチ」 ボタンをクリックすると開きます。
バッチエンコードの手順
- 出力先フォルダを指定します。
書き出した動画ファイルを、どこのフォルダに保存するかを選びます。 ここで指定したフォルダの中に、各 .mfp の 元の名前を使って ファイルが作られます。
- プリセットを選択します。
どの画質・形式で書き出すかをまとめた設定 (プリセット) を 1 つ選びます。 ここで選んだプリセットは、登録したすべてのジョブに同じものが適用されます。
- 「+ ジョブ追加」ボタンで、書き出したい .mfp ファイルを選びます。
このとき .mfp は 複数まとめて選択できます。書き出したいプロジェクトを必要なだけ一覧に追加してください。
- 「▶ 実行」ボタンを押すと、エンコードが始まります。
登録したジョブを、一覧の上から順に 1 本ずつ自動でエンコードしていきます。
- ジョブごとに、いまどういう状態かが表示されます。
一覧の各ジョブには、進み具合を表す次のような印が付きます。
| 表示 | 意味 |
|---|---|
| 待機中 | まだ順番が来ておらず、これからエンコードされる |
| 🟢 実行中 | 現在エンコード処理を行っている最中 |
| ✓ 完了 | 正常に書き出しが終わった |
| ✗ 失敗 | 何らかの理由でエンコードできなかった |
| ⏹ キャンセル | 途中で中止された |
- 右側のログペインで、進行ログを確認できます。
いまどの処理が進んでいるか、エラーが出ていないかといった経過が、文字で順次表示されます。
用語メモ — プリセット 「画質」「ファイル形式」「サイズ」などの細かな書き出し設定を、ひとまとめにして名前を付けて保存したものです。 毎回一つずつ設定しなくても、プリセットを 1 つ選ぶだけで、その設定一式が適用されます。
用語メモ — ログ / ログペイン 「ログ」とは、処理の経過を時系列で書き出した記録のことです。 「ログペイン」は、その記録が表示される画面内の領域 (ペイン) を指します。 何か問題が起きたときは、ここを見ると「どこで止まったのか」の手がかりがつかめます。
大原則 — プリセットは全ジョブ共通です。 バッチエンコードで選べるプリセットは 1 つだけで、それが登録したすべての .mfp に同じように適用されます。 「この 1 本だけ別の画質で書き出したい」という場合は、バッチに混ぜず、その .mfp だけ個別に書き出すのが確実です。
つまずきやすい点 — 出力ファイル名は .mfp の元名になります。 書き出されたファイルには、登録した .mfp の 元の名前 がそのまま使われます。 同じ名前の .mfp を別フォルダから複数登録すると、出力先で名前がぶつかる可能性があります。 分かりやすい名前を付けて保存しておくと、書き出し後にどれがどれか迷わずに済みます。
途中で止めたいとき
バッチエンコードは、途中でキャンセルすることができます。 「思っていたより時間がかかる」「設定を間違えていた」というときは、実行中でも中止できます。 キャンセルしたジョブには、状態として ⏹ キャンセル が表示されます。
どんな時に役立つか 大量の動画を抱えていて、1 本ずつ手で書き出すのが現実的でないとき (たとえばイベントごとに何本もの動画を作るとき) に、 あらかじめ各動画を .mfp として保存しておき、夜間や外出中にまとめて書き出させる、といった使い方ができます。 人が画面の前で待っている必要がなくなるのが、一番のメリットです。
このセクションのまとめ - 「📦 バッチ」で、複数の .mfp を 1 本ずつ自動で書き出せる。 - 手順は「出力先フォルダ → プリセット → 「+ ジョブ追加」で .mfp を複数選択 → 「▶ 実行」」の流れ。 - プリセットは全ジョブ共通、出力ファイル名は各 .mfp の元名になる。 - 各ジョブの状態 (待機中 / 🟢 実行中 / ✓ 完了 / ✗ 失敗 / ⏹ キャンセル) とログで進行を確認でき、途中キャンセルも可能。
スマートレンダリング
「スマートレンダリング」は、出力 (書き出し) を できるだけ速く、しかも画質をまったく落とさずに 行うための、mediaFlick が自動で働かせる仕組みです。 ふだんは意識する必要のない裏方の機能ですが、「なぜか出力がとても速く終わった」「逆に時間がかかった」というときに、何が起きているのかを知っておくとよいでしょう。
ふつう動画を出力するときは、編集した内容 (向きを直したり、音量を変えたり、テキストを乗せたり) を映像に焼き込むために、 パソコンが映像を いったんバラバラにして組み直す という重い計算を行います。これを「再エンコード」と呼びます。 この作業は時間がかかるうえ、組み直すたびにごくわずかながら画質が劣化します。
ところが、編集で映像そのものに手を加えていない場合は、わざわざ組み直す必要がありません。 そういうときに mediaFlick は、映像を組み直さずに 元のデータをそのままコピーしてつなげるだけ で出力します。 これがスマートレンダリングです。再エンコードしないので とても速く、画質の劣化はまったくゼロ です。
用語メモ — エンコード / 再エンコード 「エンコード」とは、映像や音声を一定の形式 (コーデック) に変換して保存することです。 編集した内容を反映して映像を作り直すことを「再エンコード」と呼びます。 映像を一度ほどいて計算し直すため時間がかかり、作り直すたびにわずかに画質が落ちます。 スマートレンダリングは、この再エンコードを 省略できるときは省略する 仕組みです。
用語メモ — コーデック 映像や音声を「どんな方式で圧縮して保存するか」を決める規格のことです (例: H.264 など)。 撮影に使ったカメラやスマホ、出力設定によって使われるコーデックが決まります。 スマートレンダリングが効くには、元の動画と出力の方式が 互いに合っている (互換である) 必要があります。
大原則 — スマートレンダリングは自動です。あなたが操作する設定項目はありません。 出力時に条件がそろっていれば mediaFlick が自動で速いやり方を選び、そろっていなければ通常の再エンコードに切り替えます。 「速くしたいからこのボタンを押す」といった操作は不要で、つけ忘れ・消し忘れの心配もありません。 条件を満たすかどうかは、編集の内容しだいで自動的に決まります。
スマートレンダリングが自動で働く条件
スマートレンダリングは、以下の条件を すべて満たしたときだけ 自動で働きます。 1 つでも当てはまらないものがあると、通常どおりの再エンコードでの出力になります。 逆に言えば、これらはすべて「映像そのものに手を加える編集」なので、何か 1 つでも使うと「組み直し」が必要になる、というわけです。
- 全シーンの全フィルタが OFF であること — 回転・反転・速度変更・色補正・クロップ (切り抜き) などを、どのシーンにも一切かけていない状態です。
- グローバルなテキスト・画像・PIP・字幕がないこと — 映像の上に文字や画像を重ねたり、子画面 (PIP) を入れたり、字幕を載せたりしていない状態です。
- 音声側の加工がないこと — BGM を追加していない、ノーマライズ (音量の自動そろえ) をしていない、音量補正をしていない、のすべてを満たしている状態です。
- トランジションが「なし (None)」であること — シーンとシーンのつなぎ目に切り替え演出を一切入れていない状態です。
- 全タイトルが同一のコーデック・解像度・fps であること — 結合するすべての動画が、同じ方式・同じ画面サイズ・同じなめらかさ (1 秒あたりのコマ数) でそろっている状態です。
- 出力コーデックがソースと互換であること — 設定 (settings.VideoCodec) で指定した出力の方式が、元の動画の方式と合っている状態です。
用語メモ — フィルタ 映像に対する「加工」全般のことです。向きを変える回転、左右を入れ替える反転、再生スピードの変更、 色合いの調整 (色補正)、画面の一部を切り抜くクロップなどが含まれます。 これらを 1 つでも使うと映像を作り直す必要があるため、スマートレンダリングは効かなくなります。
用語メモ — PIP (ピクチャー・イン・ピクチャー) 画面の中にもう 1 つ小さな画面を重ねて表示する演出のことです (テレビでよく見る「画面の隅の小窓」のような表示)。 これも映像の上に別の映像を重ねる加工なので、使うと再エンコードが必要になります。
用語メモ — 解像度 / fps 「解像度」は映像の画面サイズ (横×縦の細かさ) のことです。 「fps (エフピーエス)」は 1 秒間に何コマの絵で動いているかを表す数値で、大きいほど動きがなめらかです。 複数の動画を結合するとき、これらがそろっていないと「そのままつなぐ」ことができず、組み直しが必要になります。
つまずきやすい点 — 「ちょっとだけ」の編集でも条件から外れます たとえば 1 つのシーンに少し色補正をかけた、1 か所だけクロスディゾルブを入れた、というだけで条件を満たさなくなり、 出力全体が通常の再エンコードに切り替わります。スマートレンダリングは「映像にまったく手を加えていない」ときの特別な高速モードだと考えてください。 「速く出力したいから加工を控える」必要はありませんが、「素材をただ切ってつなぐだけ」のような作業なら自然に高速モードが働きます。
どんな時に役立つか たとえば、撮りためた同じカメラの動画を、向きも色もいじらず、テキストも演出も付けずに、 不要な前後だけ切り落として 1 本につなげたい、というとき。 このような「カットしてつなぐだけ」の編集はスマートレンダリングの条件にぴったり当てはまり、 長時間の動画でも待ち時間がぐっと短く、しかも元の画質のまま仕上がります。
内部での動作
条件がそろってスマートレンダリングが働くとき、mediaFlick は内部で次のように処理しています。 ffmpeg という映像処理エンジンを使い、各シーンを -ss/-t/-c copy という指定で TS 中間ファイル にいったん書き出し、 それらを concat demuxer という仕組みでつなぎ合わせて 1 本の動画に結合します。
用語メモ —-c copy(コピー) ffmpeg に対して「映像を作り直さず、そのままコピーして」と指示する書き方です。 再エンコードを行わないため処理が速く、画質の劣化が起きないのは、この-c copyのおかげです。
用語メモ — 中間ファイル / 結合 各シーンをいったん「TS」という形式の一時的なファイル (中間ファイル) として書き出し、 そのあとそれらを順番につなげて (結合して) 最終的な 1 本の動画にする、という二段構えの処理です。 この中間ファイルは出力のために自動で作られて使われるもので、利用者が管理する必要はありません。
このセクションのまとめ - スマートレンダリングは、映像に手を加えていないときだけ自動で働く高速・無劣化の出力方式。 - フィルタ・テキスト・画像・PIP・字幕・BGM・音量補正・トランジション・コーデック等の条件をすべて満たすと発動する。 - 1 つでも編集を加えると通常の再エンコードに切り替わる。設定操作は不要で、すべて自動で判断される。
ショートカット一覧
このセクションでは、mediaFlick で使えるキーボードショートカットを、用途ごとにまとめて説明します。
ショートカットとは、「メニューをマウスでたどる代わりに、キーボードのキーを押すだけで同じ操作を実行できる近道」のことです。最初はマウス操作だけでまったく問題ありませんが、よく使う操作をいくつか覚えるだけで、編集のスピードが体感できるほど上がります。
用語メモ - 再生ヘッド (プレイヘッド): タイムライン上で「いま再生位置がどこか」を示す縦線です。多くのショートカットは「再生ヘッドのある位置」に対して働きます。 - タイムライン: 動画・音声・文字などのクリップを時間順に並べた、画面下部の横長の編集エリアです。 - クリップ: タイムラインに置いた素材 1 つ 1 つ(1 本の動画、1 曲の BGM、1 つの文字など)のことです。 - タイトル: mediaFlick で 1 本のディスク/動画の単位として扱う、編集のかたまりです。タイトル一覧から選んで編集します。
ヒント: アプリ内でいつでもF1キーを押すと、ここで紹介する一覧と同じ「キーボードヘルプ」のウィンドウが開きます。「あのキー何だっけ?」というときは、このマニュアルを探すよりF1が早い場合があります。
ファイル / プロジェクト
プロジェクトの作成・保存や、編集のやり直しなど、作業全体に関わる基本操作です。Windows の多くのアプリと同じ割り当てなので、すでに馴染みがあるものが多いはずです。
| キー | 動作 |
|---|---|
| Ctrl+N | 新規プロジェクト |
| Ctrl+O | プロジェクトを開く |
| Ctrl+S | 保存 (上書き保存) |
| Ctrl+Shift+S | 別名保存 (名前を付けて保存) |
| Ctrl+Z | アンドゥ (元に戻す) |
| Ctrl+Y / Ctrl+Shift+Z | リドゥ (やり直し) |
それぞれの意味と使いどころ
- Ctrl+N — 新規プロジェクト
まっさらな状態から作り始めるときに使います。実行すると現在の編集内容を閉じて、新しい空のプロジェクトになります。保存していない変更があれば確認が表示されますが、大事な作業は先に Ctrl+S で保存しておきましょう。
- Ctrl+O — プロジェクトを開く
以前に保存したプロジェクトファイルを呼び出して、続きから編集します。ファイル選択のダイアログが開くので、保存しておいたプロジェクトを選びます。 (補足: ここで開くのは「編集途中の状態を記録したプロジェクトファイル」です。動画素材そのものを取り込みたいときは、ファイルをアプリにドラッグ&ドロップするか、メニューから素材を追加します。)
- Ctrl+S — 保存 (上書き保存)
いま編集している内容を、同じファイルに上書きして保存します。編集中はこまめに押す習慣をつけてください。 数分おきに Ctrl+S を押すだけで、万一アプリやパソコンが落ちても直前の状態から再開できます。
- Ctrl+Shift+S — 別名保存 (名前を付けて保存)
いまの内容を「別の名前」で新しいファイルとして保存します。「元のバージョンは残したまま、別パターンを試したい」「節目ごとにバックアップを取っておきたい」といったときに便利です。たとえば 誕生日ムービー_v1 を残しつつ 誕生日ムービー_v2 を作る、という使い方ができます。
- Ctrl+Z — アンドゥ (元に戻す)
直前の操作を取り消して、1 つ前の状態に戻します。「間違って消した」「動かしすぎた」というときの“なかったことにする”キーです。続けて押せば、さらに前の状態へさかのぼれます。編集で最も頼りになるキーなので、まずこれだけは覚えておきましょう。
- Ctrl+Y / Ctrl+Shift+Z — リドゥ (やり直し)
Ctrl+Z で戻しすぎたときに、取り消した操作をもう一度やり直します。Ctrl+Y と Ctrl+Shift+Z はどちらも同じ動作なので、押しやすいほうで構いません。
つまずきやすい点:Ctrl+Zは「最後にした編集操作」を 1 つずつ戻します。一度に大量に戻したつもりでも実際は 1 手ずつなので、戻りすぎたと思ったらCtrl+Yで前に進められる、と覚えておくと落ち着いて操作できます。
編集 (タイトル / クリップ)
タイトル一覧やタイムライン上のクリップを操作するためのショートカットです。
| キー | 動作 |
|---|---|
| Ctrl+D | 選択タイトルを複製 |
| Ctrl+↑ / Ctrl+↓ | タイトルの並び順を入れ替え |
| Ctrl+K | 再生ヘッド位置のクリップを自動分割 (ビデオ → BGM → 文字 の優先順) |
| Delete | 選択中のクリップ / タイトルを削除 |
それぞれの意味と使いどころ
- Ctrl+D — 選択タイトルを複製
いま選んでいるタイトルをそっくりコピーして、もう 1 つ作ります。「似た構成のタイトルをもう 1 本作りたい」「いまの状態を保険として複製しておき、片方で実験したい」というときに役立ちます。実行すると、同じ内容のタイトルが一覧に増えます。
- Ctrl+↑ / Ctrl+↓ — タイトルの並び順を入れ替え
選択中のタイトルを、一覧の中で 1 つ上 (Ctrl+↑) または 1 つ下 (Ctrl+↓) に移動します。ディスクのメニューに並ぶ順番や再生される順番がこの並びで決まるので、「3 本目を 1 本目に持ってきたい」といった入れ替えに使います。タイトル一覧でタイトルを選んでから押してください。
- Ctrl+K — 再生ヘッド位置でクリップを自動分割
タイムラインのクリップを、再生ヘッドのある位置でハサミのように 2 つに切り分けます。1 つのクリップが 2 つになり、それぞれを別々に動かしたり、片方だけ削除したりできるようになります。 「自動分割」とは、再生ヘッドの位置に複数の種類のクリップが重なっているとき、ビデオ → BGM → 文字 の優先順位で 1 本だけを選んで切るという意味です。まずビデオを切りたいことが多いだろう、という考え方でこの順番になっています。特定のクリップだけを狙って切りたいときは、先にそのクリップを選択してから操作すると確実です。 使いどころの例: 長い 1 本の動画の途中をカットしたいとき、まず不要部分の「始まり」と「終わり」で Ctrl+K を 2 回押して 3 つに分け、真ん中だけ Delete で消す、という流れがよく使われます。
- Delete — 削除
選択中のクリップ、またはタイトルを削除します。タイムラインでクリップを選んでいればそのクリップが、タイトル一覧でタイトルを選んでいればそのタイトルが消えます。 間違って消しても Ctrl+Z で元に戻せるので、こわがらずに使って大丈夫です。
タイムライン編集 (本格的な編集向け)
ここからは、タイムラインを使い込むときに効いてくるショートカットです。動画編集ソフトで広く使われている J / K / L や I / O といった割り当てを採用しているため、他のソフトに慣れている方ならそのまま使えます。初めての方も、よく使うものから少しずつ覚えれば十分です。
用語メモ - イン点 / アウト点 (In / Out): 素材の中で「ここから使う」位置がイン点、「ここまで使う」位置がアウト点です。この 2 点で“採用する区間”を決めます。 - リップルトリム: クリップの端を削ったぶん、後ろのクリップが自動で前に詰まってくれる切り詰め方です。間に無音や空白の隙間ができないので、テンポよく不要部分を削れます。 - チャプター: DVD/Blu-ray などで「頭出し」できる区切り位置のことです。再生時にスキップで飛べる、しおりのようなものです。 - スナップ: クリップを動かすとき、近くのクリップの端やシーンの区切り、再生ヘッドにピタッと吸い付くように合わせてくれる機能です。ぴったり隙間なくつなげたいときに便利です。
| キー | 動作 |
|---|---|
| I | イン点を再生ヘッド位置に設定 (採用区間の始まり) |
| O | アウト点を再生ヘッド位置に設定 (採用区間の終わり) |
| Q | リップル前トリム (再生ヘッドより前を削って詰める) |
| W | リップル後トリム (再生ヘッドより後ろを削って詰める) |
| M | チャプターを再生ヘッド位置に追加 |
| Ctrl+M | 再生ヘッド付近のチャプターを削除 |
| Shift+M | 次のチャプターへジャンプ |
| Shift+Alt+M | 前のチャプターへジャンプ |
| S | スナップの ON / OFF を切り替え |
| + / - / \ | タイムラインの拡大 / 縮小 / 全体に合わせる |
それぞれの意味と使いどころ
- I / O — イン点・アウト点の設定
使いたい区間の「ここから」で I、「ここまで」で O を押します。長い素材から必要な部分だけを切り出すときの基本操作です。まず再生ヘッドを目的の位置に動かしてから押してください。
- Q / W — リップルトリム
Q は再生ヘッドより前を削り、W は再生ヘッドより後ろを削ります。どちらも「削った隙間を残さず後続を詰める」のが特徴です。たとえば言い間違いやムダな間 (ま) を、隙間を作らずにサッと削るのに向いています。
- M / Ctrl+M / Shift+M / Shift+Alt+M — チャプター操作
M で再生ヘッド位置に頭出し用の区切り (チャプター) を追加します。Ctrl+M は近くのチャプターを削除します。Shift+M で次のチャプターへ、Shift+Alt+M で前のチャプターへ再生ヘッドが飛びます。 使いどころの例: イベントの動画で「入場」「あいさつ」「余興」などの頭にチャプターを打っておくと、DVD で見るときにリモコンのスキップ操作でそこへ一発で飛べます。
- S — スナップの切り替え
クリップ移動時の“吸い付き”を ON / OFF します。ぴったり隙間なくつなげたいときは ON、逆に少しだけ微妙にずらして置きたいのに吸い付いて困るときは OFF にする、と使い分けます。
- + / - / \ — タイムラインの拡大・縮小
+ で時間軸を拡大 (細かい操作がしやすくなる)、- で縮小 (全体を見渡しやすくなる)、\(バックスラッシュ)でプロジェクト全体がちょうど画面に収まる倍率に戻します。 コツ: フレーム単位の細かいカットをするときは + で大きく拡大し、全体の構成を確認するときは \ で全体表示に戻す、と切り替えると作業が快適です。
つまずきやすい点: これらの 1 文字キーは、テキスト入力中(クリップ名や文字を打ち込んでいる最中)には文字入力が優先され、ショートカットとしては働きません。タイムラインを操作したいときは、いったん入力欄の外をクリックしてから押してください。
マルチカム (複数カメラ素材)
同じ場面を複数のカメラで撮った素材 (マルチカム) を扱うときに、再生中のアングルをキー 1 つで切り替えられます。
用語メモ マルチカム編集とは、たとえば 1 つの発表会を「正面」「横」「客席」など複数のカメラで同時撮影しておき、再生しながら「ここは正面、ここは横」とアングルを切り替えて 1 本にまとめる編集方法です。
| キー | 動作 |
|---|---|
| 0 | メイン (基準) アングルに切り替え |
| 1 / 2 / 3 / 4 | 副アングル 1〜4 に切り替え |
- 0 は主役となる基準の映像、1〜4 は割り当てた副カメラの映像に切り替わります。再生しながら数字キーを押していくだけで、見せたいアングルを選んでいけます。番号と実際のカメラの対応は、シーン編集側であらかじめ割り当てておきます。
プレビュー / 再生
編集中の映像を確認 (プレビュー) するための操作です。J / K / L は動画編集で定番の再生コントロールで、片手をキーボードに置いたまま再生・停止・巻き戻しができます。
| キー | 動作 |
|---|---|
| Space | 再生 / 一時停止 |
| L | 再生 (順方向) |
| K | 一時停止 |
| J | 5 秒戻す |
| ← / → | 1 フレーム前 / 後ろへ |
| Shift+← / Shift+→ | 10 フレーム前 / 後ろへ |
| F11 | フルスクリーン (全画面) 表示の切り替え |
それぞれの意味と使いどころ
- Space — 再生 / 一時停止
押すたびに再生と一時停止が切り替わります。一番手軽な確認方法で、まずはこれだけで十分です。 (補足: クリップ名などをキーボードで入力している最中は、Space は「空白文字の入力」として扱われ、再生切り替えにはなりません。入力欄の外をクリックしてから押してください。)
- L / K / J — 再生コントロール
L で順方向に再生、K で一時停止、J で 5 秒巻き戻します。「L で見る → 行き過ぎたら J で戻す → K で止める」という流れで、目的の場面を素早く探せます。
- ← / → と Shift+← / Shift+→ — コマ送り
「フレーム」とは動画を構成する 1 枚 1 枚の静止画のことです。← / → で 1 フレームずつ、Shift を押しながらなら 10 フレームずつ前後に動かせます。 使いどころ: 「ちょうどこの瞬間でカットしたい」という正確な位置決めに使います。Space でだいたいの位置まで再生して止め、コマ送りで 1 フレーム単位まで詰める、という合わせ技がおすすめです。
- F11 — フルスクリーン (全画面) 表示
プレビューを画面いっぱいに大きく表示して、細部までじっくり確認できます。もう一度 F11 を押すと元の表示に戻ります。
ヘルプ
| キー | 動作 |
|---|---|
| F1 | キーボードヘルプ (ショートカット早見表) を開く |
| Esc | 開いているダイアログ / ヘルプを閉じる |
- F1 を押すと、ここで紹介したショートカットの一覧をアプリ内のウィンドウで表示できます。操作に迷ったら、まず
F1を押すのが近道です。 - Esc は、開いているダイアログやヘルプ画面を閉じる共通のキーです。「変更を取り消して閉じる (キャンセル)」と同じ働きをすることが多いので、誤って開いた画面をすぐ閉じたいときに便利です。
まとめのヒント: 最初から全部を覚える必要はありません。まずはCtrl+S(保存) とCtrl+Z(元に戻す) の 2 つ、次にSpace(再生/一時停止) とCtrl+K(分割) を覚えるだけでも、編集は驚くほどスムーズになります。慣れてきたらL / K / JやI / Oを少しずつ取り入れてみてください。
起動と試用期限
mediaFlick の β(ベータ)版は、ソフトを起動するたびにインターネット接続が必要です。 これは「試用できる期間を正しく管理するため」と「セキュリティを保つため」の 2 つが目的です。 パソコンの時計(システム時刻)を手で変えても、この仕組みはすり抜けられません。
大原則 — β 版を立ち上げる瞬間は、必ずインターネットにつながった状態にしてください。 ネットにつながっていない(オフラインの)状態では、起動の途中で止まってしまい、編集画面まで進めません。 一度起動してしまえばあとは作業に集中できますが、「立ち上げる瞬間だけは必ずネット接続」が必要だと覚えておいてください。
用語メモ — β(ベータ)版 正式リリース前の「お試し版」のことです。まだ開発が進行中で、機能の追加や変更が起こり得る段階を指します。 そのため、安全のために期限を区切って配布しています。
どうして「ネット接続が必須」なの? もし期限の判定をパソコンの時計だけに頼ると、時計を過去の日付に戻すだけでいつまでも使い続けられてしまいます。 そこで mediaFlick は、起動時に 外部から「本当の今の時刻」を取り寄せ、さらに 配布元のサーバーから「いつまで使えるか」を取り寄せて 判定します。 このため、ネットにつながっていないと起動できないようになっています。
起動シーケンス(起動したときに裏で起こること)
mediaFlick のアイコンをダブルクリックして起動すると、メインの画面が開くまでに、 裏側で次の 4 つの手順が順番に実行されます。普段は数秒で終わり、利用者が操作することは何もありません。 「待っているだけ」で大丈夫ですが、何を確認しているのかを知っておくと、うまく起動しないときに原因を見分けやすくなります。
- スプラッシュ画面が表示される
起動直後に小さな起動用の画面(スプラッシュ画面)が出て、「接続を確認しています…」 と表示されます。 これは「いま準備中です」という合図です。
- NTP サーバーから正確な時刻(UTC)を取得する
インターネット上の時刻配信サーバー(NTP サーバー)に問い合わせ、改ざんされていない「本物の現在時刻」を 世界共通の標準時刻(UTC)で受け取ります。これは 時計の改ざんを防ぐため です。 パソコンの時計を勝手にずらしても、ここで取得する時刻が基準になるため意味がありません。
- 状態サーバーから試用期限などの情報を取得する
配布元の状態サーバー(https://mediaFlick.popup.jp/activate.php)に接続し、 試用期限・最低サポート版・最新版 の情報を受け取ります。
- 判定して、問題なければメインウィンドウが開く
取得した「本物の時刻」と「サーバー上の期限」を照らし合わせ、期限内であり、かつサポート対象の版 であれば、 スプラッシュ画面が閉じて、いつものメインウィンドウ(編集画面)が表示されます。ここから通常の作業に入れます。
用語メモ — スプラッシュ画面 ソフトを立ち上げたときに、本体の画面が開くまでの間だけ表示される、起動状況を出す小さな画面のことです。 「いま準備をしています」という合図だと思ってください。
用語メモ — NTP サーバー / UTC NTP サーバーとは、インターネット越しに正確な時刻を配っている時刻の基準局のことです。 UTC は世界共通で使われる標準の時刻で、国や時差に左右されない「ものさし」のような時刻です。 mediaFlick は自分のパソコンの時計ではなく、この外部の正確な時刻を見て期限を判断するため、手元の時計をいじっても期限は動かせません。
用語メモ — 状態サーバー / 最低サポート版 状態サーバーとは、配布元が用意した、試用期限やバージョン情報を置いてあるインターネット上の場所のことです。 「最低サポート版」とは、これより古い版は安全のために起動を断る、という基準のことです。 起動のたびにここへ問い合わせて、「まだ使える期間か」「古すぎる版ではないか」を確認しています。
外部ツールの同梱と自動更新
mediaFlick は、映像変換に使う FFmpeg や、DVD を作る dvdauthor などの外部プログラムを本体に同梱しています。別途インストールする必要はなく、入れた直後からそのまま使えます。
起動時に状態サーバーへ問い合わせる際は、これらツールの最新版情報も受け取ります。同梱版がサーバーの示す版より古いときは、起動後に「更新しますか」と確認するダイアログが出ます。更新を選ぶと最新版をダウンロードして差し替えます(本体を入れ直す必要はありません)。
何らかの理由でツールが見つからないとき(手動で削除した、配布物が不完全だった等)は、その機能を使う場面で自動ダウンロードを確認します。たとえば DVD 出力時に dvdauthor が無ければ、ダウンロードするかどうかを尋ねます。
dvdauthor は配布元が用意した専用パッケージ(mediaflick-tools)から取得します。FFmpeg・tsMuxeR・xorriso なども同様に、必要なときに公式の配布元から入手できます。これらはいずれも本体とは別のプログラムとして動作します。
外部とのやり取りとプライバシー
mediaFlick がインターネットとやり取りするのは、次の場面だけです。あなたの個人情報や、編集中の動画・パソコンの中身を勝手に送り出すことはありません。
① 情報を「受け取る」だけの通信(こちらから情報は送りません)
- 起動時の状態確認:
https://mediaflick.popup.jpから、試用期限や最新版の情報を受け取ります。 - 正確な時刻の取り寄せ(NTP): 時計のごまかしを防ぐため、時刻配信サーバー(
ntp.nict.jpなど)に「いま何時か」を尋ねます。 - 外部ツールのダウンロード: FFmpeg や dvdauthor などが見つからないとき、確認のうえ配布元(GitHub など)からファイルを受け取ります。
これらはいずれも「受け取る」ための通信で、あなたの環境情報・個人情報・編集中の動画が送られることはありません。
② あなたの環境情報・エラー内容を「送る」通信(この 2 つの場面だけ)
- エラー報告: アプリが強制終了・フリーズしたとき、見守り役のプログラム(Watchdog)が、原因を調べるための環境情報とエラーデータを開発元へ送ります。
- お問い合わせ・バグ報告: あなたがアプリの報告機能からボタンを押して送ったときに、報告内容と環境情報が送られます。
覚えておくと安心 — 送られる情報に含まれないもの エラー報告・バグ報告で送られるのは、OS やパソコンの構成・設定ファイル・ログの末尾など、「不具合の再現に必要な情報」だけです。 あなたの名前・メールアドレス・編集中の動画そのものは含まれません。しかもこの送信は、あなたがボタンを押したとき(またはアプリが異常終了したとき)だけ行われます。
起動できない場合(メッセージ別の対処)
起動の条件を満たせないときは、メインウィンドウは開かず、警告のメッセージが表示されます。 これは上の 4 手順のどこかでつまずいている状態です。落ち着いて、下の表で原因と対処を確認してください。
| 状況 | 表示されるメッセージ | どうすればよいか |
|---|---|---|
| インターネットにつながっていない | 「接続が必要です」(NTP からの時刻取得に失敗) | ネットワークに接続してから、もう一度起動し直してください |
| 状態サーバーに接続できない | 「接続が必要です」(試用期限などの情報取得に失敗) | ネット接続を確認するか、しばらく時間をおいてからもう一度起動し直してください |
| 試用期限が切れている | 「期限切れ」 | 最新版を入手してください(期限は配布元サーバー側で管理されています) |
| サポートが終了した古い版 | 「更新が必要です」 | 最新版に更新してください(脆弱性対応などで、古い版があえて無効化された場合に出ます) |
つまずきやすい点 — 「接続が必要です」は 2 つの原因で出ます 同じ「接続が必要です」というメッセージでも、正確な時刻が取れなかった場合と、試用期限などの情報が取れなかった場合の両方で表示されます。 どちらの場合も、まずは「インターネットにきちんとつながっているか」を確認するのが先決です。 ネット接続が正常なのに出るときは、一時的につながりにくいこともあるので、少し時間をおいてから再度試してみてください。
つまずきやすい点 — 「期限切れ」「更新が必要です」のときは時計をいじっても意味がありません 期限の判断は外部の正確な時刻とサーバー側の管理に基づいているため、パソコンの日付を変えても解決しません。 これらが出たときは、最新版を入手・更新するのが正しい対処です。
試用期限の管理とタイトルバー表示
試用期限は 配布元サーバー側で一元管理 されています。利用者のパソコン内に固定で書き込まれているわけではないため、 状況に応じて調整されることがあります。具体的には、動作が安定していれば期限が延長される ことがあり、 逆に 脆弱性(安全上の弱点)が見つかれば期限が短縮される ことがあります。
現在の残り日数と期限は、ウィンドウ上部の タイトルバー で確認できます。 ここに 「残 N 日 (期限 YYYY-MM-DD)」 の形で表示されます(N の部分が残り日数、YYYY-MM-DD の部分が使える最終日の年月日に置き換わります)。
用語メモ — タイトルバー ウィンドウの一番上にある、ソフトの名前などが表示されている横長の帯のことです。 mediaFlick では、ここに試用期限の残り日数もあわせて表示されます。
用語メモ — 脆弱性(ぜいじゃくせい) ソフトに見つかった、安全上の弱点(セキュリティ上の問題)のことです。 これが見つかった古い版は、利用者を守るために使えなくなる(期限が短くなる)ことがあります。
このセクションのまとめ - β 版は 起動のたびにインターネット接続が必要。時計をいじっても期限は回避できない。 - 起動時は スプラッシュ → 正確な時刻の取得 → 状態サーバー確認 → メイン画面、の順で進む。 - 起動できないときは、まず ネット接続を確認 し、それでも駄目なら時間をおくか最新版に更新する。 - 残り日数と期限は タイトルバーの「残 N 日 (期限 YYYY-MM-DD)」 で確認できる。
表示言語 (多言語対応)
mediaFlick は、ボタンやメニュー、設定項目といった画面上の文字 (UI) を 12 言語で表示できます。 日本語が分からない人と一緒に作業するときや、海外の知人にこのソフトを紹介するとき、 あるいは「ふだん別の言語で操作したい」というときに、表示する言葉をまるごと切り替えられます。
対応している言語は次の 12 言語です。
- 日本語
- English (英語)
- 简体中文 (簡体字中国語)
- 繁體中文 (繁体字中国語)
- 한국어 (韓国語)
- Español (スペイン語)
- Français (フランス語)
- Deutsch (ドイツ語)
- Português (ポルトガル語)
- Italiano (イタリア語)
- Русский (ロシア語)
- Українська (ウクライナ語)
- العربية (アラビア語 / RTL)
用語メモ — UI (ユーザーインターフェース) 画面に出てくるボタン・メニュー・設定欄など、ユーザーが見たり操作したりする部分の総称です。 ここで切り替わるのは、この UI に表示される 文字 (表示言語) です。 編集中の動画の中身や、入力したファイル名などが翻訳されるわけではありません。
用語メモ — RTL (右横書き) RTL は「Right To Left = 右から左へ」の略で、文字を 右から左へ向かって書く言語 のことです。 アラビア語がこれにあたります。日本語や英語のように左から右へ読む言語 (LTR) とは、読む向きが逆になります。
表示言語を切り替える
- メニューの 「ツール」→「オプション」 を開きます。
- その中の 「言語」 の項目で、表示したい言語を選びます。
- 選んだ瞬間に、画面全体の文字が即座にその言語へ切り替わります。
大原則 — 言語の切り替えに再起動はいりません。 言語を選び直すと、mediaFlick を立ち上げ直さなくても、その場で UI 全体が新しい言語に変わります。 「いったん閉じて開き直す」といった手間は不要です。気になったらいつでも気軽に試せます。
どんな時に役立つか 日本語以外を母語とする人にパソコンの前に座ってもらうとき、表示言語をその人の言語にしておくと、 操作を説明しなくても自分で進めてもらいやすくなります。 また、海外のフォーラムや動画でこのソフトを紹介したいときにも、画面を相手の言語に揃えておくと伝わりやすくなります。
OS の言語に自動で合わせる — 「システム既定」
言語の選択肢の中には 「システム既定」 という項目があります。 これを選ぶと、mediaFlick は OS (Windows) の言語設定に従って 表示言語を決めます。
どんな時に役立つか 自分でどの言語にするか決めずに、「パソコンと同じ言語にしておいてほしい」というときに便利です。 ふだん日本語の Windows を使っているなら、「システム既定」を選んでおけば自然と日本語で表示されます。
アラビア語など右横書き言語での表示
アラビア語のように 右横書き (RTL) の言語を選ぶと、文字が右から左へ表示されるだけでなく、 画面のレイアウト全体が右→左に反転 します。 たとえば、ふだん左側にあるボタンが右側へ、右側にあったものが左側へと、左右が入れ替わって配置されます。
つまずきやすい点 — レイアウトが「鏡映し」になります RTL 言語に切り替えると、ボタンやパネルの並びが左右逆になるため、最初は戸惑うかもしれません。 これは不具合ではなく、その言語を読む人にとって自然な並びにするための正しい動作です。 元の左→右のレイアウトに戻したいときは、言語を日本語や English など左横書きの言語に選び直してください。 言語の切り替えに再起動はいらないので、いつでもすぐ元に戻せます。
このセクションのまとめ - mediaFlick の画面は 12 言語で表示でき、「ツール → オプション」の「言語」で切り替える。 - 切り替えは 再起動不要 で、選んだ瞬間に UI 全体が変わる。 - 「システム既定」を選ぶと OS の言語設定に従う。 - アラビア語など RTL 言語ではレイアウトが右→左に反転する (元に戻したいときは左横書きの言語を選び直す)。
バージョンアップ通知
これは何か
バージョンアップ通知は、「あなたが今お使いの mediaFlick より新しい版が公開されていますよ」とお知らせしてくれる機能です。
mediaFlick は不具合の修正や機能追加のたびに新しい版が公開されます。各版には作られた日付(例: 2026-05-20)が付いていて、これが「バージョン番号」の役割を果たします。日付が新しいほど、新しい版です。
アプリは起動するときにインターネット上の小さなお知らせファイル(公式サーバーにある「最新版はいつの版か」を記したデータ)を裏でそっと確認します。そして「公開されている最新版の日付」が「今あなたが使っている版の日付」より新しいときだけ、メインウィンドウが開いたあとに更新通知ダイアログを表示します。
用語メモ - 版(バージョン): ソフトの「世代」のこと。mediaFlick では公開日(YYYY-MM-DD)で世代を見分けます。 - ダイアログ: 画面の中央にポンと出る小さな確認ウィンドウのことです。
どんな時に役立つか(身近な例)
- スマートフォンのアプリが「アップデートがあります」と教えてくれるのと同じ感覚です。気づかないうちに古いまま使い続けてしまうのを防ぎます。
- 「前は出ていた不具合が、最新版では直っているらしい」というとき、この通知が出ていれば最新版の存在にすぐ気づけます。
- 新しい出力機能(対応フォーマットの追加など)が入った版が出たときも、見逃さずに更新を検討できます。
通知ダイアログに表示される内容
通知ダイアログには次のものが並びます。
- 見出し: 新しい版が公開されている旨のお知らせ。
- バージョンの案内: 「いま使っている版の日付」と「公開されている最新版の日付」が示されます。両者を見比べれば、どれくらい世代が離れているか(数日なのか、数か月なのか)が分かります。
- 更新内容(リリースノート): 公開側がメモを用意している場合のみ、灰色の枠で「この版で何が変わったか」が表示されます。用意がなければこの枠は出ません。
- ダウンロード ボタン
- このバージョンは今後通知しない チェックボックス
- 閉じる ボタン
用語メモ - リリースノート: 「この版でここが変わりました」という変更点の覚え書きです。読むと、更新する価値があるかどうかの判断材料になります。
操作手順
新しい版を入手したいとき
- 通知ダイアログ左側の ダウンロード ボタンをクリックします。
- お使いのウェブブラウザが自動で開き、配布ページ(GitHub Sponsors のページ)が表示されます。
- そのページの案内にしたがって新しい版を入手してください。
- ダウンロードが終わったら、ダイアログ右下の 閉じる ボタンで通知を閉じて構いません。
ボタンを押すと何が起きる? ダウンロード はその場でアプリを書き換えるわけではありません。あくまで「配布ページをブラウザで開くだけ」です。実際の入れ替え(古い版から新しい版への差し替え)は、ブラウザで開いたページの案内にしたがってご自身で行います。
今はまだ更新したくない / あとで対応したいとき
- 何もせず 閉じる ボタンを押せば、ダイアログは消えます。次回の起動時、もし最新版がまだ存在していれば、また同じように通知が出ます。
この版についてはもう知らせてほしくないとき
- このバージョンは今後通知しない のチェックボックスにチェックを入れます。
- 閉じる ボタンを押します。
- これで、その版(いま案内された日付の版)については、次回以降は通知が出なくなります。
つまずきやすい点・コツ
- 「今後通知しない」は“その版だけ”が対象です。 あくまでチェックしたときに案内されていた版を黙らせるだけです。それよりさらに新しい版が後日公開されれば、その新しい版については改めて通知が出ます。「アップデート通知をすべて止める」設定ではない点にご注意ください。
- チェックは「閉じる」を押して初めて記憶されます。 チェックボックスにチェックを入れただけで別の操作をした場合、設定が保存されないことがあります。必ずチェック → 閉じる の順で操作してください。
- 通知が一度も出ない場合は、たいてい「すでに最新版を使っている」だけです(その場合は通知する必要がないので出ません)。問題ではありません。
- インターネットに繋がっていない/確認に失敗したときは、通知は表示されません。これは故障ではなく、最新版の情報を取りに行けなかっただけの正常な動作です。次回オンラインで起動したときに改めて確認されます。
- ダウンロード ボタンが押せない(無効)場合は、配布ページの案内先が用意されていないときです。少し時間をおいて改めて起動するか、公式の配布元を直接ご確認ください。
- 更新の判定は「日付」で行われます。 自分が古い版を使い続けていて、その後に複数回の更新があった場合でも、表示されるのは常に「現時点での最新版」一つです。
既知の制約
mediaFlick は多くの作業を 1 つの画面で完結できるよう作られていますが、技術的な事情から「今のところできないこと」や「ひと手間かけてもらう必要があること」がいくつかあります。 ここでは、それらを 制約 (うまくいかない点) ・ 詳細 (なぜそうなるのか) ・ 回避策 (どうすればよいか) の 3 点セットで、初心者の方にも分かるように 1 つずつ説明します。 「不具合かな?」と思ったときは、まずこのページに該当する項目がないか確認してください。
大原則 — ここに書かれているのは「故障」ではなく「仕様」です。 以下の項目は、mediaFlick の使い方が間違っているわけでも、パソコンが壊れているわけでもありません。 「こういうものだ」と分かっていれば、回避策どおりに進めることで問題なく作品を仕上げられます。 一覧表のあとに、それぞれをかみ砕いて説明していきます。
| 制約 | 詳細 | 回避策 |
|---|---|---|
| 映像の真上に文字や部品を直接重ねられない | 再生エンジンの表示方式による技術的な制約 (Airspace) | 直下のバンドにテキスト表示。エンコード結果には正しく重なる |
| オフライン環境では dvdauthor を手動で用意 | dvdauthor の自動ダウンロードにはインターネット接続が必要 | 同梱版をそのまま使う。ネット不可かつ未配置のときだけ、配布元のパッケージを tools フォルダに展開して配置 |
| BD-ISO (UDF 2.5) 未対応 | xorriso でも UDF 2.5 + BD-Video は特殊 | BDMV フォルダ出力後 ImgBurn 等で ISO 化 |
| DVD/BD メニューのフルテンプレート未対応 | spumux + ボタン座標 + ハイライト画像が必要 | 簡易メニュー (タイトル一覧表示のみ) で代用 |
| 4K 動画プレビュー (60fps) | プレビューはピクセル転写方式の SW デコードで負荷増 | プレビューは長辺を既定 1280px に縮小して負荷を抑制 (出力は元解像度のまま、画質に影響なし)。オプションで上限変更可 |
| AI 字幕生成 (Whisper) | 土台のみ実装、編集画面との統合は Phase 2 | 現状は字幕ファイル (.srt) を別途用意し、字幕トラックとして取込 |
1. プレビュー映像の上に文字を重ねて表示できない
プレビュー画面 (再生中の映像) の 真上 に、mediaFlick が独自の文字やボタンを直接重ねて表示することは、技術的な理由でできません。 そのため、映像に重ねたいテキストなどは、映像の すぐ下にある帯 (バンド) に表示する形になっています。
用語メモ — オーバーレイ 映像や写真の「上に重ねて表示する」もののことです。 たとえばテレビ画面の隅に出る時刻表示や、動画の字幕のように、元の映像の上にかぶせて出す要素を指します。
つまずきやすい点 — プレビューと「実際の出力」は別物です 編集中のプレビュー画面では文字が映像の上に重ならなくても、心配いりません。 最終的に動画として書き出した (エンコードした) 結果には、文字はちゃんと正しい位置に重なって表示されます。 あくまで「編集中の見え方だけ」の制約だと覚えておいてください。
2. オフライン環境では dvdauthor を手動で用意する必要があります
DVD を作るときに内部で使う dvdauthor という部品 (プログラム) は、mediaFlick に 同梱 されています。通常はインストール作業も追加のダウンロードも必要なく、そのまま DVD を作成できます。
万一 dvdauthor が見つからない場合 (ファイルを手動で削除した、配布物が不完全だった等) でも、DVD 出力の場面で「ダウンロードしますか」という確認が表示され、配布元から自動で取得して復旧できます。
注意が必要なのは、インターネットに接続できない環境 だけです。dvdauthor が手元になく、かつ自動ダウンロードもできないときは、dvdauthor 一式を 自分で tools フォルダの中に置く 必要があります。
用語メモ — オーサリング 動画ファイルを、家庭用 DVD プレーヤーやレコーダーで再生できる「ディスクの形式」に組み立てる作業のことです。 単に動画を保存するのとは違い、メニューや再生順といったディスクとしての仕組みを作ります。
覚えておくと安心 — dvdauthor は複数のファイルで動きます dvdauthor は実行ファイル単体ではなく、いくつかの付属ファイルとセットで動作します。 自動ダウンロードを使えばこれらは一括でそろえられます。手動で配置する場合は、配布元 (mediaFlick/tools) のパッケージを展開し、中身を丸ごと tools フォルダに入れてください。
3. Blu-ray の ISO ファイル (UDF 2.5) は直接作れない
Blu-ray (BD) を、そのまま 1 つの ISO ファイル として書き出す機能には対応していません。 これは Blu-ray のディスク形式 (UDF 2.5 + BD-Video) が特殊で、mediaFlick が使う部品 (xorriso) でも扱いが難しいためです。 代わりに mediaFlick は BDMV フォルダ の形で出力するので、そのフォルダを別のソフト (ImgBurn など) に読み込ませて ISO 化してください。
用語メモ — ISO ファイル / BDMV フォルダ ISO ファイルは、ディスク 1 枚分の中身をまるごと 1 個のファイルに固めたものです。これがあれば後からディスクに焼けます。 BDMV フォルダは、Blu-ray の中身をフォルダの形で並べたものです。ISO になる一歩手前の状態、と考えてください。
4. DVD / Blu-ray の凝ったメニューは作れない
DVD や Blu-ray でよく見る、ボタンを選んで「本編」「特典」などへ飛べる 本格的なメニュー画面 には対応していません。 これは、そうしたメニューを作るにはボタンの座標やハイライト画像など多くの追加情報 (spumux などの仕組み) が必要になるためです。 mediaFlick では、その代わりに タイトルの一覧を表示するだけの簡易メニュー が用意されています。
どんな時に役立つか 家族向けに「複数の動画を 1 枚にまとめて、選んで再生したい」程度であれば、簡易メニューで十分役目を果たします。 凝ったデザインのメニューが必要な場合だけ、別の専用ソフトを併用することになります。
5. 4K (60fps) のプレビューは動作が重くなることがある
4K のような非常に高精細な動画は、プレビュー再生時にパソコンへの負荷が大きくなり、カクついて見えることがあります。 これは mediaFlick のプレビューが、映像を 1 コマずつ画面へ写し取る方式 (ソフトウェアデコード) を採っているためです。 この負荷を抑えるため、プレビューは標準で 長辺を 1280 ピクセルに縮小 して表示するようになっています。
つまずきやすい点 — 縮小されるのは「プレビューの見え方」だけです 編集中のプレビューが少し粗く見えても、書き出される動画 (出力) は 元の解像度のまま です。 プレビューの縮小は画質に影響しないので、そのまま編集を進めて構いません。 なお、この縮小の上限はオプション (設定) 画面で変更できます。
用語メモ — fps (エフピーエス) 1 秒間に何コマの静止画で動画ができているかを表す数字です (frames per second)。 数字が大きいほど動きがなめらかですが、その分プレビューの処理は重くなります。
6. AI 字幕生成 (Whisper) はまだ準備段階
音声を聞き取って自動で字幕を作る AI 機能 (Whisper) は、現時点では 土台 (スケルトン) だけ が用意された段階で、編集画面との一体化は次の開発段階 (Phase 2) に予定されています。 そのため、メニューからワンクリックで字幕を作る、という使い方はまだできません。
用語メモ — Whisper / .srt Whisper は、動画の音声を聞き取って文字に書き起こす AI のことです。 .srt は、字幕を保存する代表的なファイル形式で、「いつ・どの文字を出すか」が記録されています。
回避策として、現状では Whisper の処理を直接呼び出して .srt ファイル を一度書き出し、それを mediaFlick に 字幕トラックとして取り込む という手順で利用できます。
覚えておくと安心 — 完成を待つ機能です この機能は将来の正式対応に向けた途中段階です。「動かないのは故障ではないか」と心配する必要はありません。 自動字幕を本格的に使いたい場合は、今後のバージョンアップを待つのも 1 つの選択肢です。
このセクションのまとめ - ここに挙げた 6 項目は不具合ではなく、現時点での仕様 (できないこと) です。 - プレビューの見え方 (文字の重なり・4K の粗さ) は、最終出力には影響しない。 - DVD に必要な dvdauthor は同梱され、見つからなければ自動ダウンロードで補える (ネット不可かつ未配置のときだけ手動配置)。Blu-ray の ISO 化は ImgBurn 等を併用する。 - 凝ったディスクメニューと AI 字幕の自動生成は、現状では簡易メニュー・手動取り込みで代用する。
トラブルシューティング
mediaFlick を使っていると、ときどき「思ったとおりに動かない」「ボタンを押しても先に進まない」といった場面に出くわすことがあります。 このセクションでは、初心者の方がつまずきやすい代表的なトラブルを 4 つ取り上げ、それぞれ 何が原因で、どう直すか を順番に説明します。 あわてず、一つずつ確認していけば、たいていの問題は自分で解決できます。
大原則 — まずは落ち着いてエラーの文字を読む トラブルが起きたとき、画面やログに出ている文字には、たいてい原因のヒントが含まれています。 「英語ばかりで読めない」と感じても、このセクションに載っている目印の言葉 (たとえばCannot loadやNo device available) を探すだけで、 いま起きているのがどのトラブルなのかを見分けられます。まずは慌てず、出ている文字を眺めてみてください。
ffmpeg / ffprobe が見つからない
mediaFlick は、動画の読み込みや書き出しといった「映像の中身を実際に処理する作業」を、ffmpeg / ffprobe という外部のプログラムに任せています。 この 2 つが見つからないと、mediaFlick は動画を扱えません。
用語メモ — ffmpeg / ffprobe どちらも、動画や音声を変換・解析するための、世界中で広く使われている定番プログラムです。 ffmpeg は「動画を別の形式に変換したり、書き出したりする」役目、ffprobe は「その動画の長さや解像度などの情報を調べる」役目を担います。 mediaFlick は、この 2 つを裏方として呼び出しながら動いていると考えてください。
ffmpeg / ffprobe は mediaFlick に 同梱 されているので、通常はそのまま使えます。 万一見つからないとき (手動で削除した、配布物が不完全だった等) は、起動時に自動ダウンロードのプロンプト (確認画面) が出ます。 これは BtbN/FFmpeg-Builds の最新 GPL ビルドを取得するもので、画面の案内に従って進めれば自動的に必要なファイルが用意されます。 インターネットに接続できる環境であれば、基本的にこの自動ダウンロードに任せておけば問題ありません。
もし自動ダウンロードを使わず、自分で手動で配置したい場合 は、次のようにします。
- mediaFlick の実行ファイル (本体) があるフォルダを開きます。
- そのすぐ下にある
tools/フォルダ (= 実行ファイル直下のフォルダ) を開きます。 - その中に、用意した
ffmpeg.exeとffprobe.exeの 2 つを置きます。
つまずきやすい点 — 置く場所は「実行ファイルのすぐ下の tools フォルダ」ffmpeg.exeとffprobe.exeは、必ず実行ファイル直下のtools/フォルダに入れてください。 デスクトップやダウンロードフォルダなど別の場所に置いても、mediaFlick は見つけられません。 また、ffmpegとffprobeは両方そろっている必要があります。片方だけでは動きません。
HW エンコードが失敗する
mediaFlick は、動画を書き出すときに、パソコンの グラフィック機能 (GPU) の力を借りて高速に処理する「HW エンコード」 を使おうとします。 ただし、パソコンの構成やドライバーの状態によっては、この HW エンコードがうまく働かないことがあります。
用語メモ — HW エンコード / SW エンコード エンコードとは、動画を保存できる形式に「書き出す (圧縮して作る)」作業のことです。 このとき GPU (グラフィック処理装置) の専用機能を使う方式が HW エンコード (ハードウェアエンコード) で、速いのが利点です。 一方、GPU を使わず CPU だけで処理する方式が SW エンコード (ソフトウェアエンコード) です。少し時間はかかりますが、どんなパソコンでも安定して動きます。
HW エンコードに失敗すると、ログに次のような文字が出ることがあります。
nvcuda.dllCannot loadNo device availableAMF Failed
これらが出ても、慌てる必要はありません。mediaFlick は自動的に SW エンコードへ切り替えて (フォールバックして) 処理を続けます。 切り替わったときは、ログに次のようなメッセージが表示されます。
⚠ ... で失敗 → libx264 (ソフトウェア) で再試行
このメッセージが出ていれば、HW エンコードは諦めて SW エンコードでやり直している、ということです。 書き出し自体はそのまま続行されるので、最終的な動画はちゃんとできあがります。
どんな時に役立つか / 知っておくと安心 上のようなログが出ても、それは「処理が止まった」のではなく「方式を切り替えて続けている」だけです。 出力にかかる時間が少し長くなることはありますが、できあがる動画の内容は変わりません。 「エラーっぽい文字が出た = 失敗」とは限らない、と覚えておくと、無用に不安にならずに済みます。
mediaFlick.Ui.exe ロックでビルド失敗
これは主に、mediaFlick を自分でビルド (プログラムから組み立て直す作業) するときに起きるトラブルです。 ビルドしようとしたときに「mediaFlick.Ui.exe がロックされている」といった理由で失敗する場合、 原因は 古い mediaFlick のプロセスがまだ裏で動いたまま残っている ことです。
用語メモ — プロセス / ロック プロセスとは、いま実際に動いているプログラムの「実行中の一個体」のことです。 mediaFlick を起動すると mediaFlick.Ui というプロセスが動き始めます。 そのプロセスがファイルを使っている間、Windows はそのファイルを書き換えられないように ロック (使用中の鍵かけ) をかけます。 古いプロセスが残っていると、ビルドが新しいファイルを書き込めず失敗する、というわけです。
これを解決するには、残っている古いプロセスを終了させます。方法は 2 つあります。
方法 1: タスクマネージャーから終了する
- タスクマネージャーを開きます。
- 一覧の中から
mediaFlick.Uiを探します。 - それを選んで終了 (タスクの終了) させます。
方法 2: PowerShell で終了する
次のコマンドを PowerShell に入力して実行すると、残っている mediaFlick.Ui プロセスをまとめて強制終了できます。
Get-Process mediaFlick.Ui -ErrorAction SilentlyContinue | Stop-Process -Force
つまずきやすい点 — プロセスを終わらせてから、もう一度ビルドする プロセスを終了させた直後にビルドし直せば、今度はロックが外れているので成功するはずです。 なお、-ErrorAction SilentlyContinue が付いているのは「もし対象のプロセスが見つからなくてもエラーを出さずに済ませる」ためのものです。 プロセスが残っていなければ、このコマンドは何もせず静かに終わります。
D&D (ドラッグ&ドロップ) が効かない
mediaFlick では、ファイルをマウスでつかんで画面の上に運び、放して追加する ドラッグ&ドロップ (D&D) が使えます。 ところが「ファイルをつかんで運んでも、放したときに受け付けてくれない」ことがあります。
用語メモ — ドラッグ&ドロップ (D&D) マウスでアイコンやファイルを「押したままつかんで運び (ドラッグ)」、目的の場所で「指を放して置く (ドロップ)」操作のことです。 mediaFlick では、エクスプローラーから動画ファイルをつかんで画面に放り込むことで、手早くファイルを追加できます。
このトラブルの原因は、ほとんどの場合 mediaFlick を「管理者として実行」で起動していること です。 管理者権限で起動していると、Windows の UIPI という安全のしくみが働いて、D&D が壊れてしまいます。
用語メモ — UIPI (管理者権限と D&D の関係) UIPI は、権限の高いプログラムへ、権限の低いところ (通常のエクスプローラーなど) から勝手に操作が流れ込まないようにする、Windows の保護のしくみです。 このしくみのため、管理者として起動したアプリには、通常権限のエクスプローラーからファイルをドラッグ&ドロップできなくなります。 mediaFlick だけの問題ではなく、Windows 全般で起きる仕様だと考えてください。
解決方法は簡単です。管理者として実行するのをやめて、通常の権限で起動し直してください。 mediaFlick は通常権限で問題なく動くように作られているので、わざわざ管理者として起動する必要はありません。
つまずきやすい点 — 「管理者として実行」のチェックを外す いつも管理者で起動してしまう場合は、アイコンを右クリック →「プロパティ」→「互換性」タブの中にある 「管理者としてこのプログラムを実行する」のチェックが入っていないかを確認してください。 チェックを外して通常権限で立ち上げれば、ドラッグ&ドロップがまた使えるようになります。
このセクションのまとめ - ffmpeg / ffprobe が無いときは、起動時の自動ダウンロードに任せるか、実行ファイル直下のtools/に 2 つの.exeを手動で置く。 - HW エンコード失敗は自動で SW へ切り替わるので、ログに「再試行」と出ていれば動画は問題なくできあがる。 - ビルド時のロック失敗は、残ったmediaFlick.Uiプロセスをタスクマネージャーまたは PowerShell で終了させてからやり直す。 - D&D が効かないときは、管理者として実行をやめて通常権限で起動し直す。
配布・ライセンス
このセクションでは、mediaFlick が どこから手に入るのか、誰がどのように運営・更新しているのか、 そして 内部で使われているソフトの権利関係 について説明します。 動画編集の操作そのものとは少し離れた話ですが、「このソフトは安心して使えるものなのか」「最新版はどこで確認すればいいのか」 を理解しておくと、長く安心して使い続けられます。専門的な言葉が出てきますが、一つずつ噛み砕いて説明していきます。
入手方法 — どこから手に入れるか
mediaFlick は、GitHub の リリースページ から無料でダウンロードできます。 最新版インストーラーの配布元は次の URL です。
- https://github.com/mediaFlick/releases/releases/latest(最新の β release インストーラー)
用語メモ — GitHub Releases と GitHub Sponsors 「Releases (リリース)」は、完成したアプリ (インストーラー) を配布するための GitHub の仕組みです。mediaFlick のインストーラーはここから入手します。 一方「Sponsors (スポンサーズ)」は開発者を金銭的に応援するための別の仕組みで、任意の支援用です(ダウンロードに支援は必要ありません)。
なお、mediaFlick の 本体のソースコード (プログラムの設計図にあたる中身) は非公開 です。 配布されるのは、そのまま動かせる完成品のアプリであり、中身のプログラムコードそのものが公開されているわけではありません。
用語メモ — ソースコード ソフトを作るために人間が書いた「もとの文章 (プログラムの設計図)」のことです。 これを変換すると、パソコンが実行できる完成品のアプリになります。 「ソースコードが非公開」とは、完成したアプリは使えるけれど、その設計図の中身は外部に公開していない、という意味です。
公式サイトと運営 — 最新情報の確認先
mediaFlick の公式サイトは次の URL です。
- https://mediaFlick.popup.jp
この公式サイトは、単なる紹介ページではなく、試用期限の情報や最新版の情報を配信する大もとの場所 としての役割を持っています。 「いまの自分の試用期間はいつまでか」「新しいバージョンが出ていないか」といった情報は、ここから配信されます。
どんな時に役立つか 「ソフトがうまく起動しない」「最新版が出ているか知りたい」といったときは、まずこの公式サイトを確認してください。 試用期限や最新版の情報はサーバー側 (公式サイト側) で管理されているため、手もとのアプリだけを見ていても分からないことがあります。
試用期限について
mediaFlick の試用期限は、サーバー側で管理 されています。 つまり、試用できる期間がいつまでなのかは、手もとのパソコンの中ではなく、公式サイト側のサーバーで管理されている、ということです。
用語メモ — サーバー側で管理 「サーバー」とは、インターネットの向こう側で動いている、情報を配信するためのコンピューターのことです。 「サーバー側で管理されている」とは、その情報が自分のパソコンの中ではなく、インターネット越しの公式サイト側で 管理・判断されている、という意味です。手もとでこっそり書き換えることはできず、常に最新の正しい状態が反映されます。
試用期限の具体的なしくみや、期限が切れたときの挙動については、別の節「起動と試用期限」で詳しく説明しています。 そちらもあわせて確認してください。
同梱されている外部ツールとそのライセンス
mediaFlick は、動画の変換やディスクの作成といった処理を行うために、いくつかの外部ツールを内部で利用 しています。 これらはすべて OSS (オープンソースソフトウェア) であり、それぞれのツールが定めたライセンス (利用条件) のもとで使われています。
代表的な同梱ツールは次のとおりです。
| ツール | おもな役割 |
|---|---|
| ffmpeg | 動画・音声の変換や加工を行う |
| tsMuxeR | 映像をディスク向けの形式にまとめる |
| xorriso | ディスクイメージ (焼く前のデータ) を作る |
| dvdauthor | DVD の構造を組み立てる |
用語メモ — OSS (オープンソースソフトウェア) 「Open Source Software」の略で、誰でも自由に使えるよう、中身が公開されているソフトのことです。 多くは無料で利用でき、世界中の開発者によって作られ、改良され続けています。 mediaFlick は、こうした優れた OSS を組み合わせることで、強力な変換・ディスク作成機能を実現しています。
用語メモ — ライセンス ソフトを「どういう条件で使ってよいか」を定めた約束ごとのことです。 OSS にはそれぞれ独自のライセンスがあり、mediaFlick はそれらの条件をきちんと守ったうえで、各ツールを利用しています。
これらの外部ツールは、mediaFlick の中に 「子プロセス」として呼び出されて実行 されます。
用語メモ — 子プロセス あるソフト (ここでは mediaFlick) が、別のソフトを自分の指示で起動して働かせるとき、その起動された側のソフトを 「子プロセス」と呼びます。mediaFlick 本体が「親」、呼び出される ffmpeg などが「子」というイメージです。 mediaFlick はこれらのツールを必要なときだけ呼び出して仕事をさせ、終わったら結果を受け取る、という形で連携しています。
覚えておくと安心 これらの外部ツールはすべて mediaFlick に同梱 (一緒に入っている) されているため、利用者が別途インストールする必要はありません。 「ffmpeg を自分で用意しなければ」と心配する必要はなく、mediaFlick をそのまま使えば、内部で自動的に呼び出されます。 なお同梱版が古い場合は、起動時に新しい版へ更新するか確認します (詳しくは「起動と試用期限」の節)。
各ツールのライセンス全文と、対応するソースコードの入手先は、配布物に同梱の THIRD-PARTY-LICENSES.txt に記載しています。GPL のツール (dvdauthor・FFmpeg など) の対応ソースは、配布元のリポジトリ (mediaFlick/tools) からも入手できます。
このセクションのまとめ - mediaFlick は GitHub Sponsors (https://github.com/sponsors/mediaFlick) 経由で配布され、本体のソースコードは非公開。 - 公式サイトは https://mediaFlick.popup.jp。試用期限・最新版情報の配信元になっている。 - 試用期限は サーバー側で管理 され、詳細は「起動と試用期限」の節を参照。 - ffmpeg / tsMuxeR / xorriso / dvdauthor などの OSS を、それぞれのライセンスのもとで 子プロセス として利用している。